第十二話
「話を戻すけど、その前に、なんで魔石は亜空庫に入れないの?」
「それは検索のためです」
「検索?」
「一般的な亜空庫というのがどういうものか知りませんが、私が持っているのは融通が利かなくて、検索できるのが名称のコルムだけなのです。魔石用のタブルはもっと細かい条件、たとえば級数とか種類とかで検索できるのです、それから、一つのタブルに物をたくさん入れると探したり取り出したり入れたりするのに時間がかかるようになるのです」
「ふーん、そういうものなのか」
実はよくわかっていないがわかったふりをするドルスだった。
「実際に試してみましょうか」
ドルスが理解していないことを悟ったポートが提案すると、二人は了承した。
「じゃあ、この三つの小石を格納します。本来は無詠唱でできますが、今回は詠唱付きで。接続――――格納せよ、格納せよ、格納せよ」
格納の詠唱のたびに小石がポートの掌から消える。
「それでは取り出しますが、普通に詠唱した場合、今格納した三つの石を区別する方法はなく、全て取り出されます。石よ我が呼びかけに応え姿を現し給え」
詠唱が終わると、大小さまざまな石が山のように積みあがった。
「あー、指定が悪かったです。格納していた全ての石が出ちゃいました」
「そんなに石持ってたの!何に使うつもりだったの!」
「えーと、なんとなく?」
「なんとなくで亜空庫の無駄遣いを!」
いそいそと石を格納し直すポート、無詠唱である。
「と、今のは失敗でしたが、実際区別する方法はあまりありません。石の場合ですと、その石|《BLOB》の構造力――――重さとか大きさのようなものと思ってください――――や格納順番くらいですね。使い勝手は悪いのです」
「それじゃあ色々使い勝手悪すぎない?たとえば剣を仕舞ったとして、出したい剣が出るわけじゃないんでしょ」
「そういう場合は、剣の固有名詞で検索します。固有名詞が無い場合は書き換えればいいので」
「ふーん」
二人は気づかずにスルーしていたが、ポートが語った中には重要な言葉があった。
それは、『固有名詞を持たない剣に固有名詞を書き換える』という言葉である。
これが『魔石を書き換える』であれば、『魔石に”タブル”と呼ばれるものが含まれている』のでそれを書き換えるという話になるのだが、当然剣は魔石ではない。
よってポートは『魔石でないものにもに”タブル”と呼ばれるものが含まれている』ということを暗示したのだ。
実は、魔石でないものに”タブル”ではないがタブルに近い、”ビュー”と呼ばれるものが存在していることは二人も知っていたし、利用もしていた。




