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日本帝国立怪異研究学園―九尾の野望―  作者: 月乃宮 夜見
黒牡丹の監査者

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第九章:異変

「ようやく、見つけた」


そう声がかかった時、珠紀は身をすくませた。


「って、冥利先輩?」


そこに居たのは鳴星冥利だった。周囲には二人程生徒がいる。全員、三年生だ。


「すまない、驚かせてしまったようだね。君たちの他に、もう人はいないかな?」


「とりあえず、今居るのは5人みたいです」


珠紀は冥利に答える。


「そうか、それは良かった。道を作るから、校舎の方へ。教員達が護ってくれるから」


そう告げ、冥利は5人についてくるよう促す。

4人には2人の三年生が付き、彼らを校舎の方へ連れて行ってくれるようだ。


珠紀には冥利が付いてくれる。


「あ、あの私……っ!」


「何かな?」


意を決して冥利に話しかける。彼なら、何とかしてくれるだろうか。


「私、『九尾様の花嫁』だって、怪異達に呼ばれていて……」


「そうなのか。それで?」


「怪異達に追われているのは、私みたいだから……」


「ああ、人が多い所に行くのは気が引ける、と言う訳か」


「そうです……」


怪異たちの攻撃は一向に止まず、彼女の周囲だけが執拗に集中していた。

他の生徒たちは校舎に向かいながら、必死に怪異と戦っている。この光景が『九尾の花嫁』である自分のせいだと思うと、とても気分が悪い。


ケタケタ笑う声に振り返ると、一体の狐妖が不気味に笑いながら彼女に並走するように近づいていた。裂けた口から牙が覗く。


「くくっ……呪いが目覚め始めているな」


その呟きが、珠紀の耳に突き刺さった。


「(呪い……?)」


一瞬、足が止まりそうになる。「構うな」と冥利の声が聞こえたが、頭の中でその言葉が大きく反響した。さっきの「九尾様の花嫁」という呼び声と重なり、胸の奥に嫌な予感が広がる。


「呪いって……何? 私が……どうして……?」


軽い動揺が、恐怖と共に芽生えた。


自分に何が起きているのか。


なぜ怪異たちが自分だけを狙い、こんな言葉を投げかけてくるのか。


理解できない疑問が、混乱をさらに深めていく。


「……こんなことに、なるとは」


冥利が、小さく呟いた。その言葉に、胸の奥がつきんと痛む。彼が珠紀を怪異研究学園に連れてきたのは確かだ。だが、その時はそうするしかなかった。だから、冥利のせいではないと珠紀は思う。


「やっぱり、私……」


足を止めようとすると、冥利に手首を掴まれる。


「とにかく走れ! 話は後でで良いだろう!」


珠紀は歯を食いしばって再び走り出した。背後から甘い笑い声と「花嫁よ」の呼び声が追いかけてくる。


突然、目の前に怪異が滑るように現れた。


人間に極めて近い、妖艶な美女の姿。長い黒髪に狐耳が覗き、赤い着物をまとったその姿は、美しさと不気味さが同居していた。彼女は珠紀の逃げる先を先回りするように現れ、甘く溶けるような声で囁きかけてくる。


冥利が、珠紀をかばうように前に立った。


「お前はもう、とっくに我らのものだ。花嫁の刻印が体に刻まれているのを、気づいていないのか?」


その言葉と共に、人狐が白い指を珠紀に向かって伸ばす。それを、冥利が魂鳴具の唐笠で払った。怪異は姿を消す。触れられたわけではないのに、珠紀の肌がぞくりと粟立つ。


「……っ!?」


珠紀は思わず自分の首筋に手を当てた。指先が触れた瞬間、不思議な感覚が走る。鏡などない状況で、はっきりと視界に入ったわけではなかったが――彼女は感じた。自分の首筋に何かがある、と。


「いや……こんなの!」


恐怖が喉を締めつけた。珠紀は後退りながら首を激しく振った。刻印? 花嫁? 我らのもの? 意味が分からない。分かるはずがないのに、体が勝手にその言葉を理解しようとしているような、嫌な予感がした。


人狐は再び現れ、優しく、しかし残酷な微笑みを浮かべてさらに近付こうとしてくる。


「ほら、見てごらん。もう、お前の体は九尾様を求め始めている……」


珠紀の心臓が、激しく鳴り続ける。

これは夢か? それとも――本当に、自分に何か恐ろしい「呪い」が掛かっているというのか。


そのとき、別の方向から低く太い笑い声が響いた。


「ぐはははっ! まだ気づいていないとは、随分と鈍い花嫁だな!」


人狐の横に、新たな怪異が姿を現した。黒く逞しい体躯に、鋭い爪と金色の瞳を持つ男の姿をした狐の化身。

狐は大きく口を開け、嘲るように笑いながら宣言した。


「この学園に封じられた九尾様の力が、お前を呼んでいる。花嫁として、器として選ばれたのだ!」


「器……?」


珠紀は初めてその言葉を耳にし、意味が全く分からず混乱した。


頭が真っ白になる。思考が全く追いつかない。


しかし、その直後。

胸の奥に、熱い疼きのような感覚が走った。心臓の奥底から、じんわりと広がる熱。まるでそこに何かが眠っていて、今まさに目を覚まそうとしているかのような、不気味で甘い疼きだった。


「……っ、う……!」

「珠紀くん!」


珠紀は胸を押さえてよろめいた。息が苦しい。拒絶したいのに、体がその言葉に反応しているような感覚に、激しい嫌悪と恐怖が込み上げてくる。


「(何これ……? 体が、変……)」


人狐と男の狐は満足げに牙を覗かせ、再び笑う。「珠紀くん! 落ち着きたまえ!」冥利の声が聞こえるが、珠紀の身体は変異を始めていた。


「ほら、感じただろう? 九尾様の血が、お前の内で目覚め始めている証拠だ」


戦闘の混乱と悲鳴が渦巻く中、珠紀の混乱はさらに深まっていく。


そこへ、さらに別の怪異が加勢するように近づいてきた。細身で知的な印象の人型の狐で、灰色の毛並みに古めかしい装飾を身に着けている。


「ふふ……まだ半分も理解できていないようだな」


その怪異は楽しげに語り始めた。


「九尾様は長い間、この学園の奥深くに封印されている。あの強大な力が、お前の魂を通じて目覚めようとしているのだ。花嫁よ、お前はそのための器……いや、鍵そのものだ」


珠紀は息を飲んだ。


学園の古い伝説――獬豸殿に封印された、強大な怪異の話。


怪異が話しているので信用性は低いが、怪異たちは珠紀が知らないこともどんどん語っていく。


まさか、それが自分に関係しているなど、想像すらしていなかった。


「そんな……噓……」


衝撃が、波のように珠紀を襲った。


学園の奥深くに封じられた九尾の狐。


自分の魂を通じて目覚めようとしている力。


自分がその「花嫁」であり「器」だという事実に、頭が真っ白になる。


「(私と……九尾が……? どうして私が……!)」


恐怖で膝が震え、視界が狭くなる。胸の疼きはますます強くなり、首筋の紋様が熱を帯びて脈打つような感覚さえした。理解できない恐怖と、拒絶しきれない現実が、珠紀の心を激しく揺さぶる。


「……ふん。お前のような怪異など見たことがない。余計な事を告げる前に、自身の心配をした方が良いんじゃないか?」


低く、冥利が吐き捨てる。途端に、怪異たちはびくりと体を震わせた。


「何だ、人間か。お前に用事はない! 九尾様の花嫁を渡せ!」


男の狐が叫ぶ。だが怪異たちは、冥利の持つ唐笠の範囲より近付くことはできないようだった。


「僕にすら敵わない程度の下級怪異が、好き勝手に言うものじゃない。珠紀くんは人間だ。九尾の『器』なんてものではない」


冥利は、明確に否定した。そのことが、なんだか珠紀を安心させる。


「彼女が『九尾の花嫁』だろうが、お前たちには関係が無いだろう。大人しく帰ってもらう」


なんだか、冥利がいつもと違う。飄々とした雰囲気は鳴りを潜め、真剣な様子だ。本気で珠紀を守ってくれようとしているのだと、感じ取れた。


その時。戦場の喧騒を圧するような、荘厳で力強い声が周囲に響き渡った。


「――お前は九尾様の花嫁として生まれてきた。血の繋がり、魂の約束……忘れたとは言わせないぞ」


白く輝く毛並み持った、巨大な狐の姿。珠紀を、真っ直ぐに見下ろしている。その声には、嘲りではなく、どこか懐かしさと確信が込められていた。


その瞬間。

珠紀の頭の中に、断片的な記憶がフラッシュバックのように蘇った。


幼い頃に見た、繰り返しの奇妙な夢。

真っ赤な月夜に、優しく微笑む狐の影。

夜中に目が覚めると、部屋の隅に金色の目が浮かんでいたような……。


そして、家族の秘密めいた言動。母が時折見せた悲しげな表情と、「珠紀は特別な子なのよ」という謎めいた言葉。


「(……あれは、全部……?)」


血の繋がり。

魂の約束。


その言葉が、珠紀の胸の奥に重く響いた。


今までただの夢や気のせいだと思っていた記憶が、突然、九尾の狐と自分を結びつける因果のように感じられた。


「いや……そんな……」


珠紀は頭を抱えてうずくまった。


「珠紀くん!?」


冥利が声を掛けるが、それすら遠く感じる。


初めて、自分の過去と現在の異常が繋がり始めた恐怖。


自分がただの転校生などではなく、最初からこの学園――いや、九尾の封印と深く関わっていたのではないかという、強烈な予感。


狐の声はさらに優しく、しかし容赦なく続いた。


「思い出せ、花嫁よ。我らは長い間、お前を待っていたのだ……」


珠紀の心は、激しい混乱と拒絶、そして拭いきれない既視感の間で、激しく揺れ動いていた。


「珠紀くん! 怪異の言葉に耳を貸すな!」


冥利は変わらず声を掛け続けている。


「……だけど」


珠紀は思わず呟いた。自分の存在が、そもそも間違っていたのならと。


「私が、学園に来たのは間違いだったんだ……」


自分が学園にさえ来なければ、この学園は怪異たちに襲撃されず、こんな惨状にならなかっただろう。


「そんなことはない!」


冥利が、珠紀の肩を掴んだ。はっとして、珠紀は顔を上げる。


「君は、僕たちの判断で学園に連れてこられて、留まることになった。そこに、君の落ち度はない!」


「で、でも……」


「授業でも言っていただろう。『怪異は精神に干渉してくる』と。怪異の言葉はまともに聞いてはいけない。知能が高い怪異は特にだ。怪異たちは、君を揺さぶることを目的にしている。君は惑わされてはいけない」


はっきりと冥利に断言され、珠紀はなんだか強い安心感を得た。


「ふん! 何も知らぬ人間のくせに、戯言を抜かすな!」


白く輝く毛並み持った巨大な狐は、冥利に言い返す。


「九尾様の花嫁は、我々の元へ来るべきなのだ!」


「彼女が『九尾の花嫁』だろうが、渡すわけにはいかないね。彼女を連れてきたのは僕だ」


言葉の応酬に翻弄され、珠紀は混乱する。


その瞬間、珠紀の体に異変が起きた。


視界が、一瞬だけ歪んだ。


「……っ!?」


そして珠紀は、はっきりと肉体に変化が起こったのだと自覚した。


視界が不自然に明るくなり、世界が少しだけ違って見える。怪異たちの姿が、よりはっきりと綺麗に見えた。――その目は、狐のように瞳孔が縦に裂けていた。


耳のあたりが熱を帯び、じんじんと疼いた。まるでそこに何かが生えようとしているかのような、異様な圧迫感。背骨の付け根にも、ふわっとした重み――狐の尾の気配のようなものが、ぼんやりと浮かび上がる感覚がした。


「う……ぐっ……!」

「珠紀くん!」


激しい吐き気が込み上げ、珠紀は地面に片手をついて耐えた。声を掛けるが、冥利は怪異たちに向き合ったままだ。


体が熱い。冷たい。自分のものではないような、異質な感覚が全身を駆け巡る。


「(これは……私の体じゃない……!)」


現実感が、急速に薄れていく。自分の手を見下ろしても、指先がわずかに尖っているような気がして、激しい恐怖が波のように襲ってきた。息が荒く、涙が溢れる。


「いや……やめて……これは、私……!」


珠紀は声を振り絞ったが、喉から出た声はわずかに掠れ、いつもより艶めいた響きを帯びているように感じられた。


戦場の混乱の中で、彼女は内側から崩壊し始めていた。体と魂が、ゆっくりと何かに書き換えられようとしている――その恐怖が、珠紀の心を容赦なく蝕んでいった。


「珠紀くん! 気をしっかり持て!」


冥利の焦ったような声が遠くで聞こえる。なんだか珍しいな、と一周回ってほほえましく感じる。


「君は、まだ人間なんだ。まだ戻る事ができる――だから、気をしっかり持て」


そう冥利に告げられ、「え?」と珠紀は顔を上げた。


「世の中には、怪異にされた人間が山ほどいる。扱いは基本的に行方不明となるが――うちの学園に保護されれば、安全に暮らすことも、人間に近い生活に戻る事だってできる」


そんな事、初めて知った。恐怖心が、段々と薄れて行ったような気がする。


「怪異化したからと言って、絶望することはない。それに、君はまだ人間だ。怪異なんかに惑わされるな」


「九尾様の花嫁になんてことを言うのだ!」

「九尾様の器……」


怪異達の焦る声がする。

それを、冥利は鼻で嗤う。


「怪異たちも『勝手な憶測』を言うものなんだな。特に『九尾様の器』と言う怪異たちは、根拠があって言っているのだろうね?」


指摘され、怪異たちはたじろぐ。


「だがその人間は『九尾様の花嫁』だ! 間違いはない!」


そこへ、次々と怪異たちの声が重なり合う。


「花嫁よ……」

「九尾様の器……」

「刻印はすでに目覚めている」

「魂の約束を果たせ……」


狐の嘲笑、甘い誘い、呼び声――それらが珠紀の頭の中で渦を巻き、ひとつに結びついた。


「(……呪い……)」


その瞬間、すべてがはっきりと繋がった。

自分に掛けられた呪いの正体は、九尾の狐の影響。

学園の奥深くに封じられた強大な力が、自分の体と魂を侵食し、怪異へと変えようとしている。

そして自分は、九尾の花嫁として最初から選ばれた存在だという、残酷な事実。


「確かに珠紀くんは『九尾の花嫁』だ」


冥利に明言され、


「…………あ……」


珠紀は肩を抱く。

絶望と混乱が、波のように全身を飲み込んだ。


「わ、私は……」


頭の中が真っ白になり、胸の疼き、首筋の紋様、金色の虹彩、狐の尾の気配——すべてが一気に現実味を帯びて迫ってくる。


「(私……九尾の……花嫁? そんなの……認められない……! どうして私が……!)」


涙が溢れ、視界がぼやける。体が自分のものではないような異物感と、受け止めきれない恐怖で、珠紀はただ震えることしかできなかった。


「――だが、それがどうした」


冥利は言い切った。

そのあまりにも堂々とした様に、珠紀は目を見開く。周囲の怪異たちもたじろいでいる様子だ。


「彼女が『九尾の花嫁』であることと、お前たちが学園を襲うことには何も関係が無い。お前達が、勝手に学園を襲っているだけじゃないか」


その言葉に、珠紀は呆然とする。言われて見れば、怪異たちは珠紀を奪還すればよいだけなのに、学園中をむやみやたらに襲っている。それは理由が通っていない気がした。


「黙れ黙れ!」


周囲に居る怪異たちが、珠紀と冥利へと襲い掛かってくる。

しかし、冥利が魂鳴具の唐笠を振るだけで、霧散していった。残る巨大な狐は、攻撃をたじろいでいる様子だ。


「先輩……強いですね?」


思わず珠紀が呟くと、


「ふん。僕は天才なのだから、ね」


そう冥利は振り返った。


「答えになってないですよ」


思わず笑ってしまった。


そのとき――


「全生徒、退避せよ!」

「結界展開! 反撃準備!」


学園側の教師たちと上級生たちの声が、戦場に響き渡った。


白澤殿や青龍殿の生徒たちが連携して大規模な結界を張り、麒麟殿の分析班が怪異の弱点を瞬時に見抜いて指示を飛ばす。


学園長の梅鶯桃華の小さな姿が壇上で輝く光を放ち、強力な封印術が展開された。


「今だ! 押し返せ!」


爆発的な光と魔力の奔流が百鬼夜行を襲い、怪異たちが一斉に悲鳴を上げて後退し始めた。狐火が掻き消え、影の怪物たちが闇の中へ溶けるように退いていく。


珠紀は膝をついたまま、呆然とその光景を見つめていた。


百鬼夜行は後退する。校庭には破壊の跡と負傷した生徒たち、焦げた花弁が散らばっていた。


しかし珠紀の胸の中では、「九尾の花嫁」という現実が、熱い棘のように深く突き刺さったままだった。


「(まだ……終わっていない……)」


学園に訪れた束の間の静寂の中で、珠紀は初めて、自分の運命が大きく動き始めたことを痛感した。


「まだ、周囲に残っているね」


魂鳴具を収め、静かに冥利が呟く。周囲には、はっきりとした脅威は無いようだ。


「……珠紀くん、立てるかい?」


冥利に手を差し出され、


「……はい」


と珠紀はその手を取った。しっかりと握られて、引き上げられる。それに従って、珠紀は立った。


「体の異変はどうかな?」


「……なんとなく、治まった気がします」


「それなら良かった。さっきの君は、大分怪異たちに惑わされていたようだったからね」


苦笑交じりに冥利に言われ、珠紀は俯く。今は見た目に変化はないけれど、また怪異たちに何か言われてしまえば、変化しようとしてしまうのだろうか。そんな不安が付きまとう。


「ともかく、一旦、身体を見てもらった方が良いかもしれないね。全部が片付いた後になると思うけれど、白虎殿に寄ると良い」


「そうですね、ありがとうございます」


そうして、珠紀は冥利と共に校舎に向かって歩き始めた。


校庭は惨状を呈していた。美しい大正ロマン風の庭園は踏み荒らされ、花弁が泥と血にまみれ、倒れた提灯から細い煙が上がっている。負傷した生徒たちのうめき声や、荒い息遣いがあちこちから聞こえてきた。


珠紀はゆっくりと、周囲を見回した。体中が痛み、首筋の熱と胸の疼きがまだ残っている。


「(九尾の花嫁……って、何だろう)」


特別な存在なのは分かるが、それ以外がさっぱりと分からない。


「君が気にすることはないさ」


そう、冥利は告げていたけれど。

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