表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/32

16、【エリス】シリーズ


次の週末、「エリスちゃんさえ良かったら叔母さんのお手伝いをしてあげたらどうかしら?」とステラお母様に声をかけて貰った。


「えっ、本当に良いんですか?なるべくこちらのお家にご迷惑にならないようにしますね。認めて頂き有難うございます」とお礼を言った。その足で旦那様の書斎を訪ねると、丁度書斎に居られたのでしっかりとお礼を言っておいた。

「エリスさん、無理だけはするなよ。エリスさんに何かあったらアレが悲しむから」と笑いながら言われ、旦那様は軽くウインクされた。


「ただ勉強もあるだろうから、その辺りは気を付けないといけないだろうけど」と概ねボヌール家に了解を貰ったので、早速今日は馬車に乗りクリスティーナ叔母さんの会社に来ていた。



ーーーー正直言って驚いた。思っていたよりもかなりの規模だ。もっと小さなこじんまりした所だと思っていた。叔母様、本当に頑張られたのね。


会社に着くとクリスティーナ叔母さんが出迎えてくれた。


「エリスちゃん、よく来てくれたわ。ありがとう。」とエリスの手を握りながらクリスティーナ叔母さんは喜んでくれた。


「私は主に中流階級から平民に安くて着心地の良いウェアを提供しているのよ。結構需要があってね。皆さんに喜んで貰って居るのよ。」と商品見本を見せながら、身振り手振りで熱心に説明してくれた。


・・・・そうか、そんな所にも仕事って転がっているのね。発想って大切だ。


「なんてったってエリスちゃんは若いわ。今時の若い子が使いやすくて買い求め易い服を開発して欲しいのよ。」と提案してくれた。


「叔母さま、種類としたらどれぐらいの物が必要だと思われますか?」


「うーん、分からないのよね。その辺りもエリスちゃんにお任せするわ。原案ができたら教えてくれる?あと報酬は売上次第でどう?」と一気に現実的な話へ入った。この後も工場を見学させて貰ったり、社員さんを紹介されたり、生地や縫製について教えて貰った。そして話しているうちにお昼時になったので、近くのパン屋さんでパンを買い求めて叔母様の部屋で二人で食べた。



ーーーーまさかこの会社を手伝う事が人生を大きく左右する事になるとは夢にも思わなかった。




◇◇◇◇◇





屋敷に帰って改めて考えると、正直言って叔母さまの提案は魅力があった。


まずコンセプトを考えてみた。この時代はとにかくドレスとワンピースだ。


セパレートはどうだろう?


自分のお小遣いで服が買えて変化がつけられる。


合わせて装飾小物もラインナップする。自分のセンスと懐具合で手持ちの服ともコーディネートが可能だ。


手元にあったスケッチブックにまとめていく。


花柄や無地、水玉。色々あると楽しいかしら?


普段着からちょっとお出かけに堪える物まで。


デート時やお友達と遊びに行ったりそんな時に変化を付けられる服。


描いてると楽しくなって来た。思っているより筆が進んだ。



場所を公爵家の図書室へ移動し生地の種類などの資料を探す。


資料を見て更にデザインが膨らんできたので益々のめり込んでいた。ーーーー側にレオンが来ていたのにも気がつかないほど。


「それ、何してんだ?」


と話しかけられた時は心臓が止まるかと本気で思った。


「もう!びっくりするじゃ無い。黙って側に立たないでよ。」と思わずレオンを責めた。


「はははっ、ごめんごめん。」と謝って来たがちょっと許せないわ。軽く謝るな~!私のびっくりを返せ。


さっとデザイン画を隠しながら、「・・・・それで何か用ですか?」とジト目で聞いてみた。


「いや、何も。通りかかったら何か熱心にやってるし何かな?って」と俺何も悪く無いもん。みたいなノリでエリスに向かって話した。


「人から頼まれてデザインしています。忙しいので用が無ければ彼方へ行ってて貰えますか?」と冷たく突き放してやった。


あっち行け。しっしと目線も付けて。


「へいへい、分かったよ。」と渋々図書室から出て行った。ったく、びっくりさせないでよ。



何点か考えが纏まったので、スケッチブックにまとめた物を次の週末に叔母さんに見せに行った。



「良いわ!斬新ね!エリスちゃん良いわよ!これで行きましょう。このシリーズのライン名はもちろん【エリス】よ。」


「若いお金のない子達が少ないお小遣いで買えて、尚且つ自分のポリシーが出せる所が良いわ。彼氏も彼女にプレゼントし易いわ。」と喜んでくれた。



この【エリス】は1ヶ月後を目処にに発売する事になったが、正直、商品開発を舐めていた。


勉強との併立が大変だった。


生地の選考からパターン起こしや仮縫い、その他色々。自分の目で見て手に取り確認する。


でもどれも凄くやりがいがあってその苦労も苦労だと感じなかった。


デザイン一式が工場へ入りいよいよ縫製が始まり商品が出来始めた。


時折、叔母さまとエリスがチェックに入り目を凝らした。


そしてとうとう完成し、発売日を迎えた。



商品が店頭に並んだその日の事は感動した。こんなに嬉しいと思ったのは生まれて初めてだ。一生忘れられない。






次の週末、叔母さんが学園まで来ていた。結構忙しかったが講義の合間を縫って面会しに行った。叔母様を見ると凄く良い笑顔だった。


「喜んでエリスちゃん!!【エリス】シリーズ完売よ」


「ーーーーえっ、嘘ですよね?」まさか、そんなバカな。


「もー嘘じゃないわよ。今日から縫製ラインを増やして増産体制に入ってるわよ」と叔母さまはほくほく顔だ。学園にまで伝えに来るなんてよほど嬉しかったのだろう。


「また、盛大に一緒にお祝いしましょうね」と言って言葉を終えると、ひらひらと手を振りながら学園から帰って行きました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ