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19、トーマス爺の過去

「ーーーーお父様、今のお父様は私が昔大好きだった頃のお父様です。以前よりずっと素敵です。」とついでにちゃっかり冷やかしてみた。


お父様は「はははっ、こらエリス良しなさい。」と苦笑いしてました。暫くしてふと気がつくとトーマス爺がハンカチで目頭を押さえ泣いていました。


「どうしたトーマス?」とお父様がびっくりして聞いてみるとトーマス爺はハンカチで涙を拭いながら「まさか、このお家で旦那様やエリスお嬢様の笑い声が再び聞ける日が来るとは。。。。」と呟いていました。




なんだか少し雰囲気が湿っぽくなってしまったので、


「実はお父様もうご存じかも知れませんが、私、クリスティーナ叔母さんの所でたまに働いているんですよ。」と明るく話した。


「あぁ、私もクリスティーナとは時々連絡を取るんだ。その件も事前に相談を受けてたよ。クリスティーナの連絡先の事も調べてくれたのは実はトーマスだよ。」


「えっ、そうだったんですか?・・・・トーマス爺、いつの間に?」



さすが我が家の出来る執事です。ボヌール家の執事さんが舌を巻くはずです。



「・・・・話せば長くなるのですが、クリスティーナ様、もちろんアンナ奥様もですがお二方の実家で私が下積みをさせて頂いたのです。」


「そして、アンナ奥様がこちらへ嫁入りされた際に同行したのです。正式にこのお屋敷の執事として」と話すトーマス爺は遠い目をしていたわ。



お父様が「私がアンナとまだ付き合ってた時に、執事の見習いだったトーマスを紹介されたんだ。非常に優秀な成績で学校を出た後、トーマスの家の事情や下積みで苦労しててね、正式に執事としての就職が遅くなったんだ。何より私自身も仕事も出来て頭のまわる人間が欲しかったのもあったしね。」と話すと


「はい、私自身が執事として遅咲きだったのでこちらでお世話になる事は大変助かりました。どうしても都合上若い執事を欲しがる屋敷が多かったものですから。」


「クリスティーナ様の事は一度実家に戻られてますから、調べるのは難しくは無かったのですが、会社を立ち上げる為に他国へ学びに行かれる事が多かったのですよ。なのでクリスティーナ様の住所が固定してからこちらへお伝えするのが少し遅くなったのです。」


話の裏でそんな事が起こっていたとは夢にも思わなかった。


「なのでカトレア様がこちらへ嫁入りされてから行っていた行動は、私自身とても許せるものでは有りませんでした。すでに両家に大変お世話になってましたから。」穏やかに話してはいるが、あの時は本気で怒っていたのだと言葉の節々や表情で分かる。


「まぁ、歳を取っている分、調べ物は得意なのですよ。」とトーマス爺はそう言って得意そうに自分で笑ってました。



ーーーーちょうど場が解れて来たと感じたので思い切って言ってみた。


「所でお父様、私は将来的に結婚はせずに自分で人生を歩みたいと思っているのです。」お父様の顔色を見ながら話してみた。


「えっ、それは寂しいね。どうしてか聞いても良いかい?」


「実際にクリスティーナ叔母さんの所で働いてみたのですが、やはりその方が性格に合っている気がします。私はずっと働いていたい。何となくそう思うんです。」


「エリス、お前はこの家を出て、ボヌール家で他の世界を知った。だからその気持ちは痛いほどよくわかる。でも婚約者、いや、ボヌール家の事はどうするんだい?」


「はい、学園があと1年ほど残っています。ボヌール家の両親は私の学園の支援もして下さっています。ちょうどボヌール家から学園が近いので出来れば卒業まではお世話になり、卒業と同時に婚約解消を考えています。これは始めて他の人に言いました。」


「そうか、そんな事なら今すぐ解消して学園近くのアパートでも借りたらどうだろう?家賃ぐらいなら出すぞ。」


「はい、それも考えています。その時はまた相談に乗って下さい。」とこの話を終えました。


そんな時、部屋のドアがノックされました。「はい。」とお父様が答えるとドアが開き「皆さまお食事が用意が出来ました。」と懐かしい料理長が顔を覗かせました。


「お久しぶりです。料理長」と、挨拶すると「お嬢様、お帰りなさいませ」と返してくれた。でも目線が泳ぎ何だか気まずそうにしていた。


でも料理長が私の顔を見て何か言いたそうにしている。「どうしたの?料理長?料理で何かあったの?」と聞くと


「お嬢様、今少しお時間よろしいですか?ちょっとだけなんですが。旦那様もよろしいですか?」と周囲を見渡しています。


「どうした?料理長。話してみなさい。」とお父様が許可を出したので話し始めた。


「ーーーーお嬢様、私は自分が死ぬまでに一度お会いして、お伝えしておきたいと思っていました」




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