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1-43 悪巧み7


「痛めつけるでもなく殺すつもりで剣を構えてんだろ?じゃあお前たちも殺されても文句は無いよな。異論がある奴は申し出ろ。聞くだけ聞いてやる。」


「舐めた口きいてんじゃねぇぞ。俺たちゃ領主様の命令で動いてるんだ。逆らうってことは領主様を敵に回すってことだ。その意味が分かってんのか?」


アッシュは私兵たちの言い分にやれやれと言った仕草で仕方なさそうに説明してやる。


「分かってるも何も元々俺の事を目の敵にしてるのは領主の方だし、それに今の領主に味方なんてお前たちぐらいしか残ってないんじゃないのか?現に館の前に俺がいるのに誰も応援に出てこないぜ。」


痛いところを突かれたのか、はたまた初めて自分たちが置かれた状況に気が付いたのか私兵たちに動揺が走る。


「お、お前は一体何者なんだ?」


「あぁ、自己紹介がまだだったな。俺の名はアッシュと言う。生き残れたら覚えておけ。今度は俺から質問するが間違えないように答えろよ。この女と子供を痛めつけた奴はどいつだ。」


アッシュの名を聞いた私兵たちは驚き歓喜した。今まで散々探しても見つからなかったのに目の前に不用心にも現れたのは懸賞金が付いたお尋ね者だった。生け捕りが出来ればアルトリウスも喜び更に報奨金をはずんでくれることは間違いないだろうが、殺したところで死体でも十分な金になる。先ほどまでの動揺は金への欲望で吹き飛び全員が武器を握る手に力を込めた。


「お前がアッシュとはな。俺たちに散々痛めつけられた後に領主様に拷問にかけられるのも嫌だろ。大人しく俺たちに捕まる気はねぇか?」


「不正解だ。」


アッシュはポケットから小石を取り出すと話しかけてきた私兵に向かって力を込めて投げつけた。


ボシュッ


投げつけられた石は容易く私兵の胸を穿ち後ろの景色を覗かせた。一瞬の間を開けて大量の血が泡となって吹き出してくる。私兵が呼吸をしようと喘ぐが吸い込んだ空気が穿たれた肺からもれ傷口から血と共に噴き出してくる。信じられないものを見たように自分の胸に空いた穴を見ながら口を動かすが言葉になる事は無くその場で崩れ落ちた。つまらない物でも見たかのように舌打ちをしてアッシュが口を開く。


「俺が聞いたことに答えろ。誰だと聞いたはずだが?」


瞬く間に殺された仲間の死体を見た私兵たちは怯むことなくアッシュへの怒りへと変えて敵意を剥き出しにしながら吼えた。


「一斉にかかれ、殺すぞ。」


四方から襲い掛かる私兵たちの間をアッシュは空を飛ぶ時に見せる射出力で切り抜け距離を取っての投石で二人を仕留める。私兵たちも負けずと投げナイフで応戦してくるがアッシュは構わず素手で顔だけ防御した。胸へと投げられたナイフは刺さることなくその場に落ちた。腕と足には深々とナイフが突き刺さっているがアッシュの動きは止まらなかった。アッシュの手元から低く伸びる様に炎が広がっていき私兵たちの足を炭化させた。人が焦げる嫌な臭いが辺りに立ち込めアッシュは顔を顰めた。あまりに酷い火傷にその場でショック死する者もいたが何とか3人ほど生き残っていた。


「もう少し生き残るかと思ったんだがお前等意外と根性無いな。どうせなら泣き叫んでみたらどうだ?領主様が助けにやってきてくれるかもしれんぞ。」


動けなくなった私兵たちにアッシュがゆっくりと近づいてくる。悲鳴すらあげることも出来ず地面を這い逃げようと足掻くが直ぐにアッシュの足で踏みつけられ腕の骨を砕かれた。私兵の自由を完全に奪ったアッシュは自分の体に突き刺さったナイフを強引に引き抜き私兵たちの腕をナイフで地面に縫い付けた。


「さぁて手間を掛けさせてくれたが、お前たちは選ぶ権利を与えてやろう。」


私兵たちはアッシュの問い掛けに、これから始まるであろう地獄を予感し生き残ったことを後悔し始めていた。


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