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【完結】恋愛トラウマ持ち令嬢は逆境に負けない 〜婚約者を正ヒロインに奪われましたが、隠し攻略対象に愛されながら真エンドで世界を救います〜  作者: 遠 都衣
第二部 花継ぎの乙女編

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第75話 どちらが正しい花継ぎの乙女だったのかがはっきりします



 ――どちらが、本物の花継ぎの乙女が判然としないのならば。どちらにも儀式をさせれば良いのです――。


 チェリエが毅然と言い放ったその言葉に、周囲はにわかにざわめきたった。


「チェ……、リリー!」

「儀式は必ずしも、一度しかしてはならないという決まりはないはずです」


 思わず『チェリエ』と名を呼びそうになったサリュートを制してチェリエは続けた。


「祭祀長様は、間違った乙女に儀式をさせることで世界樹の不興を買うことを遅れていらっしゃるかもしれませんが、わたくしはおそらく、そうならないと思っています」

「それは……、何故なにゆえですか?」

「それは、わたくしがこれまで2年足らずの間、花継ぎの乙女として石板に名を連ね続けていたからです」


 本当に、全く資質のない人物が、2年近くもの間、石板に刻まれ続けるだろうか――?


 チェリエはそう言って祭祀長に説明をしたが、実のところ、チェリエには別の根拠があった。


 ――今はさておき、リリーが花継ぎの乙女であったという事実は間違いない。


 なぜならそれは、チェリエの知る限り間違いなく原作ゲームというものは存在し、その主人公である花継ぎの乙女がリリーだったということを知っているからだ。

 今回、なぜリリーから自分に花継ぎの乙女の名前が書き換えられたのかは不明だが、その直前まではリリーは、確かに花継ぎの乙女だった。


 なので、リリーが花継ぎの乙女であった、というのは間違いのない事実である。

 この場にいる他の誰もが知らないことだが、そのことについてはチェリエは自信を持って断じることができる。


 さて――、じゃあ今は?


 石板の名前が書き換えられたその人は、まさしく自分自身。


 ――で、あれば。


 表向きはそれぞれに儀式を行わせる、という名目にしておいて、先に儀式を行った自分が、全てを解決させることができれば。

 この厄介な問題は綺麗に収まる、という算段を持って、チェリエは祭祀長に発言をしていたのだ。


「わたくしが先に儀式を行い、それがうまくいかなかった場合、マーキュリー嬢に儀式を行っていただく。そうすれば、どちらが正しい花継ぎの乙女だったのかがはっきりしますし、儀式も執り行うことができます」


 この話は、祭祀長にとっても悪い話ではないはずだった。

 自分の対面と立場をなにより重んじる祭祀長は、儀式の失敗を一番恐れているのだから。


 なおかつ――、祭祀長は知っていたのだ。


 これまで、数多の乙女を犠牲にしてきた中で、世界樹の状態が良くない時は花継ぎの乙女以外の少女も捧げられてきたという恐ろしい事実を。

 そして――そのことで世界樹が特に、人界に害を及ぼすような過去がないということも。


「……わかりました」

「祭祀長!」


 故に。

 祭司長はチェリエの提案を飲んだ。

 彼にとっては、どちらが本物かよりも――()()()()()本物を捧げられれば良いのだから。


 祭司長が了承したことにサリュートが非難の声をあげ、「どちらが正しい乙女かもはっきりしない状況で儀式をするよりは、はっきりとさせてから儀式をした方がよいのでは!?」と抗議をしたが、正しさよりも慣例通りであることに重きをおく祭祀長は、サリュートの言葉を取り合わなかった。


「では――二週間後。花継ぎの乙女の最終儀式である、【世界樹への奉納】を行います。儀式の順番はリリーが先です。日程とスケジュールについては、追ってご連絡いたします。ゆめゆめ――先ほど言った約束を、違えぬことのありませんよう」

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