第3話 情報と出会いを求めて
「シューゴ、どうしたの?…あっ、手紙は勝手に開けちゃダメなんだよ!早く戻さないと!」
「あー…これはね?手紙の送り主に届けるために中を確かめてるんだよ。
ほら、宛名とか封筒には書いてないでしょ?」
そう言って辰之助に封筒を渡す。
(辰之助は真面目だな…育ってきた環境は劣悪でも真面目に育つ子はいるんだね。これは下手なことしてたら嫌われちゃうかな?)
封筒を確認して納得したのか封筒を将吾に返してくる。
「本当に何も書いてないね。それで、届け先はわかったの?」
「うーん…それがね?おかしな手紙なんだ。ただ、場所、日時、イニシャルらしきものだけ書かれてるんだ。
さて、問題です。これらから何が予測出来るかな?」
「えー!いきなり問題なんてズルイ!そんなの分かんないよ!」
「ちゃんと考えないとダメだよ?なんでもかんでも他人任せじゃ碌な大人になれないよ?…仕方ない、一緒に考えようか!」
膨れている辰之助に提案し、考えて行く。
「じゃあ先ずは場所からだね。ドラゴナス領のウェールズ村って場所なんだけど知ってる?」
「知らない!人族の国や村のことはほとんど知らないよ!」
「そっか。じゃあ次は日時だね。
2月20日って書いてあるけど…この世界の暦ってどうなってるんだろう?辰之助は知ってる?」
「えーっとね…30日経ったら1ヶ月で、それが16個集まると1年になるんだって!」
「そうなんだ…元いた世界より4ヶ月も長いのか…
それにしてもよく知ってたね?すごいな辰之助は!
ついでにもう一つ質問!
1ヶ月は30日で固定かな?あと暦とかわかる?」
「んとね、1ヶ月は全部30日だよ!…そんで今は確かエシュガルド暦9998年だよ!」
(九千って…約一万年前から滅びることなく栄えてるってことだよね…それだけ種族間の争いが無いって事か…)
その事実に驚き、その平和を壊す人族の業の深さに辟易する。
「教えてくれてありがとね!まぁ日時からわかることはないから次だね!
多分S.Dはイニシャルだと思うんだけど…それ以外でも聞いたことある?」
「ウゥー…そんなこと言われても分かんないよ!イニシャルだけならなんでも当てはまるじゃないか‼︎」
頬を膨らませ眉間に皺を寄せて怒る辰之助。必死に笑わないように我慢のもなかなか大変だ。
「…くっ!…そうだ、確かにそれだけじゃ分からないね?
じゃあ次は視野を広げてこの手紙の持ち主だった人物達や手紙に書いてある情報を元に推測してみようか。
初めに、手紙の持ち主達を見て。
この人達…ちょっとグロいんだけど、傷口を見てみて?何か違和感がないかな?」
「うーん…なんだろ?分かんない…」
「じゃぁヒントあげるね?この人達を殺したのはゴブリンです!彼らの武器は棍棒なんだけど…」
そこまで言うと気がついたのか、辰之助が声を上げる。
「あっ!わかった‼︎齧られててわかりにくいけど、この人達切り傷があるよ‼︎…でもなんで切り傷なんてあるんだろう?」
「正解!よく気がつきました!
じゃぁ次だね。この人達に切り傷をつけた相手との関係なんだけど…罷り間違っても良好とは言えないよね?
じゃぁ敵対者がいたと言うことになる。
そしてこの手紙の存在を考えると…」
「そっか!敵対してる相手に何かするって事だね!でもそれって俺たちに関係ある事なの?」
「うーん…この情報だけじゃそこまでは言えないけど、2月20日にウェールズ村でS.Dに関連した事があるってのはわかったね。
それでなんだけど、彼らを助けていたら、彼らとの繋がりができる。大規模な事を起こそうとするなら組織を作ってる筈なんだ。
組織には大なり小なり情報を集める人達がいるものだ。
大きな組織ならより多くの情報が集まる。だから恩を売っておいて損はなかったって事だね。
今の俺達にはかなり重要な人達だったって事」
「そっかぁ…あれ?なら助けなきゃダメだったって事じゃないか!」
「それは結果論だよ?あの時は何もしらなかった。なら、優先するべきは自分たちの安全だよ。
死んじゃったらそこで終わりだからね?
でも、これで辰之助も情報の大切さがわかったかな?
知っていれば最善を選べるって事だね!」
「そっか!知ってたら道に迷わないもんね!」
「その通りだね!それじゃあそろそろ先に進もうか?血の匂いにつられて魔物が寄ってきてるみたいだしね」
魔物の気配を察知しその場を後にする。
獣道から抜け出し道に沿って歩く。
たまに現れるゴブリンを倒し進んでいると、日が傾いてきた。
ここまでの道中は誰とも出くわす事なく進んできた。
そろそろ野宿をする場所を探そうかと丘を超えると…遠くに村を発見した!
(村か…どうしようかな?ここで考えても仕方ないし、とりあえず行ってみるか!何かわかるかもしれないしね)
「辰之助!村があったよ?野宿より村の方が安全だし行ってみようか?」
「…わかった」
(やっぱり人族には思うところがあるんだろうな…こればかりはどうしようもないし、いい出会いがあれば変わるかもしれないしね…)
「大丈夫だよ?辰之助は俺が守るからね!」
将吾は安心させるように、優しく声をかける。
俯いた辰之助は顔を上げ、笑顔で…
「…わかった!でも、俺だって戦えるんだ!守られるだけじゃないよ!」
そう答えた。
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