21、レオン立ち上がる。
突然訪れたレオン様をとりあえず応接間へ通しました。いつもお屋敷でみるレオンと違って何だか緊張しているようにも見えます。何かお屋敷であったのかしら?・・・・少し心配だわ。
「遠い所をようこそ。さあさあこちらへどうぞ」とお父様がレオン様にソファを勧めると、彼が腰掛けるのと同時に私もソファに座った。そこへお茶のワゴンを押してトーマス爺が部屋へと入ってきました。
大きく目を見開いて繁々とトーマス爺を見つめるレオン様。何を思っているのか?
部屋の中はシンと静まり返り、お通夜かお葬式の様な空気が流れている。
レオン様の表情を見てると、目まぐるしくコロコロと変わり赤くなったり青くなったりしている。かと思えば膝の上に拳を白くなるまで握りしめ、じっとしている。
お父様が私を見ている。大丈夫!お父様の言いたい事は分かるわ。おそらく私と一緒。頷き合う親子。
「あっ、あの。。。」とうとう話し出したわ。さあ、何を言い出すのかしら?お父様と固唾を飲んで見守る。
「・・・・まず、お父様にいやアトランテ侯爵に1つお詫びがあります。まず今回のエリスとの婚約は私にとって厄介事の偽装の為でした。」
「・・・・そうか、それは何か聞いてみてもいいのかい?」とここでさりげなくトーマス爺がお茶を配った。
「はい、もちろんです。私は、今は嫁がれましたがエリザベス王女の担当の近衛兵でした」と話すと少し躊躇いながら、
「誠にお恥ずかしながら、彼女に想いを寄せられていました。しかし、彼女にはすでに婚約が内定していましたし私もそんな気はさらさらありませんでした。私自身も彼女の思いを知りつつどうすることも出来ませんでした」
「そんな状況を見かねてか、これ以上長引くのが良くないと考えた陛下より、早急に婚約者を決める様に申し付けられたのです」
「ご存じかどうかはわかりませんが、こちらの今は亡き奥様と私の母親はとても仲が良かったそうです。母はエリスが産まれた時にも駆けつけていましたし、美しく成長した姿をひと目見ようと社交界でエリスに会う日を楽しみにしていたそうです。」彼の言葉をお父様が頷きつつ聞き入っている。
「ただ、待てども待てどもその日は来ませんでした。そこで母は人を雇い誠に勝手ながらエリスの近況を探らせたのです。」
「恐らくその辺りは失礼ながら侯爵様もご存じだと思います。」とお父様を見ながら話していた。
「母はエリスが18歳になったのをきっかけにちょうど僕の婚約者の事もあり、こちらへ婚約を申し込んだのです。もちろんこの件は父も賛成していました」
「はっきり言って僕は婚約者には全然関心がありませんでした。あっ、もちろん神に誓ってエリスを蔑ろにする事、したつもりもありません」
「それは今のエリスを見たら一目瞭然だ。レオン君、その辺りは全然疑いようが無いよ。」とお父様が答えていました。
「わかって頂けてよかったです。」とここでレオンは一口お茶を飲むとお父様に向かって
「その上でもう一度お願いします。お父様、ぜひエリスと結婚させて下さい。」そして私の方へ向き「エリス、頼む帰ってきてくれ!愛してるんだ。」と声高く言い放った。
ーーーーお父様のいる前で盛大にやってくれたわ。でも
ん!ん?んー?
でも何か違う。何かレオン様間違っている。ただ勇気を出して彼なりに凄い事言ってるのだけは分かる。
「あっ、あのレオン様?」
「俺がもう少しエリスにきちんと言葉で伝えるべきだったんだ。家へ帰ってきてくれ。」
と頭を下げて話し続けるレオン様。
静まり返る応接間。
「ふぅ、これは私はお邪魔なようだ。」とお父様はドアを開けさっさと出ていかれました。
バタンとドアが閉まり、私は改めてレオン様の様子を見ました。
「レオン様。」と呼び掛けると子犬の様な目をして私を見つめて来ます。美形が真剣な表情で目を潤ませ私を見てるのです。これはこれでクル物が有りますね。
「・・・・レオン様。」と優しくゆっくりと、もう一度声をかけました。
「あの、私、来週には帰るけど?」と言った瞬間、レオン様の顔が真っ赤に染まりました。そして目を最大限に見開きしばらく固まっていました。
ーーーーまぁ、こんな顔初めて見るわねぇ。
そして勢いよくソファから立ち上がると「やっ、やられた!!アイツら、だっ、騙しやがったな~~。」と叫んでました。




