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27、試合観戦に行く

エリスは前日から下拵えを済ませておいたお弁当のおかずを、試合観戦の当日の早朝から仕上げて行く。試合のスケジュールがわからない以上傷みやすい食材は使えない。この辺りはボヌールの料理人たちに相談しながら決めた。ボヌールの料理人たちはニコニコしながら「レオン様はこんな味付けがお好きですよ?」とか「食後のデザートはいつも残さずお召しになります」とエリスに色々な情報をインプットしようとする。


(・・・・そんな情報いらないのに〜)と思ってはいるが決して表情には出さず、「そうなんですね?有難うございます」と返していた。何となく嬉しそうな彼らの気持ちを傷つけたくなかったからだ。



食べ易いようにサンドイッチを工夫した物を持って行くつもりだが、サンドイッチだけではお腹に溜まらないかも。と考えいくつかのおかずとデザートも作った。


ーーーー彼が甘い物を好んで食べると言うのは以前の実家に泊まった時に分かったからね。


結局、サンドイッチを3種類。おかずを3品。デザートとしてカットフルーツと手作りのクッキー。もちろん食後のコーヒー付きだ。結構なボリュームになったが、・・・・まあ彼は若いしたくさん食べるだろう。と考えた。


まぁ、こんな所か?と1人うんうんと頷きながら手際良くカゴに詰めて行った。


「お~いエリス!そろそろ出発するぞ?」とレオン様から声がかけられた。「は~い、ただいま。」とエリスも急いで身支度をしてから馬車に乗った。


馬車の中でレオン様は「今日は騎士団の家族席で見ててくれ。お昼は俺もそこへ行くから。」と話した。騎士団の家族席か。ーーーー何だかくすぐったいな。


エリスは騎士団の事は詳しくない。元々知らなかったと言うのもあるし全然興味も無かった。だが、レオン様の話しぶりからして剣の腕前は近衛兵を務める事も有りなかなかの様だ。

 

「エリス、楽しみにしててくれ。」とレオン様が言ったがふと考え込む顔つきになり、「エリス、もし俺が優勝したらお願いが有るんだけど?・・・・良いかな?」と俺いいこと思いついたもんね~。とばかりな得意げな顔だ。これはムカつくわ。


「えっ、何でしょうか?ーーーーあの、性的な事は困りますよ!」「ちっ、いや、あのそうしたらご褒美が欲しいんだけど。」


「今、ちっ、って言いましたよね?・・・・ご褒美は気が向いたら何か考えます。それで良いですか?良いですか?あんまり期待しないで下さいね。」嫌な予感がしたので念を押した。


「わかったよ。それで良いよ。でも俺、結構強いぜ?」


「まぁ、頑張って下さい。せっかく張り切って朝からお弁当作ってるんで、ちょっとは良いところ見せて下さいよ。」とお願いしといた。




彼のお願いを聞いているうちにエリスも言っておきたいことが出来た。「あっ、私からもお願いが有るのですが。」


「えっ、何だ?」


「つまらない腑抜けた試合したら、お弁当だけ置いて黙って帰って良いですか?ここにいる時間が勿体無いので」


「・・・おいおい黙っては帰るなよ~。けど良いよ。俺簡単に負けないし。」とこれはよほど自信があるようだ。


まぁ、力を見せてもらおうか。この国の近衛兵団の実力とやらを。



当日のスケジュールを見てると何と近衛兵は予選免除らしい。まぁ言うだけの事は有るわね。


本戦からの登場って確かにかっこいいわ。近衛兵団の家族の皆さん、そりゃお弁当持って応援に来るわね。特に彼女さんとか婚約者さんとか。



試合会場に着くと結構な人出だった。



とにかく若い騎士達の熱気が凄い!思わず立ち止まり周囲をキョロキョロと見回すと、レオン様に手を取られ「こっちだ」と案内された。


何だか周りの女性の視線が痛い。一部、一般の応援席が設けられているようで、そこにはたくさんの着飾った若い女の子達が集まりきゃあきゃあと騒いでいた。


レオン様は私を家族席へ座らせると「じゃあ俺、準備があるから行くわ。ちゃんと見ててくれよ?」と言いながら行こうとした。


思わずニヤリと笑って、「ええ、ちゃんと見てるわ。つまらなかったら即帰らないといけないしね。」と言ってやった。


レオン様は私に負けじと?ニヤリと黒い笑みを浮かべたと思った瞬間、素早くかがみ込んで「チュッ」っと私の頬にキスをした。



やられたー!大衆の面前で何やってくれてんのよ!うわ~引くわー引くわー。



驚いたエリスの顔を見たレオンは満足そうに「じゃあな~~」とひらひらと手を振りこの場を去って行った。


あちらの騒がしかったはずの応援席が気のせいか静まり返っている。


うん、気のせい。気のせい。よ。うん。


ーーーー考えたくは無い。

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