八歳になりました!―1
「リアは本当にユリシーズ王子殿下の…?」
アナベラ様は明確な言葉を言うのが怖いみたいでした。アナベラ様はこのままいくとルクアイン侯爵になりますし、リズと会ったのは前のお茶会と今日だけですし一目惚れとかじゃなければリズが好きってわけではないとは思いますが、どうしたのでしょう?
「そうですわよ。」
「ルルシーナ様はご存じだったんですか?」
「お茶会の時にアナベラ様に伝言を頼みましたよね?」
「リアが将来、義妹になるかもしれないっていうのですよね。」
「はい。あれはリアーネ様がリズ―ユリシーズ王子殿下の最愛であるという意味だったんです。
私の義妹になるかもしれないという事はリックと婚約するという意味に聞こえるかもしれませんが、ルクアイン侯爵家にはエレナ叔母様が嫁がれてますからその必要はありません。となると、ルクナティア公爵家に養子に来るという意味になります。どうして家に養子に来るのかといいますと家が三公の一つだからです。王家の人に嫁ぐには親のどちらかが三公でなければなりませんから。エレナ叔母様はルクナティア公爵家(三公)出身とはいえ公爵位を継いだわけではありませんし。」
そして、私たちが話しているとリアーネ様が話しかけようとこちらにいらっしゃったので今の話を中断しました。
「あの、お姉様とルルシーナ殿下。少々よろしいですか?」
物凄く申し訳なさそうな顔をしています。どうしたのでしょうか?
「そういうことでしたらリズ、ちょっとあちらに行きますわよ。」
「え、ちょっとアレナねぇ⁈」
リズが引きずられていきました。こちらをすごく名残惜しそうに見ています。
「リアーネ様、殿下と呼ばなくて結構です。」
「では、ルルシーナ様と呼ばせていただきますね。
それで、あの、ですね。申し訳ありません、ルルシーナ様。」
リアーネ様の言葉に私は一瞬、固まってしまいました。
「リアーネ様、いったん頭を上げてください。それに、なぜ謝るのですか?」
「私たちがここに来たのって単純にルルシーナ様をお祝いするわけじゃないんです。だから、申し訳ないと思いまして…」
リアーネ様はとても聡いですね。ですが、優しすぎます。それだと少し困りますね。貴族は優しいだけだと生き残れません。身ぐるみはがされます。
「リアーネ様は気づかれたのですね。別にユリシーズ王子殿下の事はもう一人の弟のように思ってますし、むしろリアーネ様の方が心配ですし。」
一人でうなずきながらもシアに状況を説明します。
《シア、リアーネ様がリズと顔合わせをするためにここに来たという事に気づかれちゃいました。》
《まぁ。それだけリアーネ様は聡いのですわね。少し、予想外でしたわ。ルシー、わたくしはちょっとリズに説教をしてますのでしばらくは戻れませんわ。》
そして、その後は申し訳なさそうなリアーネ様とリアーネ様の言葉で途端に申し訳なさそうになったアナベラ様をなだめました。
「本当に、本当にすみませんでした。」
「お姉様が謝ることでは……
いや、私の方こそ本当に申し訳ありません。」
「え、別にお二人が謝ることじゃないですよ。むしろ、謝るべきなのはリズの方です。あ、リズは今、シアのお説教を受けてるのでここには戻ってきませんから安心してくださいね。」
「…お説教。」
「ですがっ。」
「アナベラ様。そこは私達になれてもらえたら嬉しいのですが……
そうですねぇ、お二人の気が済まないのでしたら、私を愛称で呼んでください。お二人の事もアナ、リアと呼ばせていただきますので。」
そうして、お二人の愛称呼びというものを得た私は7歳最後の日を終えたのでした。




