高校1年生編 5章 第4話 現場へ
次回は5月8日投稿予定です
「それでバラバラで行動することになったってことか?」
ルベルは空を飛びながら自身の周辺にいる仲間に聞いた。彼の周りには星辰、アクイラ、ルベル、そして彼の父であるロカがいる。
ロカはミュータントでサイキッカーでは無いが、銀河連邦警察の制服には空中を浮遊する機能があるため、彼の様な超能力が無い者でもこの制服さえあれば空を飛べる。
「うん」
星辰はルベルの問いに素直に頷いた。
「ふん。戦力の分散だな」
まるで吐き捨てるかの様にルベルは言った。
「おい。ルベル。星辰君はな……」
ルベルの物言いをロカが嗜めようと話に入ってきた。
「いえ、ロカ署長。彼の言う通りです。僕が言った事で戦力が分散しているのは事実ですから」
星辰はそう言うと少しだけバツが悪い様に笑った。
「その様に決断したのは、俺だ。星辰君」
ロカが顔を星辰に向ける。
「お前も父さんも勘違いしている様だが、別に責めている訳じゃない。この場合は、そうでもしないと他の二箇所の被害が拡大するからな」
(じゃあ、そう言えよ。相変わらず言葉の足りない野郎だな)
ルベルの話を聞いてアクイラは半ば呆れた様にため息をついた。ルベルとはそれなりに長い付き合いになったが、良くも悪くも彼は余り変わらない。
「三つの部隊の内、一つは月影が、もう一つ別の地域からの応援を頼んでいる」
「やれやれ、それで、また、この地球方面の署長が自ら出勤ですか?」
ルベルが父である、ロカをからかう様にニヤッと笑った。
「しょうがねえだろう。人材不足なんだよ。俺も出張らないと現場が回らねえ」
ロカは息子の方を見て彼を怒鳴りつけた。
「やれやれ、こんな田舎の星では中央から来てくれる警察官もいませんか?」
「チッ。わかってる事をベラベラと……」
ルベルの皮肉めいた口ぶりにロカは舌打ちした。
「大地や一君の様な人材が見つかれば……」
親子二人の会話を聞いた星辰が呟いた。
「星辰君。あの二人ほどのミュータントやサイキッカーは、そう簡単に見つからんよ。おっと、見えてきたぞ」
ロカの言葉を聞いた残りの三人も前方を確認した。
建物やビルから煙が見え、何人かのサイボーグが視認できた。
「フン。派手にやってるな……」
「行くぞ、全員、気を引き締めろよ!」
ロカはそう言うといの一番で、暴れているサイボーグへと向かって言った。
(我が父ながら、暴れたいだけじゃ無いのか? あの人……)
ルベルはロカの背中を半ば呆れた様に見ていた。
数十分後。
サイボーグの暴動はあっさりと鎮圧された。
「フン。歯応えがないな」
ルベルがやれやれと言いたい様にため息をついた。
「……」
他の三人は誰も喋らない。
(おそらく、このサイボーグは陽動。次が本命の……)
「星辰!」
星辰が考え事をしていると、アクイラが不意に叫んだ。
「!」
星辰の目の前に人影が現れ、彼を殴りつけてきた。星辰ですら、接近に気が付かないほどの速さだった。
「ほう。この拳打を防ぐとは……」
星辰はすんでのところ自分の右腕で、その拳打を防御した。アクイラが星辰の名を呼ばなければ、クリーンヒットしていたかも知れない。それほどの速さだった。
星辰を殴りつけてきた相手は、フンと鼻を鳴らすと距離を取る様に後ろに飛んだ。なかなかの跳躍力だ。
「いつの間にか囲まれているな」
ルベルが周辺を見渡す。確かに四人を取り囲む様に大勢の人影がある。しかも、全員地球人ではない。
「宇宙人か?」
ロカも周辺を見渡し囲んでいる連中を目で確認した。囲んでいる全員が、地球人とは言いがたい姿をしていた。
(獣人? いや、何か違う?)
アクイラは取り囲む連中を見て違和感を感じた。
宇宙人には獣の姿の宇宙人もいるが、周りを取り囲む連中は獣人の様にも見えるが何か違った。
「ヘテローシス……」
その時、星辰が呟いた。
「ほう。こんなにも早く気づくとはな……」
星辰を殴ってきた男が、感心した様にニヤッと笑った。




