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18、お父様の奮闘!


久しぶりの実家の門の前に立っている。ここまでは公爵家の馬車で送って貰った。「エリスちゃん、お父様によろしくお伝えくださいね」とステラお母様が見送りながらそう話していた。


実際久しぶりに我が家へ帰って見ると、家ってこんなに古かったっけ?こんなに寂れてた?門のデザインってこんなだった?とドアノブひとつとっても違和感を感じてしまった。


1年ほどの間に色々とすごく変わっている気がする。自分が家から出た人間だと嫌でも自覚する。公爵家に慣れてしまっている自分を認識した。


ノッカーを叩き中からの返事を待つ。「はい。」と懐かしいトーマス爺の声がする。


ガチャっとドアが開いた。トーマス爺は驚いた顔で「まぁ、エリスお嬢様。・・・・お帰りなさいませ」と微笑みながら温かく出迎えてくれた。


「只今、トーマス爺。元気にしてました?」と尋ねると、「はい、お嬢様。」と笑って返事をした。


「ところでお父様はいらっしゃる?」とトーマス爺に聞いてみた。「ええ、いらっしゃいますよ。今でしたら書斎です。」とトーマス爺が話した直後、頭上から「エリス、帰ってたんだね?お帰り。」とお父様の声がした。


お父様が2階から玄関フロアを覗き込んでおられました。


「ちょうどいい、トーマスお茶を入れてくれ。エリス、リビングへお入り。」と言われ手荷物をトーマス爺に預け、そのままリビングに入りました。久しぶりのリビングですが、最後に見た時と雰囲気が全然違う。


リビング全体を見渡してみるとファブリックや調度品の色合いが落ち着いた気がする。


「お父様、このお部屋の雰囲気が凄く変わりましたね。リフォームでもされました?」


「はははっ、やっぱりエリスも女性だね。よく見ているね。まぁ、そこにかけて。」と言われソファに腰掛けた。ちょうどそこにトーマス爺がお茶のワゴンを押して来た。


「トーマス、せっかくエリスが帰って来てるんだ君もお茶にしよう。」とトーマス爺に声をかけた。


「私も宜しいので?」


「あぁ、君の分も入れるといい。」


「では旦那さま、遠慮なく」とトーマス爺は3名分のお茶を入れ、空いているソファに座った。


「エリスに報告があるんだ。トーマスも関係した事だから一緒に聞いて欲しい。」


「もう気が付いていたと思うが、カトレアとキャサリンが居ないだろ?」そう話すお父様、側にいるトーマス爺も神妙な表情でお父様の話を聞き入っている。


「はい、敢えて口には出しませんでしたが・・・・」でも薄々は思っていた。


「単刀直入に言うと、今あの2人はここには居ない。エリスがボヌール家へ出た事をきっかけに、私自身の人間関係を見直そうと思った。もちろん、エリスとトーマスが作ってくれたあのノートを元にね。」と軽くウインクした。


「私はあのノートに書かれていた事をまず確認した。これに関してはきちんとした裏付けが欲しかったから、調査のため人を正式に雇った。もちろんノートを疑っていた訳ではなく、あまりにも我が家の資産管理の有り様が酷いと思ったからだ。」



そう、本当にあの時のこの侯爵家の状態は酷いものだった。湯水の如く財産が使われて、お母様が大切にしていた嫁入り道具まで質屋に入れられていた。この辺はトーマス爺がこっそり教えてくれたのだ。



「そして、何より私が許せなかったのは財産の事だけでは無かった」と悔しそうに顔を歪ませていた。


「今は亡きアンナの遺品を質屋に入れるだけで無く、かなり僕の物まで手を付けてあった。もちろんこの家の財産も空っぽになる寸前だった。」


「まだ、ドレスや宝石などに使われるのならよほどその方が良かった。だがここの家で作ったそのお金は、ほぼ自分の実家とキャサリンの実の父親に流れていたんだ。」


ーーーーもう唖然として声が出ない。


「問い詰めるとカトレアは最初はシラを切ってたよ。でも質屋の帳簿の写しを見せたら逆ギレし始めた。僕はカトレアを逆ギレさせたまま2人を連れ馬車に乗り込み、その足で彼女の実家へと連れて行った。もちろん最初に打ち合わせをしてあった憲兵を数名一緒に連れてね」


「まぁそんな事が。驚きました」普段は物静かなお父様に、こんな激情があるとは。


「あぁ、最初から到底許す気は無かった。もちろんエリスに対してカトレアがした仕打ちも」と私の目を見ておっしゃった。


「後は、帳簿の写しとカトレアの素行調査を実家で見せつけたよ。これは侯爵家として正式に訴えると言った。これは立派な横領だからね。ーーーー頼むからそれだけは勘弁してくれと頼まれたが僕は跳ね除けた。今はこの件は裁判の真っ最中だよ。弁護士はカトレア有責で楽勝だと言ってくれたよ」


・・・・お父様ってもっと大人しい人だと思ってた。これはちょっと驚きね。


「お2人とも、お茶のおかわりを入れますね」とここでトーマス爺がタイミング良くお茶のおかわりを入れてくれた。「本当に旦那様はお嬢様が出て行かれてからと言うもの、人が変わったように働かれておいでです。亡くなられたアンナ奥様もきっとお喜びになられていると思います」と話した。相変わらずトーマス爺のお茶はいつ飲んでも美味しい。


「お〜いトーマス、それでは今まで僕は全然働いて無かった見たいじゃあないか〜〜」と笑いながらお父様がそう言うとトーマス爺は「あらそうでしたか?これは失礼!!」と戯けて話すとその場にいた皆が「ははっ」と笑った。



「裁判の判決が出るまではあと暫くはかかるだろう。でも今はとてもスッキリした気分だよ。」とお父様はとても穏やかな笑顔で話して下さいました。

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