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71.錬金術士次の面倒事


翌日、ザクロは孤児院に向かわせ、ピピとミケを伴ってマッターの王宮に向かう。

その前に冒険者組合に寄って、マナルスの王様に手紙を運んでもらった。

実はキキョウ婆さんを教師に仕立て上げて、子供諸共マナルスに送り届けようと思っている。

もちろん奴隷商会にダークエルフがいればそちらも招待するつもりだが、マナルスから馬車を派遣してもらうのに、それなりの日数がかからし、移民にどの程度の手続きが必要かもわからないので、そこら辺の面倒ことはすべて王様にやってもらおうというわけだ。


マナルスの王様の紹介状を渡して、マッターの王宮に入ると城内がやけにざわついている。

何か問題がおきているらしいのだが、さすがに隣国の王様の紹介状を持ってきた俺を放っておくわけにもいかなかったらしく、俺たちは謁見の間に通された。

「マナルスとローツェを魔物から救った英雄殿。お待たせして申し訳ない」

「いえいえ、拝謁賜りまして光栄でございます。何かあったのですか」

俺の問いかけに王様は少し困ったような顔をしたが、急に明るい顔になり

「そうじゃ!そのことについてお主に頼みがある」

なんで王様というものはすぐに俺に何かを頼もうとするのだろう。

まあ、今回はこちらがお願いする立場なのでできることなら手伝わないこともないが

「これは内密にしてほしいのじゃが」

そういって城内が騒然としている理由を話してくれた。


この国は奴隷商館が5つもあることでもわかるように、奴隷の取引がさかんだ。

公式の取引だけでなく、非公式の取引もそれなりに多い。

非公式の取引は犯罪絡みであることが多く、なにより国に税金が入らないので厳しく取締りを行っている。

そんななか非公式の奴隷商人がエルフを捕まえて奴隷として売ろうとしているという情報が入った。

エルフはポーションを生成できる唯一の種族であり、エルフと敵対することは国の存亡にかかわる。そこで全力をあげて捕まったエルフを見つけ出し、助けだすことに成功した。

それが1週間前のこと。

今日になり、助け出したエルフがいなくなってしまった。

そこで朝から城内が大騒ぎになっている。

ということらしい。


「そこでじゃ!お主には逃げたエルフを探してほしい」

いやいや、それって完全にそちらの手落ちですよね。

何故俺がその尻拭いをしないといけないんだ。

「王様、それはさすがに難しいのではないでしょうか。そもそも助けられたはずのエルフどうして逃げ出すんですか」

「うむ、なんでもそのエルフは冒険者になりたくてエルフの国を飛び出してきたらしくてな。しかしそこはエルフ。エルフの郷からでたことのない世間知らずが、たまたまこの街に来る途中に騙されて奴隷商に売り飛ばされそうななったそうじゃ。そこまではエルフにつけた侍女が聞き出した」

ピピさん、冒険者になりたくて国を出るのはエルフにもいるんだね。

ピピはちょっと複雑な顔をしていた。

「どうやらこのままこの城にいたらエルフの郷に戻されると思ったようじゃ」

「でも捕まえてエルフの郷に返すんですよね」

「そうじゃ!それをお主に頼みたい」

「え!エルフを捕まえるだけじゃなく?」

「うむ、この紹介状にも困ったことがあればお主に頼めばなんでも解決してくれると書いてある」

あの野郎、自分の頼み事なのにさらに俺を利用しやがったな。

「あのー、できる限りのことはしますけど、あまり期待はしないでください」

「いやいや、もう頼りになるのはお主だけじゃ。この国の存亡がかかっておるのじゃ。どうかお願いいたす」

「はあ・・・、ちなみにそのエルフの容貌というか特徴みたいなものはありますか」

「おー、その気になってくれたか。そもそも街にエルフはほとんどいない。おまけにその子はエルフの子供じゃ。見た目がエルフでそれが子供なら逃げたエルフで間違いないじゃろう」

こっちも子供か。

いずれにしろ、この問題が落ち着かないとマナルスの王様のお願いは聞いてくれそうもない。

ここはダークエルフの奴隷の話はガセだったということで、さっさとローツェに帰ろう。

手紙を出しておいたのは正解だったな。

そう思い王宮を後にして孤児院に向かった。


「わー、すごーい」

「えへへ、回復魔法だよ」

孤児院はなにか盛り上がっていた。

レンジはまだ魔法を発生できていないようだが、一人の子を囲んでみんな盛り上がっている。

てか光属性を発生させてる子なんていなかったよな。

てか7人いるんだけど、一人増えてる?

「おい、ザクロ」

「はわ!流石エルフですね。子供ながらにもう回復魔法が使えるみたいです」

子供のエルフ?

「ちょっとキキョウさん」

「ここは孤児院じゃからな、腹空かせとるっちゅうんで連れてきた」

うーん、発見してしまった。


その日は子供エルフ、名前はユン、を含め魔法の修練を続けた。

ユンにも弱エーテル飲ませてやろうかと思ったが、エルフにエーテルはまずいかと思ったので、ユンだけこっそりポーションを渡した。

レンジだけまだ魔法が発生できないようだ。

夕方になると全員でレンジに魔法を発生させるために話し合いをしたり、応援をしたりしていた。ユンもすっかりなじんでる。

「キキョウさん、レンジ、どう思います」

「んー?わしは知らんなぁ」

「ところでキキョウさんは今でも魔法使えますか」

「どうかのう、もう200年も使ってないわい」

あんたいくつなんだよ。

「あのエルフの子。冒険者になるって郷を飛び出してきたらしいんですよ」

「変わったエルフじゃな」

「やっぱりそうなんですね」

「エルフは自分の郷が大好きじゃからな。変わらないことがエルフじゃ。最も変化を嫌う種族じゃろうな」

「あの子、郷まで返せますかね」

「連れていくことは可能じゃろうな。そっから先はエルフの問題じゃ」

「そうですね」

「とりあえず、預かってもらっていいですか」

「まあ、孤児院じゃからな」

王様への報告は後にしよう。


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