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番外編 出会いジェイムズ視点①



「もう、こんなにジェイムズが強引だなんて、知らなかったわ!」


ちょっと拗ねたようにお茶を飲みながらミーシャが言う。


 ミーシャにとって「仲の良い幼なじみ」という存在だった僕と、急に婚約することになって一週間。

 婚約が決まってから数日は現実かどうかずっと疑っていたと、ミーシャの家の使用人から聞いた。ようやく現実を受け止めたらしいミーシャは、次に、今までの僕と、婚約を迫ったときの僕が違いすぎることに納得がいかなくなったらしい。



 確かにミーシャにとっての僕は「仲の良い、恋愛からは程遠い、ただの」幼なじみだったもんなあ。

 僕も最初はそうだったな、お転婆な女の子っていうのが第一印象だった気がする。

 


 あれは今から13年前、5歳の時…



「ほら、ジェイムズ、挨拶しないと」


 母に促されて、母の足元に隠れていた僕は、ようやく前にでて、同い年の女の子の前に立った。


「はじめまして、ジェイムズです…」


 顔を上げることもできず、なんとか名前だけを言った。

 同い年の貴族の子に会うなんて初めてで、緊張して、ちゃんとした挨拶なんてできなかった。



 うう、どうしよう、挨拶失敗しちゃった……

 ちゃんとした挨拶もできないなんて、母様にも怒られるし、この子にもあきれられちゃったかな…


 照れと緊張と焦りで、僕はずっと俯いていた。

 


「もう、ごめんなさいね、」


 母が困ったように笑いながら、この子は人見知りで、と続けようとしたとき、



ぐいっ



急に僕の頬が柔らかい何かに挟まれて、そのまま顔を上に持ち上げられた。



「挨拶は目を合わせるのよ!」



オレンジ色の瞳が僕の視界にキラキラと輝いた。



「わたしはミーシャ。よろしくね、ジェイムズ!」



「元気いっぱい」そんな言葉がぴったりだ、と頬をミーシャの両手で挟まれ、潰されながら思った。



 そしてその後すぐに、ミーシャは、ミーシャのお母さんに怒られた。ミーシャのお母さんは、僕に謝って、僕の母に謝って、ミーシャに怒って、と、とっても大変そうだった。



 僕の母は


「いいのよいいのよ、この子はちょっと人見知りで引っ込み思案すぎるところがあるから、そうやって強引にしてくれる方が助かるわ」


といって、「ね?」と僕を見た。

 僕も、驚きはしたけれど、嫌ではなかったな、と思って母の言葉に頷いた。


「だったらいいのだけど、本当にごめんなさいね、、ほら、ミーシャも謝りなさい」



「、、、、ごめんなさい」



ミーシャはお母さんに促されて、ちょっとふてくされながら謝ってきた。


「いいのよ、気にしないで。さ、二人はせっかくだから外で遊んできたらどう?」


母が笑顔で返事をして、僕たちは二人、僕の家の庭で過ごすことになった。





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