1-29 小休止
アゴル村の建築ラッシュは遂に防壁を建設する段階を迎えていた。オーガたちによって木材は豊富に手に入り、さらに怪力のオーガが建築を手伝っているのだから家の出来上がる速度も驚くべき速さというわけだ。アッシュの提案により何に使うのか訳の分からない倉庫まで作らされていたようだが、一通りの建築物が揃った事で次の段階へと進み防壁作りが提案されていた。フォウやサーシャたちから迷宮の洞窟の場所が伝えられ、オーガたちによって石材の採取と運搬が計画されている。建築や運搬に参加してくれているオーガたちは集落から参加してくれているのだが、いちいち森から通うのも時間の無駄になる。
「いっその事ここに寝泊まりできる家があれば通ってくる手間も省けるだろ。」
アッシュのその一言により、村にはオーガたち用の大きめの住居迄作らせてしまった。新たな防壁の建築計画にオーガたち用の住居も合わせて増設される。サイズ的な問題で今まで細かな作業を苦手としてきたオーガたちにとってもアゴル村での生活は快適な様だった。まだ本格的に移住してくるものは現れてはいないがこのまま交流を続けていれば時間の問題だろう。こうして着々とアゴルは発展を遂げていた。
アッシュはというとアゴルの今後の計画が決まると発展に更なる加速を求めて手に職を持つ技術者を探しにドベルに向かう事になった。相変わらずフォウとサーシャの反対に遭ったがアッシュ一人ならば城壁を飛び越えて潜入できると渋々ながらに納得していた。今回、再度ドベルに向かうことなったのには実はもう一つの目的がある。サーシャが以前にポツリと漏らしていたのだが、教会の大神官クラスには失われた体の四肢を再生できるものもいるというのだ。未だリアの腕は失われたままで恨み言1つ言うわけでも無く元気に村で暮らしている。何かにつけて気にかけてはいるのだがリアの姿を見るたびにアッシュの心には刺さるものがあった。ドベルに行って何とか教会の大神官を連れてくるか若しくは修得できるものであれば何としても手に入れたい。本当の理由を言ってしまえば必要ないと止められることは分かっていたのでアゴルでの作業が落ち着くのを待って行動に移す事にした。
着地の失敗に備えてアッシュ用の耐衝撃用防護服が村の女性陣の手によって製作されていた。各部を革で補強し胴体部には鎖帷子を仕込んだ防刃仕様となったジャンプスーツはアッシュの希望により黒く染め上げられていた。一人での移動は飛んでいけば然程時間もかからず目的地まで辿り着ける。昼間だと防壁を飛び越えるには人目に付きやすい為、夜間に出発しドベルに侵入する運びとなった。久しぶりに空いた時間をフォウやサーシャとのんびりと過ごす事にした。




