26、お父様とクリスティーナお母様の結婚
お父様の結婚式の当日。
教会へと着くと既にレオンが待っていた。
やはり騎士団の制服だ。帯剣こそしていないが、はっきり言ってただでさえ男前なのに、5割り増しで男前に磨きがかかっている。これが制服フィルターって奴かしら?
そんなレオンとお近づきになりたい女性が数名、彼に秋波を送りながら周りをうろうろしていた。
ーーーー改めて見るとやっぱり素敵ね。
彼に話し掛けたいのは山々だが、私はクリスティーナ叔母様の着付けのお手伝いを頼まれているので、レオン様には軽く会釈して横を通り過ぎクリスティーナ叔母様の所へ向かった。
控室をノックしドアを開けると、すでにドレス姿で鏡台のスツールに腰掛けた叔母様がいた。「叔母様、本日はおめでとうございます。」と祝辞を述べると叔母様は「エリスちゃん、今日はありがとうね。」と花のように笑った。笑った顔はどことなく死んだお母様に似ていて、エリスの記憶の中のお母様と被る。
側でドレスやベールの調整をしていたステラお母様にも「ステラお母様、早くからお疲れ様です。」と側にいたステラお母様にもひと声をかけた。
ステラお母様は、朝一番にクリスティーナ叔母様の着付けのお手伝いに来られていた。既にベールはつけられていて、グローブもちょこんとベールに華を添えている感じだ。
「クリスティーナ叔母様、とってもきれいです。こんな叔母様が見られて本当に良かったです。」この言葉を言った途端、何だか悲しくもないのに涙が出て来た。心から嬉しいってきっとこう言う事なのね。
「エリスちゃん、エリスちゃんもレオン様に幸せにして貰うのよ。」とクリスティーナ叔母様も涙ぐみながら私に言った。
そこでなぜかステラお母様が私に向かって「レオン、今の聞いた?貴方責任重大よ!」思わず振り返って見ると私のすぐ後ろに気まずそうにレオン様が立っていた。
「ーーーーうるさいよ。そんな事は分かってる。」と頬を赤らめて私の顔を見ながら言った。
ーーーーやめて、見ないで。何だかこちらまで恥ずかしくなる。思わず俯く。
「まぁ、まぁ、可愛いカップルね!」とエリスの気持ちを知ってか知らずか、クリスティーナ叔母様は無邪気に喜んでいた。
その後、挙式は滞りなく進み、ステラお母様とレオン様、そして私の3人でボヌールへと帰った。お父様とクリスティーナ叔母様は挙式の後、暖かい南の地方に2泊3日のハネムーンへと出発するそうだ。
◇◇◇◇◇◇◇
お父様とクリスティーナ叔母様いや、もうクリスティーナお母様ね。
挙式が終わった約3ヶ月後、私は無事に進級を果たし平日は学園、週末はクリスティーナお母様の手伝いと充実した毎日を送っていた。
ただやはり卒業が近くなって来るので、レポートや論文が増えて来た。なのでダグラスや友人達と力を合わせて頑張っている。それに従い家に帰る時間も遅くなる日が多くなって来た。
学園内でも時間が合わずレオン様とランチを食べる時間が取れなくなって来た。私はあまり思っては無いがレオン様は不満そうだ。
特にボヌールへ帰ってからのスキンシップが激しい。
今はまだ私の部屋に侵入されて無いが時間の問題な気がする。
ーーーーそれはダメ!絶対!
なので必然的に勉強が図書室が増えた。図書室だと敵(レオン様)は手が出せないからね。
でもレオン様も最近は一緒に図書室へ籠り読書をされている事も多い。本人は歴史書がお好きみたいね。あと兵法書とか。
たまに議論を戦わせる事もあるけどそれはそれで楽しいわ。
そんなある日の事、レオン様が「おいエリス、今週末ちょっと時間取れるか?」と言って来た。丁度食後のお茶の後でゆっくりしていた所だった。ステラお母様達は今はお部屋に戻られていてここには居ない。
「たぶん、半日ぐらいなら取れると思いますよ?どうしてですか?」その日は確か大筋で1つ論文を仕上げようと思っていた日だ。
「実は騎士団内で腕試しの試合があるんだ。良かったら見に来ないか?」とお誘いを受けた。
「そうですねぇ。行けますよ?お弁当か差し入れか何かあった方がいいのですか?」と話してみると
「えっー!!忙しいのに作ってくれんのか?」と驚いていた。
「ええ、そんなに手の込んだ物は無理ですけど。」まあ、料理は嫌いではない。
私がそう話すと照れ臭そうに
「実は以前からこう言った試合が有ると、仲間たちはそれぞれのパートナーがお弁当を作って応援に来てたんだ。」と嬉しそうに話す。
「そうでしたか。でもレオン様大変オモテになってたんじゃ無いんですか?・・・・私は知りませんけど」
「あぁ、それはそうなんだが、ーーーー以前は別に頼んでも無いのに勝手に作って持ってくる女が居て、それが5人とか10人になってくるともう収集が付かなかったんだ」
「さすがにもう婚約発表をしたから流石にそれは無いだろう」と誰に言うでもなくポツリと言った。
「まぁ、注目されるかも知れませんね。では腕によりをかけて作ります。楽しみにしてて下さいね」そう話すとエリスは次の論文の準備に取り掛かかった。




