24、自分の気持ち
次の日の朝食の後、レオンは一足先にボヌール家へ戻る事になった。「じゃあ先に戻るよエリス。ボヌールに戻って来たら一度お芝居でも見に行ってみないか?同僚からチケットを貰ってるんだ」
「お芝居ですか?いいですね〜〜。考えておきます」と、とりあえず返事をしておいた。
「エトランテ侯爵にもよろしく伝えておいてくれ。世話になったと」と話すと側に連れていた愛馬に跨った。知的な瞳のとても綺麗な馬だ。私あんまり馬には詳しくないけど・・・・
玄関先で見送っているとお父様が背後からやってきて「レオンくん、今度はゆっくりとおいで。」と声を掛けていた。
「はい、お世話になりました。今回は先触れも出さずにすいませんでした。エリス、じゃあ先に帰ってる。」と言い残し帰って行った。
「まるで嵐の様だったね。」とお父様。「はい、でもそんな所が可愛いんですよ。」
「はははっ、エリスも中々言うようになったね。」とお父様が笑っていた。
でもあの後、レオンに話を聞いた所によると、どうも公爵夫妻に一杯食わされたらしい。お2人ともああ見えてなかなかお人が悪いわね。
レオンを見送ったあとお父様に向かって「ーーーー久しぶりに離れを見たいの」と言って1人離れに移動した。
久しぶりの離れ。
食堂のテーブルのイスに座りエリスは物思いに耽っていた。この離れで一人ぼっちで膝を抱えて良く泣いてたなぁ。
特にクリスマスやニューイヤーは淋しかった。
どうしていつも自分は1人なのか?義母はどうしてあんなに意地悪なのか。・・・・お父様はどうして自分を見てくれないんだろうと。
トーマス爺達がしっかり教えてくれたから勉強は好きだった。それは人恋しさも手伝ったのかも知れない。
離れに図書室が有ったのも大きかった。
それに1番の理由は勉強しかやる事が無かったからだ。
ーーーー不意に涙が溢れて来た。
エリスは涙を拭うと両手で自分の体を抱きしめ身震いした。もうあの頃には2度と戻りたくない。席を立ち台所を見る。トーマス爺が気にかけていてしっかりと掃除をしてくれている。水回りも手が行き届いていて水垢ひとつない。
トーマス爺が居なかったら今頃自分はどうなっていたかわからない。
ドアを開けゆっくりと離れを出た。ここは辛い思い出が多い。
次の日、エリスはボヌール家に帰るついでにクリスティーナ叔母さんの所へ寄った。叔母様はニコニコしながら迎え入れてくれた。
「こんにちは叔母さま。これ次の商品の企画書です。また見ておいて下さい。」と持っていた書類をクリスティーナに渡した。
「あっ、ありがとうね。それよりエリスちゃん、それより久しぶりの実家はどうだった?」と聞かれたので思わず
「ふふふっ、クリスティーナ叔母さま、実はね、、、、」とレオンの騒動の件を面白おかしく話した。
「まぁ、あの男前さんにそんな事が」とクリスティーナ叔母さまがお腹を抱えて大笑いしている。涙を流さんばかりだ。
「で、どうするの?エリスちゃん?レオン様の事はどう思うの?」
「ん〜、そこなんですよね~。もちろん嫌ではないんですよ。でも大好きかと聞かれたら?で。結婚してって言うのもまだピンと来ません。」
「そうねぇ、その1年間の猶予って言うのは良かったかもね。」
「はい、今までずっと家にいて、私何も知らないんです。もう少し色んな世界を見てみたいのは気持ちの中で大きいです。」
「そうねぇ、でもレオン様の事もう少し知る努力もしてあげたら?」と手元の企画書をパラパラとめくりながら話した。
「はははっ、善処します!」とお茶を飲みながらクリスティーナと話し続けた。気がつくと結構な時間になっていた。
「そろそろ帰りますね、叔母様。お茶ご馳走様でした。」とペコリとお辞儀をした。
「エリスちゃん、気をつけて帰りなさいよ。もうすぐ呼んでおいた馬車が来るからね」
その後、クリスティーナ叔母さまが呼んでくれた馬車に乗り込んでボヌール家へ帰った。
ボヌール家へ帰ると旦那様が「レオンの奴、帰って来てから癇癪起こして部屋に閉じこもって出て来ないんだよ」と笑いながらおっしゃってました。
レオン様の部屋の前まで行き、ドアをノックして、
「レオン様ただいま戻りました。」とドア越しに声をかけると、ドアが開きそのまま手首を引っ張られ部屋へと入れられました。
そのまま抱きしめられ「エリスお帰り」と頭上から声がしました。
恥ずかしさの余りさっと体を離すと「これからはちゃんとエリスに意識して貰えるようにするつもりだ。」と真剣な目をして私に言いました。
思わず「何するんですか!」と怒ると「ははは、慣れて貰わないと困るからね」とひと笑いし、その隙に額にキスをされてしまいました。
ーーーーこの人一体誰なんだろう?急に人が違うくないですか?




