11、レオンとのランチ
その夜、ボヌール公爵家ではエリス、レオンと公爵家夫妻がリビングで話し合っていた。
主にレオンがお茶会で起きた出来事を報告したのだ。レオンが話を進めれば進める程、顔色が赤くなっていく2人。特に、奥様の表情が無くなって行くのが手に取るように良く分かった。
「何て事だ、よもやそんな事が。。。わかった。私からは正式に王室へ抗議しよう。」と旦那様が怒ってらした。
「――――いえ、ちょっと待って下さい旦那様。今は抗議はお辞めになって下さい。レオン様の仕事の事もまだありますので。」とエリスは引き止めた。
そこにいる皆に、そして自分自身にも言い聞かせるように
「私自身もう少しの辛抱だと思っています。ここは一つ慌てず冷静に対処したいと思います。」と言い放つと、一人ひとりの表情を伺ってみた。
「じゃあ、俺が王女の警備を離れるよ。特にあの仕事に思い入れも無いしな。」とエリスを見ながらレオンが言い出した。
「せっかくですが、それだと益々王女様がレオン様に思いを残される気がします。このまま王女様の身辺警護は続けた方が良いのでは?例えば1つのちょうど良い区切りの時までとか?」とエリスも提案する。
「逆に貴方達が見せつけたらどうかしら?いっそ婚前旅行とか?」とここで奥様の爆弾発言が来ました。
「学校を休むのはちょっと。。。」と一応言っておこう。旅行なんてハードル高すぎる。まず無理。
「仕事に穴を開けるのは。。。」とレオンも言っている。
「・・・あの、私はもう気にして居ません。これで王女様とお会いする事も無いかと思います。なのでレオン様どうぞ王女様に今まで通り着いていてあげて下さい。」とレオンに向かって言った。
「旦那様、奥様、今の所そんな感じなので、社交界に噂を流して置いて貰えると良いかと思います。2人はうまく行ってると。」
「そうだなぁ。わかったよエリス。君の言う通りにしよう。」と旦那様がわかってくれた。
「だが、噂だけで大丈夫か?」と突然レオンが言い出した。何かを考えたようだ。
「えっ!」何を言い出すのこの男。。。
「一応俺たちもアリバイは作ろう。エリス、明日のランチは俺と取ろう。食堂で待ってる。」と言い出した。
「いや、そこまではしなくて良いのでは無いでしょうか?」
「俺とのランチがそんなに嫌なのかよ。」
「えっ、嫌。――――いえいえそうでは無くて。。。」
「だったら、明日の12時に食堂の入り口で待ってる。1人で忘れずに来いよ。」と言い放つと同時に席を立ち、公爵夫妻とエリスが注目する中、自室へ戻って行った。
まさかこんな事になるとは。私は学園内では人目も気になるし嫌なんだけどなぁ。でもそう言えなかった。なぜだろう?とちょっと思うエリスだった。
◇◇◇◇◇◇
次の日重~い足取りで食堂に向かうエリスの姿があった。
食堂の前に人だかりが出来ている。すごーくすごーく嫌な予感がする。
良く見ると食堂の入り口の壁にもたれ腕組みするレオンの姿があった。
何かの行事があったのか?正装だ。眩しすぎて目が眩む。なぜそんな気合いを入れて食堂に来るんだ。たかがワンコインのランチだぞ。
私、帰って良いかな?と思って回れ右をした。――――そぉ~と歩き出した途端、レオンに「エリス、こっちだ。」と大声で叫ばれた。もう泣きたい。
仕方ないのでレオンの方へ歩きだす。
「お待たせしました。」と言うと、レオンは小声で「お前今帰ろうとしただろ。」と凄まれた。
「――――イエイエソンナコトナイデス。」と答えておいた。
でも冗談抜きで容姿はいい男だとは思う。エリザベス王女が骨抜きなのもわかるわ。あの多感な年頃だと特にね。
周囲の人々の視線が痛い。視線で人が殺せるなら私、何回死んでるだろう。
ここは学園内の食堂、私たちが食べているのはワンコインのランチ。
なのに彼が食べているのを見ると、ここは一流レストランでフルコースを食べてる様な錯覚が起きる。
なのにそんな彼との会話はすごく残念だ。婚約者同士の甘さなんぞどこ吹く風だ。
「お前、勉強の方はどうなんだ?」と聞いて来た。
「私はお前って名前じゃないわよ。もしかしてご存じではない?」
「エリス、勉強の方はどうなんだ?」
「まぁ、ぼちぼちね。」
「今は何を?」
「短気な騎士の行動学よ。」
「ーーーーってそれ、絶対嘘だろ!」
「えっ、なぜわかったの?」
「俺の事、馬鹿にしてる?」
「えっ、なぜわかったの?」
「・・・・やっぱり馬鹿にしてるだろ?」
貴重な初デートのランチが子供のケンカで終わりを告げた。




