15話 シャラルダイト晶
ペンテイアに戻ると、そこにはバルギーラ共和国の旗を掲げる帆船が停泊していた。
「あれは……、約束の船か!」
俺は思わず呟いた。
「マスター、テラッサ氏です」
「おお」
ふと見やると、荷物の積み下ろし作業をする沖荷役たちの側に、彼らを監督するバルギーラの商人、テラッサ・オルマーノ女史がいた。
「シゴル様! お久しぶりです」
「ああ、商人さん。頼みの品はどうだい?」
俺は挨拶もそこそこに、頼んでおいた宝石が見つかったかどうか尋ねる。
先程のドリンバ岩石地帯の最奥、魔鉱床で手に入れた高品質魔石と合わせると、目的のことがついにできそうなのだ。
「ええ確かに。……その前に約束のモンスターの素材を見せていただいてもよろしいですか?」
「ああ、こっちだ」
俺は港の倉庫にテラッサを案内すると、その扉を近くにいた荷駄ゴーレムに開けさせた。
重い音を立てて扉が開いてゆく。
「おお……!」
テラッサの歓声。
そこにあったのは、サソリの甲殻やサンドワームの皮革など、南大陸で獲れるモンスターの素材の山だった。
「これは素晴らしい……! 本当に全ていただいてもよろしいのでしょうか?」
「このへんの商人だと捌ききれなかった素材だ。倉庫に入れっぱなしだと腐ってしまうから持っていっていいぞ」
最近、ルビナの特訓と付近の探索のため、積極的にモンスターを狩っており、闇商人リオンらの手では素材を捌ききれなくなってしまったのだ。
そのため、これらのだぶついた品をまとめて提供することで、交易大国であるバルギーラでしか手に入らない宝石を探してもらったのだ。
「それではシゴル様、こちらが約束の宝石です」
「おお……! これがか!!」
テラッサが取り出した厳重な金庫から出てきたのは、エメラルド色の水晶に藍色がかった煌めきが入った魔石である。
「風、氷の複合属性石、シャラルダイト晶。……流石は交易立国のバルギーラだ」
シャラルダイト晶は西の海でしか採れない貴重な品で、俺としてもこれほど大粒なものは初めて見るものだ。
「お褒めに預かり光栄です。私のコネを全力で動員して探させました」
俺がシャラルダイト晶を手に取ると、テラッサが恭しく一礼をした。
「マスター、それが……以前仰っていた新たなる『コア』なのですね」
横からシャラルダイト晶を覗き込んだルビナが尋ねる。
「ああ、これでついに目的のひとつ……、新たな魂あるゴーレムを作ることができるぞ!」
俺は蒼色の晶石を空へとかざし、ニヤリと笑みを浮かべるのであった。
コメント、感想、ご指摘や評価などいただけると励みになります!




