17、これからの事
それから半年後、叔母様は「エリスちゃん、これお給料よ。弾んでおいたわ。学費の足しにでもして?」と言いながらエリスにかなりの大金を渡してくれた。
「ーーーーこんなにいいんですか?叔母さま。」と思わず聞き返してしまう程に。
「良いのよエリス。今回の【エリス】シリーズでは我が社はたくさん稼がせて貰ったわ。学費も結構お高いんでしょ?足しになると良いけど」」と言いながら笑っていました。
・・・・どうしよう。こんな大金。と悩んでみたが結局は残りの学費を一括で支払った。いままで公爵家には学費だけでなく身の回りの物全般に大変お世話になっている。
これぐらいはさせて欲しい。そして公爵家にはこれからお給料から、少しでも生活費を払いたいと言うつもりでいる。
公爵家は学園から近いので、このままここでお世話になれると助かるのだ。そして学園を卒業すると同時にレオンとの婚約を解消しようと思っている。
ーーーー早い方がいい。本来なら私など近寄ることも出来ない雲の上の人たちだもの。
◇◇◇◇◇
ボヌール公爵家リビングにて
「ねえ、レオン知ってた?」と昼下がりのお茶を楽しみながらステラがレオンに話かけている。レオンは非番だし、この時エリスは学園だ。
「・・・・エリスちゃん、学費を一括で支払ったみたいね」と神妙な表情で、大人になって全く可愛げの無くなった息子に話しかけている。
「えっどうして?まだ彼女は学生だろ?どうやって支払うんだ?」
「だから支払い名義はクリスティーナよ。でも、あれたぶん自分の懐から出したんじゃないかしら?」
「だからどうして?」とステラに食いつくレオン。
「エリスちゃん、叔母さんの所で働き始めたんだけど、やはり彼女優秀みたいね。これ見た事ない?」とある新聞の切り抜きを出して来た。それは所謂ゴシップ誌などではなくキチンとした新聞だ。
「今話題の人」というコーナーの記事に女性のやり手経営者としてクリスティーナの特集が組まれていた。そこにはクリスティーナの生い立ちやこれまでの商品開発の事、その他業績を短くまとめてあった。
「エリスシリーズ?」
「そう、エリスちゃん私たちには黙っているけど、これたぶんあの子のじゃない?名前もそのまま使ったようだし」
レオンはそのデザインに身覚えがあった。家の図書室でデッサンしていた物だ。本人は急いで隠していたが間違いない。
ーーーーやるじゃん、なんて女だ。
「まぁ、血は争えないわね。アンナも凄かったもの。」とさすがねー。とステラが1人感心していた。
◇◇◇◇◇
「旦那様、ステラお母様お話があります。ちょっと良いですか?」とある日の夕食後エリスが言い出した。この日はレオンは王宮に詰めていてここにはいない。
「エリスさん、どうしたんだい?」と旦那様が飲み掛けのコーヒーを一旦お皿に戻しながら答えた。
「あの、こちらへお邪魔してそろそろ1年近くになります。一度、顔を見せにお父様に会いに帰っても良いですか?」とおずおずと話した。
「あぁ、構わないよ。一度帰って安心させてあげなさい。それでいつぐらいに帰るんだい?」
「はい、学園の都合や仕事の都合もありますので、この週末にでもと思っています。」
「わかった。その時は気をつけて帰るんだよ。久しぶりだ、何日間か親子水いらずで過ごしてくるといい。もちろん公爵家の馬車を出しなさい。」と温かく了解して貰えた。
「エリスちゃん、お父様に宜しくお伝えしてね。」と、ステラお母様も賛成してくれた。
「はい、ありがとうございます。」実はエリスはこれまでの事、これからの事をお父様に聞いて欲しかったのだ。
久しぶりにゆっくり話したい。エリスがいなくなった後のあの離れはどうなっているのかも少し気になる。トーマスを始め厨房の皆さん。元気かしら?




