【第1.2章 第1話:枯れた大地の呼び声】
降り注ぐ太陽の光は、ハワイで感じたあの慈愛に満ちた温もりとは異なり、容赦なく大地を焼き、乾いた風が砂塵を巻き上げていた。美憂が降り立ったのは、長引く干ばつと紛争によって、深刻な飢餓に苦しむアフリカの一角だった。
セーラー服の襟元は砂にまみれ、彼女の瞳には、かつてないほど厳しい現実が映し出されていた。ひび割れた大地には緑の一片もなく、遠くではわずかな食料を求めて長い列を作る、痩せ細った子供たちの姿がある。
「これが……この星の、もう一つの真実……」
美憂はいつものように顎に手を添え、その光景を魂に刻みつけるように見つめた。彼女の指先一つで、雲を呼び雨を降らせることなど容易いだろう。しかし、彼女は自らの神としての権能をあえて封じ、一人の人間として、土埃の中に立ち尽くしていた。力で環境を変えるだけでは、この地の人々が直面している「絶望」という名の心の飢えを救うことはできないと、直感していたからだ。
「人は1とりではいきられない。たしけられたら助け返そう。」
この言葉が、ここでは悲痛な響きを持って迫ってくる。助けを求めている人は無数にいる。しかし、奪い合い、争うことによって、その「助け合い」の連鎖が断ち切られてしまっている。病に倒れた母親を懸命に介抱する小さな少年の姿を見て、美憂の胸に鋭い痛みが走った。
「私に何ができる? 食べ物を与えること、薬を届けること……。それだけではない、もっと根本的な、この悲劇を二度と繰り返さないための『知恵』と『絆』を、どうすればこの地に芽吹かせることができるのか」
彼女は、自分ができる「最小で最大の一歩」を探し始めた。ただ憐れむのではなく、彼らと同じ乾いた空気を吸い、同じ痛みを分かち合いながら。美憂の瞳には、上級大将としての鋭い分析力と、成美菩薩様が見守る慈悲の心が混じり合い、解決への光を探して激しく明滅していた。
世界から飢餓と病と戦をなくす。そのための、美憂の果てなき挑戦が、今この渇いた大地から始まったのである。




