22、レオン心を決める!
エリスが実家へ帰った日のボヌール公爵家の昼下がり。こちらも久しぶりに親子水入らずだ。レオンは食後のお茶を飲んでいるがぼんやりと心ここに在らずのようだ。
「どうしましょう貴方。エリスちゃんが侯爵家へ帰ってしまったわ。」とステラが公爵に向かって心配そうに呟く。
「我々はエリスちゃんが気に入ってたのになぁ。」と両親が2人が顔を見合わせ何やら相談していた。
おいおい、チラチラこっち見ながら話すなよ!と少しキレ始めるレオン。「どうしてエリスが実家に帰ったんだ?」とたまらず聞いた。
夫婦で顔を見合わせると、「ええ、ある程度地位のある方から、エリスちゃんがレオンと婚約中でも構わないって人が現れたらしくて。」とステラが話し出した。
「余りにも熱心なので、エリスちゃんのお父様が、一度だけ会ってきちんとお断りして欲しいって頼んだみたいなの。エリスちゃん、私に一応相談はしてくれてたんだけど。。。」としんみりステラが語る。
「・・・・今頃その方と会っているのかしらねぇ?でもエリスちゃん、口説かれたりしてその方が気に入ったら、そちらへ乗り換えちゃうのかしら?そんな事は無いと思いたいんだけど」としょんぼりした。
ーーーーったく、うちの母親はエリスの事が大好きだからなぁ。
俺はその話を聞いた時、直ぐにエリスと学園の食堂でランチを一緒に食べていたあの男を思い出した!実はあれから気になってあの男の身柄を調べた。あの顔どこかで見た事が有る。と思ったからだ。
奴は隣の国からの留学生だったが、何と第3王子だった。隣の王室は早々に後継者がいるから、お気楽な第3王子がいるって聞いてはいたが、まさかエリスと同じクラスだったとは。
エリスは本当に彼の事を知らなかったのか?社交に出た事が無いからか?
でもエリスを見つめるあの目線は覚えがある。男性が女性に好意を持っている目だ。
圧力を掛けられたらひょっとしてこの婚約は潰されてしまうかも知れない。
以前ならともかく今のエリスは正直言って綺麗になった。一緒にランチを食べてても、俺がそばに居るのに彼女を見る輩が居るぐらいだからな。話していても頭の良さを感じるし第一明るくて楽しい。
ここからは俺の持論だけど男はだいたい2通りのパターンがいると思っている。
ひとつ目は女性は自分に従って居ればいい。
大人しくしてたら良い。俺はこのタイプは個人的な見解だが、自分に自信が無い奴だと思う。
ふたつ目は自分の隣に並び立つ女性。共に歩み共に生きる事を望む。このタイプの女性を選ぶ男は自分にある程度自信があり、大らかに女性を包み込むタイプだと思う。
俺の父親が正にそうだ。
俺が思うにはひとつ目の男がエリスを選ぶ事はほぼ無いと思う。
ただあの男は後者だ。恐らく手に入れれば大切に可愛がり、彼女の人生に理解を示すだろう。
俺は・・・・どうしたいんだ?どうしてこんなに気持ちがモヤモヤする?
全然好みの女じゃなかったはずだ。生意気だし年下のくせに俺をおちょくるし。
でも女と話しをして、あんなに楽しかった事は今までなかった。またドキドキする事も無かった。
・・・・もしそのエリスが俺の前から居なくなったら?エリスの隣に並ぶのが俺では無い男だったら?
すとん!と何かが胸に落ちた気がした。
《あぁ、これが愛していると言う事なんだ。俺はエリスと離れたく無いんだ。ずっと側に居て欲しいんだ。・・・・降参だ。もうアイツの全てを受け入れよう。》
心が決まれば後は早かった。「ーーーー父上、母上お話しが有ります」と両親に声をかけた。
「最初はあんな形だったが、今は俺は本気でエリスが欲しい。アイツと一緒にこれからも人生を歩みたい。彼女を誰にも渡す気は無いんだ。」
「レオン、それを言うのは私たちにじゃ無いだろう?今、その気持ちを正直にエリスさんに伝えるべきだ。少なくとも今までのお前の態度では残念ながら何も伝わってはいないだろう」と父親の冷静過ぎるツッコミが入る。
「もちろんです。これからアトランテ侯爵家へ向かいます。宜しいですか?」と真剣に両親に伝えた。
「当たり前だ。遅いほどだ。私ならとっくに向かっているぞ。」とニヤリと親父が笑った。
急いで身支度を整え、愛馬に乗り侯爵家へ向かった。
ーーーー待ってろエリス。他の男なんて見るんじゃ無いぞ。
◇◇◇◇◇◇
「貴方、あれで良かったんですよね?私たちあの子が帰って来たら怒られるかしら?」と心配そうにステラが話す。
「はははっ、上手く行くよ大丈夫さ。自分の気持ちに気づかないフリをして鈍臭い事をしているレオンが悪い。全く誰に似たんだか」」
「まぁ、貴方ったら。ふふふっ、レオンは男になれるかしらね?」
「そうだな、親として見守るしか無いよ。」
頑張るんだぞレオン。
お前が思っている以上にエリスさんは良い女性だ。しっかり捕まえて置かないと他のやつに持っていかれるぞ。




