28、接触禁止命令
レオン様の試合は決勝まで行ければ3試合になる。もちろん1試合目で負けたらそこで試合終了だ。いよいよレオン様の1試合目が始まる。
結果は・・・・あっさりと勝っていた。相手は近衛兵でもまだ新人さんだったらしい。(周りのささやき声情報)
殆ど呼吸も乱れて無い所が憎たらしいわね。・・・・いやいやここは素直に喜んでおいてあげましょう。
次の試合はジョンと呼ばれるレオン様のご友人で有り新人の時からの同期らしい。(大声で説明される応援席情報)
ーーーー正直言って初めはもうダメかと思った。
ジョンさんはふっくらした体型なのにとても俊敏な試合運びだった。レオン様は一方的に押されてフィールドの外へ出されそうになっていた。まさしくライン側のせめぎ合い。
だが、やはりその時間は続かず、試合が長引くにつれジョンさんの足が止まり出したので、そこを一気にレオン様が畳み掛けた。本人達もそれを分かっていたのか試合後は「おいジョン!だからお前はもっと痩せたら強いんだって!!」と2人で肩を組んで笑い合っていた。これはこれで爽やかで良いわね。
ーーーー次は決勝戦だ。
ご褒美、いるかも知れない
どうしよう?何が良いの?私、少しならお金あるけど名工の剣とかだったらちょっと苦しいかも。分割払いは可能かしら。かくなる上はクリスティーナお母様にちょっとお金を前借りして工面出来るかな?
もう相手の方は見るからに剣豪と言った感じで戦う前から気迫で負けそう。背後から「ゴゴゴー」と効果音が聞こえてくる気がする。
レオン様大丈夫かしら?
ーーーー無理はしなくて良いのよ?無理はダメよ?そう言いたいのをグッと我慢して祈るように試合を見つめた。
何と勝ってしまった。彼、優勝していた。凄く喜んでいるわ。あぁ、どうしよう。何も思い浮かばないわ。
いいや明日にでもして貰おう。それぐらいなら待ってくれるよね?うまくいけば忘れてくれるかも。
えっ、こっちに向かって走って来た。何で??どうして?私も走って逃げようか?
「エリス、やったぜ!」と言った瞬間抱き締められていた。
やめてーやめてー!!ぎゃー!!
「じゃあ頂きます!」と言ったと思ったら口づけされていた。逃げようとするが後頭部に手を回され逃げられない。
「んー!んー!ふがっ、ふがっ、ふがー!」
私死ぬ、私死ぬ。呼吸が出来ない!!力緩めてぇー。
レオン様の体のどこかを叩いて抗議してるけど終わらない。・・・・あぁ私のファーストキス
「おい!レオンその辺にしておけ!彼女が死ぬぞ。」
ふと周りの声に気がつき、優勝して浮かれたレオンが腕の中で見た愛しい婚約者は、息も絶え絶えの虫の息だった。・・・・その後のレオンの姿を見た者は、足腰立たなくなった婚約者に大目玉をくらいがっかりしながら帰って行く後ろ姿だった。
「この大馬鹿者!!」と旦那様の声が屋敷中に響いている。
「貴方何やってるの?ケダモノ?私、獣を産んだ覚えは無いわよ。人間しか産んで無いわよ。」とステラお母様も珍しく辛辣に非難している。
ーーーー2人とも我が息子に。
エリスは結局は自分で歩けず、あの後レオンに抱えられて帰った。レオンはすぐさまステラお母様に私の介抱を頼み、その側で自分が暴走してしまったと詫びて来た。もう、口を動かす気力すらない。
謝るレオン様をシカトし、ステラお母様に「すいませんお母様、今日は何だかとても疲れてしまって。もう自室で休みますね。」と自室へ戻りベッドの住人となった。
結局は旦那様が「お前しばらくはこの屋敷の中でエリスさんに接触禁止!」と言い渡されていた。
この日はこの屋敷の食堂で1人寂しくお弁当を食べるレオンの姿があったそうだ。
「どうして自分はタガが外れてしまったのか?自分に一体何が起こったのか?」と自問自答しながら。




