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23、初めてのお泊まり。



「・・・・チクショーあいつら家に帰ったらタダじゃおかない。嵌められた!」と真っ赤な顔で大きな独り言を繰り返しているレオン様。



「・・・・あの、レオン様」とエリスがこちらを見ておずおずと話し掛けている。ん?少し上目使いで顔色を窺っているのか?


「ーーーー何だエリス?」


「私、これっぽちも貴方を愛しては居ませんが?」


「えっ!はっ!はぁ~そうか。」とレオンはがっかりと肩を落とし、どこか気が抜けたような返事をした。



お通夜雰囲気Part2です。




「でも貴方の事、嫌いじゃ無いんですよ。」と彼の顔を覗き込みながら伝えた。彼はただいま絶賛落ち込み中だ。


「あの〜レオン様、ちょっと良いですか?」


「あぁ、何だ。」もうレオン様の顔が死にそうです。麗しき美形が台無しです。そんなにショックだったのでしょうか?


「あと1年、私は学園の授業が有ります。今のところは留年の予定もないので、このまま行ければ無事に卒業します。」エリスは大切な話なのでゆっくりと子供でも分かるように話し出す。


「そして卒業まではボヌール公爵家にお世話になりたいと思っています。まずその1年でお互いを良く知る所から始めてみませんか?」と提案してみた。


「大切な事なんで初めに伝えて置きたいんですが、私は結婚後も仕事を続けたいのですよ。それはOKですか?」


「ーーーーもちろん問題無い。」「・・・・なら良かった。」


「そして、レオン様か私のどちらかがお互いに他に良い人が出来て、この婚約生活の続行が不可能になった時は後腐れなく婚約は解消しましょう。それもOKですか?」 


「うっ、そんな事にならない様にする。が、わかったよ。」とあたふたしながらレオンは答えた。


「良かったです。今日はもう遅いです。泊まっていかれますよね?」とここでエリスがレオンの心をくすぐる提案をして来た。


「あぁ、済まない。世話になる」もちろん二つ返事でO K


「じゃあ、今日は私が夕食作りますね。お口に合うかわかりませんが。」


「えっ、エリス作れるのか?」


「はい、ある程度は作れますよ。」と笑って答えた。


「わかった。楽しみにしている。」この提案に彼は少し浮上した様だ。良かった。心なしか顔色もよくなっている。


「ではお部屋を用意して来ます。待ってて下さいね。」と部屋を出た。



エリスは「トーマス爺、ちょっとちょっと」トーマス爺を見つけて声をかけた。


「御用ですか?エリス様。」


「今日はレオン様こちらへお泊まりになります。お部屋の用意をお願いします。」


「わかりました。少しお時間下さい。ご用意致します。」




そして厨房へ向かうと「料理長、ちょっと良いですか?」とジャガイモの皮を剥いていた料理長に声を掛けた。こんな作業を下っ端に任せっぱなしにしない所は好感が持てる。


エリスがそばに歩み寄ると「何でしょう、お嬢様」と答えた。


「今日の夕食はこれから私が作ります。厨房を使いたいのとお手伝いをお願いします」と頼んだ。


「わかりました。久しぶりですね。お手伝いできる事を楽しみにしていますね」


「もう~そんな事言わないで料理長。あんまり期待しないで。それより今日のメニューはどうしましょう?」


「今日はちょうどトマトが旬で業者からたくさん入荷しましたよ。これを使われては?」と後ろの調理台を見ると真っ赤に完熟した艶々と美味しそうなトマトがカゴいっぱいに入っているのが見えた。


「本当に美味しそうなトマトね。そうねぇ、トマトを使った鶏肉の煮込みをメインにしましょう。あとはサラダととうもろこしの冷たいスープ、デザートは熱々のスフレでどう?スフレはタイミングが難しいので料理長お任せしてもいい?」


「もちろんです。では私は野菜や肉類の処理が済んだらスフレにかかりましょう」


「では私はパンやチーズやワインの在庫を見てくるわね」と言いつつ地下の倉庫に向かって確認をする。うん、軽めの赤ワインはあるわね。パンとチーズはこの地方特産の物を食べてもらおう。



料理長と一緒なので思ったよりも早く夕食が完成して来たので、声をかけるためにリビングに行った。


リビングではトーマス爺がしっかりと食前酒や軽めのおつまみを出してもてなしてくれていた。お父様もレオン様もちょうどほろ酔いって所ね。


「そろそろお夕食ですよ。食堂へ来て下さいね。」とお父様やレオン様、トーマス爺に声をかけた。3人で顔を見合わせ大きくうなづき、ゾロゾロと食堂へ移って来た。



料理長と配膳を済ませて私も着席すると、「今日はたくさん食べ頃のトマトが入荷していたので軽く煮込んでシチューにしました。良いとうもろこしもあったので冷製スープにして付けてます。デザートは料理長お手製のスフレです。楽しみにしてて下さいね」


「エリス、スフレなんて久しぶりだ。」と早速お父様が反応しているわ。割とお父様は甘いものお好きなのよ。たまに街に出ているのも新しいスイーツを味見してるんだと思う。


「じゃあ冷めないうちに頂くか。」とお父様の呼び掛けで皆が食べ始めた。


「エリス、旨いなぁ。本当に旨い。」とレオンが目を見開いて私を見ていた。さすが若いだけあってすごい食欲。多めに作っておいて良かった。


「たくさんおかわり有りますよ。気軽に言ってくださいね」と微笑んで声を掛ける。


「ああ、ありがとう。後で頂くよ」頷きつつせっせと食べながら返事をした。意外と器用なのねレオン様。


皆がしっかりと食べ終わったのを確認して、料理長と共にコーヒーを先に出した。


暫くすると「お嬢様、そろそろスフレが行けます。」と厨房から料理長の指示があったので、料理長と手分けして皆さんの前へ置いた。スフレは焼き立てのふわふわを呈するのが信条。


すぐに「熱いうちにどうぞ。」と声をかける。



「これも旨いなぁ~~。今度ボヌールの料理人にも作って貰おう。」と食べながらレオン様が溶けている。

良かった元気が出たみたいで。うん、人間食べるって大切ね。

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