第十一話
「魔石は第三級まで。それから魔石を自由に取り出してるよね。恐らく亜空間庫か何かだと思うのだけど、アレも駄目」
「いえ、これは亜空間庫じゃなくて、シェームのタブルです」
「シェーム?」
ミーシャとドルスが顔を見合わす。
「シェームというのはタブルの集合です。複数の魔石を結合して一つにしたものだと思ってください。同一シェーム内のタブルは相互に条件化できる――――ようするに複数のタブルを同時に使えるようになるということです」
ミーシャとドルスが完全についていけなくなったのを悟ったポートは実際には違うんだけど、と思いながらも簡単な説明に変えた。
「なるほど、わからない!とりあえず続けて」
「それで、私のこの左腕はシェーム――――魔石の集合でできている義手です。そのタブルの中にはSTONESタブル――――魔石を格納するためのタブルがあるので、普段はそこに格納しているんです」
「これが義手?信じられない――――けど、嘘は言ってないみたいね」
ミーシャはポートの腕をよく見るが、それはどうみても生身にしか見えなかった。
「そろそろいいですか」
義手を触って、それが普通に柔らかいのが気持ちよかったのかしばらくポートをぷにぷにしていたミーシャだったがその言葉に我に返る。
「ようは魔石を格納する魔石を持っているってことでいいかしら」
「だいたいそんな感じです」
「それ、普通じゃないから。面倒でも魔石を出すときはポケットなりバッグなりから出すようにしてね。亜空庫と思われたら付け狙われるから。それから剣に変えたりも普通はしない。最後に使った奴、魔石を爆発させる奴。あれくらいが普通の魔石使いができる最大限だから」
「えー」
「えーじゃない、それ以上のことなんて、伝説の大魔石使いマール様くらいじゃないとできないから!」
「わかりましたよ。ところで魔石以外の物を格納するためのWAREHOUSEってタブルも持っているのですが」
「亜空庫持ちだった!」
ミーシャは驚愕した。
「ほれ」
「ありがとうございます」
ドルスがポートとミーシャに木の器に入った白いスープとスプーンを渡す。
先ほどから鍋で煮込んでいたのはこのスープのようだ。
ポートがそれを一口飲むと、恐らく肉で取った出汁、塩、クリームの味が口の中に広がった。
「美味しい!」
「インスタントだけどな」
「インスタント?」
「この皮袋の中身をな、湯で煮るだけでできる」
「そんな便利なものが」
「このへんも冒険者にとって常識だ。覚えておいて損はない」
「凄いなぁ。わざわざ草狩って干して獣狩って血抜きして解体しなくても、こんな簡単に料理ができるなんて」
「ほんと、どんな生活してたんだお前」
呆れたように言うドルスだった。




