表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/52

1-24 妖の森

「マスター、アゴル村の雰囲気が前と違ってる気がするんですが?」


フォウに言われて気が付いたが以前滞在していた時は暗く活気が無かったが今は新しい建築物も増え村人たちの表情も格段に明るくなっていた。


「前に来た時はゴブリン被害の直後だったし怪我人も多数いたからな。それに俺たちも今ほど打ち解けてなったから余計に感じるんじゃないか。」


「マスター。そうかもしれませんね。」


嬉しそうに笑うフォウを見ながらアッシュはアゴル村に戻って良かったと感じていたが、感傷に浸る間もなく1号たちが現れ村長引継ぎの雑事にアッシュを連れて行ってしまった。

残された一行は荷を解く暇もなく急遽、住居作りに駆り出された。とりあえず寝泊まりする部屋はあるのだが、やはり世帯ごとに住居があった方が良いという事で村の至る場所で住居が急増されていた。同じく新たな村長の家としてアッシュたちの家も新築される予定だ。住居が完成するまでは仮住まいで多少の不便はあるかもしれないが時間をかけて自分たちで理想の家を作り上げるのも悪くないとドベルからの移住組からは目立った不満は出ていない。


「やっぱ旦那はすげーっすね。久しぶりに会ったと思ったらこんなに移住希望者を連れてくるなんて。村が賑やかになって俺、嬉しいっすよ。」


建築の様子を眺めていたアッシュに1号はニタニタと笑いながら話しかけてくる。久しぶりに会ったが、村の連中や村長よりアッシュの来訪を喜んでくれたのが1号だった。


「お前らも元気そうだな。移住希望者を連れてこられたのもお前らが真面目に働いてくれたおかげだな。見直したよ。」


「当たり前っすよ。なんせおいら達は命がけですから、この村の働き者より遥かに働いた自信があるっす。でも働き過ぎて木材が足らないんすよね。アゴルの木は伐採するわけにも行かねぇですし。」


「近くに森があるだろ。木材には困らないだろう?


「何言ってんすかアッシュさん。村長になったんなら村の周辺位は頭に入れといて下さいよ。アッシュさんの言ってる森ってのは妖の森の事っすよね。あんなとこで伐採なんてしてたら魔物に食われて一貫の終わりっすね。魔物が大量にうろついてますし、その中でもオーガってのが特にやばいっす。」


「オーガ?そんな魔物が住み着いてるのか?」


「見た目はゴブリン共に似てるんですが、あんなひょろっとした感じじゃなくてデカくてごついっす。それに頭が良いから武器や罠まで使うんで手に負えないっすよ。調子に乗って森に入っていった奴らは身ぐるみはがされて魔物の餌にされちまうって話っす。」


「昔のお前らと変わらんな。じゃあ俺も一緒に行ってやるからササっと木材を調達するぞ。」


1号は諦めているようだが木材が必要な事実に変わりはないのでアッシュが強制的に伐採班を招集する。集められたのは過去野盗だった12人たちだ。1号は無理無理と顔の前で手を振っているが彼らに拒否権は無い。アゴルで恋人でも見つけたのか数人の女たちが涙ぐみながら招集された男たちと別れを惜しんでいる。アッシュからしてみれば、近くの森で木を切ってくるだけなので笑ってしまいそうになるが女たちの冷たい視線を浴び、その場を早々に退散した。

同時に移住組から数人手配し妖の森とアゴル村までの最短距離で道を整備させることにした。今後木材は必要になるし何より伐採した木材を村まで運ぶ為に道を整備することは今後の事を考えても必要だった。各自に役割を振るとアッシュが号令をかけそれぞれの目的地に出発していった。


妖の森に着くと1号たちはあからさまに動揺し始めた。アッシュからしてみれば鬱蒼としているが別段、変わったところは無く恐怖の由来を知らなければ只の森と大差ない。アッシュは迷わず木を切り倒すように命じた。森に潜む魔物より、後ろでにこやかに指揮を執るアッシュへの恐怖が勝り1号たちは森の入り口近くの木々を切り倒し始める。周辺の警戒をアッシュが担当し他の者が伐採して運べる大きさに分割していく。1号たちも早く撤収したいらしく機敏に動いている。途中、人間の気配を感じ取ったのかオオカミを更に巨大にしたような魔物と同じく巨大な猪のような魔物が何度か襲撃してきた。巨大な犬や豚に襲われれば動揺はするが今まで散々オークやゴブリンという異形の怪物を相手にしてきたアッシュからしてみれば所詮は犬と猪だ。皆に動揺が広がる前にアッシュが素早く撲殺しておいた。

1号曰くオオカミ擬きはダイアウルフと言うらしく食料には向かないが素材として重宝され貴重らしい。もう一方の猪擬きはスタンプと言って食用として非常に人気との事だった。持ち帰って喜ばれる物ならば集めておいて木材と共に村へ運んでもらう事にした。伐採も魔物狩りも順調に進み初日は大収穫で帰路に就いた。


村では移住組の初日の夜という事もあり歓迎会を兼ねた宴会が行われアッシュたちが持ち帰ったスタンプも食材となって皆の胃袋に収納されて行った。中でもスタンプの丸焼きには子供たちとフォウが大興奮し食べ過ぎで動けなくなるほどだった。


「村長、妖の森ってそんなに危険な所なのか?今日行ってみたけど魔物は出るけど問題なかったぞ。」


「私は元村長ですから今の村長はアッシュさんです。もちろんアッシュさんは簡単に言いますがダイアウルフだけでも非常に危険ですから。我らだけでは噛み殺されて奴らの晩飯になるのが関の山です。それに本当に恐ろしいのはオーガ、奴らは頭が良いですからな。ちなみに私の名前はダリルですので。」


村長は焚火の前で哀愁を漂わせているがアッシュは気にも留めず話を続ける。


「まぁ危なそうだったら諦めるが今日の成果を見る限りだと当分の間、伐採の作業は継続するつもりだ。備蓄するにしても俺がいない間は木材が簡単には手に入らないんだろ。明日も早くから森に入るつもりだから今日伐採に参加した奴らに伝えておいてくれ。」


アッシュはダリルに告げると割り振られた部屋へと戻っていった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ