高校1年生編 5章 第5話 ヘテローシス
次は5月15日ごろ投稿予定です
「ヘテローシス? なんだ?」
周辺を警戒ながらもヘテローシスと言う耳慣れない言葉の意味を尋ねる様にアクイラは星辰を見た。
「日本語で雑種強勢。遺伝的に異なる種が交配して出来た子は両親の系統どちらよりも優れた性質を持つ現象のことだ。そんなことも知らんのか?」
星辰の代わりにルベルがアクイラの質問に答える。いささか皮肉めいているが。
「うるせえ。こちとらまともな教育受けてねえんだよ」
アクイラはルベルの方を向いて悪態をついた。
「例えばラバ」
次は星辰が言葉を発する。
「馬とロバのハイブリッドの動物だな」
「そう。馬とロバが交配して生まれてくるラバは馬よりも賢く。ロバよりも頑丈なんだ」
「要するに、こいつらは人間と動物のハイブリッドだと星辰君は言いたいのか?」
ロカが目線だけ星辰に向け彼に聞いた。
「はい。ただのカンなんですが……」
「こいつら全員、人間と動物のハーフだって?」
アクイラは周りを取り囲む連中をグルリと見渡した。全員二本の足で立っている。そこは人間と変わらない。だが、確かに人間と同じでは無い。だが、他の星にいる漫画やゲームに出てくる獣人とも確かに何か違った。
「そうだ。流石にカンが良い」
星辰に殴りかかってきた男が会話を割く様に話かけてきた。
「紅鏡星辰の言っている通りだ。我々は人間と動物のハイブリッドだよ。俺は人間と地球で言うところのライオンのハーフだ」
「人間とライオンのハーフだと。科学や文明が進んでいるとはいえ、そんなことが……」
「出来たのさ。ロカ署長。全く銀河連邦警察の技術力には恐れ入る」
そんなことが出来るわけが無いと言おうとしたロカの言葉を男は遮った。
(こいつら、あのクスカどもと同じ銀河連邦警察の実験体か)
アクイラはチラッと星辰を見つめる。星辰は静かな表情で喋っている男を見つめていた。
「おっと、名を名乗るのを忘れていたな。失礼した。俺はオメラスと言う」
オメラスと名乗った男は、そう言うと頭を少し下げた。
「ロカ署長。彼が人間と動物のハイブリッドっと言うのは本当かと思います」
今度は星辰がロカに視線を送る。
(銀河警察め。彼らの様な存在まで生み出していたとは……)
ロカは人間と動物のハイブリッドたちを見ながら唇を噛んだ、
「それで、銀河連邦警察に愛想をつかして犯罪組織の一員となったか?」
「まあ、銀河連邦警察よりマシだと思ってね。アルゴルは。ただ、共存共栄の協力関係と言った方が良いかも知れんがね」
(互いに利用し合っている関係か……)
オメラスの口ぶりから星辰はアルゴルと彼らが仲間と言うより互いに互いを利用している同盟関係にあると推測した。
「それで何が目的だ。銀河連邦警察への意趣返しに俺たちを潰そうとでも言うのか?」
「それも面白そうだが……。シンプルにそこの紅鏡星辰に会いたくてね」
ルベルの問いにオメラスはそう答えた。
「星辰に会いにきただと?」
「そうだ。同じ銀河連邦警察の実験体としてね。特に他意はないが……。だが、一応聞いておくか……。どうだ、我々の仲間にならないか?」
「それを、はい。分かりましたと言う星辰じゃねえぜ」
「アクイラとか言ったな。こいつの性格は知っているつもりだ。だが、銀河連邦警察の汚い一面を知っている今、少しくらいは耳を傾けるのではないかね?」
アクイラのことばにオメラスは少し笑いながら問いを返した。
「オメラス。その申し出は断る」
「そうか。まあ、そう言うだろうな。しかし、銀河連邦警察に正義などないぞ。そう思わないか?」
「……。確かに昔の僕は銀河連邦警察の正義を信じていた……」
「今は違うのか?」
「今の僕は正義のためだけに銀河連邦警察にいる訳じゃあない。ただ、困っている人を助けたいだけ。それだけだよ」
オメラスの問いに、星辰は真っ直ぐに彼を見つめながら答えた。




