38話 異母姉の魔法と婚約者の伯爵令息
自身の魔力を解放したルナリアに、バンクレットはまず安定して魔力を使う感覚を覚えるための練習を指示した。
「まずは『明り』の魔法から始めよう」
適正の影響をほとんど受けない初歩的な魔法はいくつかあるが、バンクレットはその中で『明り』を選んだ。
「大丈夫でしょうか? またさっきのようになったら……」
「安心しなさい。『明り』なら滅多なことは起きない」
ついさっき魔力を暴発させ、目が眩む閃光を発したルナリアは不安そうにするが彼は『明り』以外にないと確信していた。
(同規模の暴発が起きれば、『水』の魔法だと部屋は水没。『念動』だと家具が天井や壁、そして我々に突き刺さる。『発火』だったら考えたくもない)
一方、『明り』なら暴発しても目が眩む程度で済む。流石にレーザービームが放たれることはない……筈だ。
「じゃあ、あたしが魔法でお義姉さまたちの目を守れば安心よね」
さらに、レオディーナはサングラス代わりになる魔法の使用を提案した。
「なんと、そんな魔法があるのか」
「ううん、これから作ります」
「ま、魔法とはそんな簡単に作れるものなのですか?」
「いや、ルナリア嬢。レオディーナ嬢は特別だ。彼女を基準にはしないように」
「そんなに難しい魔法じゃないですよ」
結界を張る魔法を応用。視界を防ぐ結界を参考に、ゴーグル状にして顔の前に展開する。
「名付けて『遮光』! これで輝き過ぎてもちょっと眩しいだけですむから、安心して練習出来るわよ」
「ありがとう、ディーナ。じゃあ、やってみます」
教科書で解説されている図を基に、初歩的な魔法式を編み魔力をそこに通す。一度目は魔力を絞り過ぎて光らず、二度目は逆に輝き過ぎと、失敗した。だが五度目、六度目と回数を繰り返すたびにルナリアは感覚を掴んでいく。
「ど、どうでしょう?」
そして八度目で丁度いい『明り』を出し、九度目以降は安定してそれを繰り返せるようになった。
「まずは合格だ。では、魔力も落ち着いたようだし適性を測ってみよう」
「先生、お義姉さまの魔力量は測らないの?」
「うむ、問題ない。……というより、ここにある携帯型の計測器では無理だ」
「私の魔力量は、そんなに少ないのですか?」
「逆だっ! ルナリア嬢、君の魔力量はレオディーナ嬢に匹敵するレベルで多い!」
勘違いしてショックを受けるルナリアにバンクレットが説明したところによると、他者に魔力を流す方法は魔力量に差があり過ぎると効果が見込めないそうだ。
対象の魔力量と流す魔力の量と勢いが、ある程度釣り合う必要があるそうだ。
そこから推測すると、レオディーナが流した魔力量に耐えられたルナリアの魔力量は最低でも上の小以上。中の中までしか測れない携帯型の計測器では、レオディーナと同じく計測不能なのだ。
「正確な計測は、王都の魔道士ギルドに行った時のお楽しみに取っておくとしてだ。魔法を学ぶためにも自身の適性を調べよう」
「はい、よろしくお願いします」
そして意気込んで調べた結果、ルナリアの適性は『光』に特化した全属性だった。
「光に特化の全属性というと?」
「あたしの全属性と何が違うの?」
「ルナリア嬢の適性は、光の魔法の素質が特別優れているが、他の属性の魔法も苦手ではないという構成だ。レオディーナ嬢は、特別優れている属性も苦手な属性もなく平均的に優れているというものだ」
バンクレットは、平静を装ってルナリアの授業方針を伝えた。
「得意な光の魔法を伸ばしながら、他の属性の魔法も覚えて出来ることを増やしていこう」
そして時は戻って、代官達との会議から屋敷に戻ったアルベルトにバンクレットは告げた。
「アルベルト殿、ルナリア嬢にはレオディーナ嬢に匹敵する魔法の才能があるようだ」
「っ!? そ、それは……本当か?」
「間違いない。魔力量はかなりのものだ。それに、初歩的な物で試したが魔法の習得も早い」
あの時バンクレットは教科書に書かれた魔法式を見せただけで、魔力の制御を補助する杖を渡さなかったし、レオディーナも見守っていただけだ。魔力を自覚した直後の子供がその環境で魔法を覚えるには、『明り』であっても数日はかかる。
しかし、ルナリアは十回試すだけで『明り』を習得して見せた。魔力を使う感覚まで掴んで。
「つまり、ルナリアもレオディーナのようになれると?」
「そこまでは保証しかねる。レオディーナ嬢はかなり天才であるし、ルナリア嬢は魔法を習い始めたばかり。本人の性格や熱意によっても変わってくる」
レオディーナは魔法式を編む天性の才の持ち主なので、他の天才に同じことが出来るかは分からない。それに、彼女には五歳の頃から積み続けた研鑽がある。ルナリアが今の彼女に追い付くには、単純計算で五年はかかるだろう。
「だが、ルナリア嬢も魔法の天才であることはたしかだ。彼女がレオディーナ嬢同様に螺旋訓練法を習得して研鑽を積み続けるなら、特に高い適性のある光……神殿で言うところの聖魔法ではレオディーナ嬢を超える可能性もある」
しかし、ルナリアも魔法を始めるには遅い歳ではない。彼女が熱意を持って取り組めば、魔道士として大成するのは確実だとバンクレットは見立てていた。
「正直、驚いた。上級貴族の子女でもルナリア嬢程の才能の持ち主は僅かだ。それが今まで見出されずにいたとは……」
「カタリナはクラハドール同様に魔法嫌いだったからな」
とんでもない損失だとため息を吐くバンクレットに、アルベルトは亡き正妻と義父に呆れながら同感だと頷いた。
「どうやら、魔力量の測定すらせず物心つく前から魔力を封印する方法だけを教え込んでいたようだな」
一流の使い手になれないのなら、時間をかけて覚えるほどの価値は魔法にはない。クラハドールとカタリナはそう言っていたが、ルナリアがその一流の使い手になれる才能の持ち主だったとは皮肉なことだ。
「しかし、ルナリアにそんな才能があったとは思わなかった」
ディーナの才能は彼女の曾祖母の血筋由来だと考えていたが、その場合ルナリアの才能の由来は何処なのか?
今まで培われてきた魔法の経験則から推測するなら両親、特に母親からの遺伝だ。しかし、カタリナからとは考えにくい。そしてアルベルトの魔力量は、自力では『明り』も使えない程度しかない。
「おそらく、隔世遺伝によるものだろう。ルナリア嬢の曾祖父、ビルギット・オルフェ伯爵様の血がルナリア嬢に色濃く表れたに違いない」
歴史あるオルフェ伯爵家は過去に何度も、上位貴族の令嬢を妻に迎えて来た。妾腹ではあったが王家の姫君を妻にしたこともある。その血を受けた先々代伯爵のビルギットの魔力量はかなりのもので、攻撃魔法の技量も宮廷魔道士に匹敵していた。
その技量のせいで魔龍ブラックデスロアー相手に善戦できてしまったため、引き際を誤って騎士団とお抱え魔道士共々全滅してしまったのだが。
「そうだな。だとすれば、やはり皮肉なことだ」
そのビルギットに反し過ぎる方針が徹底されていた一人娘が、ビルギットの魔法の才を色濃く受け継いでいたのだから。
(カタリナが知ったら……いや、死人の心情などどうでもいいか)
短く息を吐いて、アルベルトは思考を切り替えた。
「ルナリアに魔法の才能があったことは、喜ばしいことだ」
魔法の素質と技術は、貴族の格を決める要因の一つだ。正当な後継者のルナリアに優れた素質があると公にすれば、彼女が次期オルフェ伯爵夫人として認められる大きな助けになる。
「ギュスタン先生、引き続きディーナ同様にルナリアの家庭教師を依頼したい」
「願ってもない。喜んでお受けしよう」
二人目の天才少女の師となれることに、バンクレットの胸は高鳴った。
(アルベルト殿、そしてレオディーナ嬢と奥方には感謝しなければ。彼が方針を変えず、ルナリア嬢を排除するつもりのままだったら、私が彼女に魔法を教える機会は訪れなかったのだから!
っと、いかん)
興奮のあまり肝心なことを言い忘れるところだったと、
「先ほども言ったが、ルナリア嬢には回復魔法ならレオディーナ嬢を超える可能性がある。きっと、彼女も近い将来欠損部位を再生させられるようになるだろう。つまり――」
「神殿に知られるのは不味い、ということか」
レオディーナと違い伯爵家の正式な、しかも一人娘だから神殿も強引なことは出来ない……とも言いきれない。
何故なら現在のオルフェ伯爵家の力……影響力や存在感が低すぎるからだ。
「下手をすると、王家が神殿と手を組んでルナリアを聖女に認定。聖女を助けるためという名目で、オルフェ伯爵領は王家が管理する、ということになりかねない」
神殿は新たな聖女を手に入れ、王家は上位貴族の役割を果たさない伯爵家を片付ける名目が手に入る。
「そうならないためにアルベルト殿が社交を担当されていたのでは?」
「ギュスタン先生、その気になった神殿と王家を止められるような力は私には無いよ」
アルベルトが今まで出来たのは、オルフェ伯爵家の「貴族としての体面」の維持までだ。何も理由が無いのなら、王家もしばらく様子を見てくれるだろう。期待できるのはその程度でしかない。
「ルナリアも魔道士ギルドに登録するしかない。ギュスタン先生、彼女も弟子にしてくれないか?」
「本人の意思を確認しだいだが、承ろう」
三台の立派な馬車の一行が、街道を進んでいた。
「はぁ……」
その中の一台で、オレンジ色の巻き毛をした少年は憂鬱そうに景色を眺めている。
「長旅は疲れましたか、坊ちゃん?」
同乗している執事がそう尋ねるが、彼の憂いは晴れない。整った顔立ちの美少年であるため、そんな様子も絵になる。
「旅もだけれど……本当に会わなきゃダメかな?」
しかし、彼が憂鬱になっている理由は旅の疲れだけではなかった。
「急用ができたとかで、そのまま王都に向かってもいいんじゃないかな?」
「ダメです」
「やっぱりダメか~」
執事におねだりを却下された少年が、だらしなく座席に横になる。
絵になる美少年から、我儘な子供になった主に執事はため息を吐いた。
「カルナス坊ちゃん、落ち込んでいるだろう婚約者の令嬢を素通りする急用なんて、天地がひっくり返りでもしないと生えてきませんよ」
「分かってる……ただの気の迷いだよ」
ルナリアの婚約者、カルナス・ウェンディアは横になったままそう返事をした。
彼は、ウェンディア伯爵家の次男として生まれた。幼い頃から多くの使用人に傅かれていた彼は、自分が恵まれた存在であることを分かっていた。
しかし、物心つくころに始まった教育によって、それが期限付きであることを知った。次男である彼には伯爵家は継げないからだ。
長男である兄は三つ年上で、格上の家の令嬢と婚約している。自分はその兄の家臣になるか、平民になって身を立てるか、王都で騎士か文官になるしかない。
『なら、騎士になりたい! 英雄ビルギット・オルフェのような立派な騎士になってコクオーヘイカのお力になるんだ!』
英雄ビルギット・オルフェ伯爵。カルナスが生まれるずっと前に起きた魔龍大禍で命を落とした悲劇の英雄にして、忠義の騎士。
ビルギット達が魔龍ブラックデスロアーに挑み、命を賭したからこそアーガイル公爵夫人とその子供、そして多くの領民達が避難することが出来た。さらに、当時の第一王子が勝利したのも魔龍がビルギットとの戦いで傷を負っていたのが大きかったと記されている。
その英雄譚を物心つく前から読み聞かせられていたカルナスは、彼のようになりたいと夢見るようになった。
幸い、カルナスは才能に恵まれていた。勉強は苦手だったが身体能力に優れ、魔力量も兄より多かった。そして彼が生まれたウェンディア伯爵家は、元々騎士から身を立てた武門の家だ。剣も魔法も、師には事欠かなかった。
後の問題は王都で騎士に成れば、どんな出身でも騎士爵になること。平民よりは上だが男爵よりも下、準貴族の立場になることだ。
『僕ならすぐに功績をあげて爵位を貰えるさ。その機会はいくらだってある!』
その点に関しても、カルナスは楽天的だった。実際、魔物の被害は毎年出ているし、戦争も規模は異なるが二十年に一度は起きている。
そんな彼が十歳になった時、転機が訪れた。なんとオルフェ伯爵家のルナリア嬢との婚約が決まったのだ。
憧れているビルギットの曾孫で、しかも伯爵家の一人娘。彼女が成人したら婿入りして、オルフェ伯爵を継ぐ事が出来る。
『いいですか、カルナス。自分がどれほど恵まれているのか理解に努め、ルナリア嬢を大切にして彼女を決して離さないようにするのですよ』
有頂天になるカルナスに、彼の母はそう諭した。
『他の家に婿入りするのです。辛いことや理不尽に思うこともあるでしょう。でも、じっと耐えるのですよ』
カルナスの母、ウェンディア伯爵夫人は元々王宮で働いていた侍女だった。王都から西の国境沿いにある伯爵家に嫁入りした彼女は、環境の変化が大変なものであるのを実体験として知っていたのだろう。
『はい、母上!』
しかし、元気よく返事をした当時のカルナスは母が言いたかったことを理解していなかった。
それでも最初の頃は上手く行っていた。婚約が決まった翌月、初めて対面したルナリア・オルフェが美しく可憐な少女だったからだ。
銀糸のような髪に、宝石のようなアイスブルーの瞳。まるで妖精のように整った顔立ちの美少女が自分の婚約者であることに、カルナスの胸は高鳴った。
向かい合って話している間、お茶とお菓子がどんな味だったか思い出せないくらい、彼はルナリアに夢中だった。
それはカルナスの一方的な想いではないはずだ。ルナリアも彼を一目見て白かった頬を赤くして、彼の瞳を見つめ返していたから。楽しそうに彼の話を聞き、時折可愛らしい声で笑い、彼のことを「凄い」、「素晴らしい」と褒めてくれた。
三日間の滞在を終えて伯爵領を離れた後も、毎月手紙を送り合い、次に会える時を指折り数えた。
この婚約は順風満帆で何もかも上手くいく。そうカルナスは信じて疑っていなかった。
それが変わったのはルナリアとの婚約が決まってから、一年が過ぎた頃だった。楽天家な、はっきり言えば能天気なカルナスもそれぐらい時間が経ては色々と気が付いてしまう。
まず気になったのはルナリアの態度と恰好だった。
会っても話すのは自分ばかりで、彼女は相槌を打つだけ。感想も表情もいつも同じ。その際ルナリアが着ているのは簡素なワンピースで、装飾品は無し。そして彼女がカルナスに送る手紙は理路整然としていて……まるで書類のようだった。
婚約者のいる兄に相談すると、「それはお前にプレゼントしてほしいというアピールじゃないか?」と助言を受けた。そこでカルナスは建国記念日や神殿の祝祭、ルナリアの誕生日に合わせて様々な贈り物を贈った。執事や侍女に相談して、ルナリアに似合いそうなものを選んで。
また、ルナリアとの会話でも彼女から話を聞き出そうと積極的に促した。
だが前者の試みは九割失敗。オルフェ伯爵家からカルナスの両親に、「我が屋の家風に会わないことは控えていただきたい」と抗議された。
そして後者の試み自体は成功したが、それで分かったのは自分とルナリアでは話題が合わないことだった。数か月ぶりの婚約者との交流なのに、まるで家庭教師の授業のようになってしまったのだ。
両親はオルフェ伯爵家の無礼に憤ってくれた。しかし、ラドグリン王国では新興のウェンディア伯爵家にとってオルフェ伯爵家と親戚になるのは利益が大きく、強く出られない。
慰めてくれたが、今は辛抱するのだと諭された。
それからカルナスのルナリアに対する熱意は削がれ、一気に萎んだ。そして色々と分かってしまった。
まず、将来義母になるカタリナ夫人を筆頭に、婚約者のルナリアと婚約を纏めたアルベルト以外の全ての人々が、カルナスを嫌っていること。
そしてカルナス以上に、英雄であるはずのビルギットが彼の一族に「暗君」として嫌われていること。
さらに数少ない味方であるはずのアルベルトは、伯爵家では立場が弱く頼りにならない。
そうして気落ちしたカルナスは、ルナリアが本当に自分を好いてくれているのか信じられなくなった。彼女は凛として美しいが人形じみていて……「婚約者らしくするように」と夫人に言われて装っているだけではないか。そうカルナスは思うようになっていた。
自分が何をしても、ルナリアは人形のような微笑のまま「素晴らしいです、カルナス様」と繰り返すだけなんじゃないか? そんな不安を内心抱えたまま、態度を取り繕ってルナリアと交流し続けることさらに一年。
婚約が決まってから約二年が経ったが、カルナスは二歳年下の婚約者と仲良くなれた気がしていなかった。
(僕が恵まれていることは分かっている。ルナリアが嫌いになったわけでもない。でも――)
「坊ちゃん。カタリナ様を亡くされたばかりでルナリア様はきっと落ち込んでおられます。寄り添い、励まして差し上げなければ男が廃れますよ」
「……分かっているよ、ワイアット」
元騎士の執事、ワイアットの声でカルナスの意識は現実に戻った。しかし、どうしても気乗りしない。
「ワイアット、ルナリアになんて言えばいいかな?」
「坊ちゃん、いつも私達が言っているではありませんか。坊ちゃん自身がルナリア様を想い、考えることが大切なのですよ」
「はいはい、分かっているよ」
オルフェ伯爵家を訪問した後、カルナスはそのまま王都に向かう。十二歳の彼はウェンディア伯爵家のタウンハウスに滞在し、社交界にデビューするためだ。
煌びやかな王都での経験は、彼の狭い世界を広げ様々な影響を受けることになるだろう。
もしかしたら、新しくできた友人の婚約者や他の貴族令嬢とルナリアを比べて、より不満を貯め込むことになったかもしれない。そうなればルナリアへの贈り物選びを使用人任せにしたり、交流をおろそかにしてしまうこともありえただろう。
さらに、ルナリアと正反対にころころと表情を変え奔放に振舞う、何よりも分かり易い好意を伝えてくれる少女が現れたら、簡単に心変わりしてしまっただろう。
その状態で……常識で考えるならあり得ないことだがその少女がルナリアの異母妹で、伯爵家の実権を握った義父が婚約者をルナリアから異母妹に挿げ替えるよう企んだら、乗ってしまうかもしれない。
そんな可能性を秘めたカルナスはオルフェ伯爵家の本宅に到着し、伯爵家当主のアルベルト直々に出迎えを受けた。
妻を亡くしたばかりだが、将来義父になる彼には予想通り気落ちした様子は一切なく、一行を歓迎した。
そして通された応接間で、数か月ぶりにルナリアと再会した。
「お久しぶりです、カルナス様。お会いしたかったです」
頬を赤らめた少女の可憐なドレス姿に、カルナスは思わず見惚れ立ち尽くした。その胸は、初めて彼女に出会った時のように高鳴っていた。
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