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Save! Load! Continue?  作者: とっしぃ
最後の戦い
268/300

268 ラスボス


頭の中に思い浮かんだ名前は「グラシエール」

そして老人は「正解だ」と答えた


『正解だ・・・って、まだ何にも言ってないんだけど?』

『おっと、私としたことが・・はっはっはっ、君との再会が嬉しくてつい気が逸ってしまったよ』

『・・・答えになってねえよ』


(はったり?いや、鎌かけか?それとも・・・)


『三つ目が正解だ』

『っ!?』


考えるのとほぼ同時に老人が喋る

驚くのと同時に『最悪のパターンだ』と思い、さらに警戒を強めた


『そう警戒しないでくれ。君に危害を加えるつもりはないのだから』

『考えてる事が分かるのか?人の心が読める?冗談キツイんだけど・・・』


先程三つ目に考えたのは「人の心が読める」という可能性

はったりや鎌を掛けることで相手を誘導するタイプのような単純に頭が切れるのとは違い、シンプルに厄介だ


(こいつの実力が全くわかってないってのに、こっちの考えを読まれるとなれば探りを入れにくくなる・・・)


『別に心を読まれるのは初めてではないだろう?』

『・・・初めてとか初めてじゃないとか、んなの関係ねえんだよ』


丁度『そういえばルシオとして転生する前、死神も俺の考えを勝手に読んでたな』なんて考えたところだった

きっとその考えも読まれたのだろう

咄嗟の苦し紛れに子供のような反論をしてしまった


『はっはっは、私も君と同じような事を奴に言ったよ。「勝手に人の思考に割り込むな!」ってね』


老人は遠い目をしながら懐かしむように笑う


『・・・・』

『その通り。私も君と同じ『転生者』というやつだ』


目の前の老人は俺の発する言葉だけでなく思考にまで返事をしてくるから会話が滅茶苦茶だ


だが同じ『転生者』と言われ納得がいった

目の前の老人は俺と同じで死神から何かしらのオプションを受け取っている

その一つが『人の心を読む能力』なのかもしれない

俺と同じチーターだ


『なるほど・・・ってことは、あんた本当にグラシエールなんだな?』

『そう言っただろう?』


最悪だグラシエールはまだ生きていた

まだこの老人が本当にグラシエールだと確定した訳ではないが、まぁおそらくそうなのだろう


『人の心を読めるのはリアンやイアンみたいに『心透の神子』だからって訳じゃないんだな?』

『・・・あんな餓鬼共と一緒にしないでくれないか?』

『うっ・・・』


リアンとイアンのことを「あんな餓鬼共」と言った瞬間のグラシエールはとても冷たい目をしていた

殺気なのか魔力なのか、何かはわからないがとんでもない圧を感じ、小さな呻き声が零れた


恐怖で足が震えている

思うように力が入らない


『おっと、すまない。怖がることはない、さっきも言っただろう?君に危害を加えるつもりはないんだと』

『・・・ふぅ・・・・・・あんたにいくつか聞きたい』

『何だね?』

『あんたは本当にグラシエールなんだな?』

『そうだとも』

『何年この世界で生きている?』

『正確には忘れたが・・・凡そ千三百年といったところか?』

『はっ、笑えねえ・・・その寿命は転生する時に死神から貰った力なのか?』

『今は秘密にしておこう』

『リオーシスの半分を消滅させたのはあんたか?』

『そうだ。これでもかなり我慢してあげたんだがね』

『何のために?』

『あの駄竜から聞いているのだろう?』

『・・・あんたの口から聞きたい』

『はぁ・・・まぁいいだろう・・私はこの世界を恨んでいる。あの国は特にね・・・』


リアンとイアンの話をした時と同じように、グラシエールは冷たく凍り付くような空気を放つ

かなり距離をとっているというのに俺の全身は鳥肌を立て、足は竦み、冷や汗が止まらない


ノワールやブランとも違う、マホンやジオラの物とも違う、野生の竜が放つ物とも

今まで経験してきた強者が放つ、殺気、覇気、怒気といった空気感

そんなものとは比べ物にならない圧をグラシエールは放っている


今までそれなりに修羅場を経験してきたつもりだったが

蛇に睨まれた蛙のように動けない


『半分だけ残してやったのは「君に遠慮した」というのもあるが、皮肉が効いていると思わないかい?』

『・・は?』

『奴等は私を閉じ込めるために世界を半分にしたんだ。だから同じように半分は残してあげたんだよ』


「奴等」というのはリアン達過去の偉人の事だろうか


ビルの予想は当たっていた

リオーシスを半分にしたのは少し前までの世界の在り方を皮肉ったものだった


『俺に遠慮って・・・どういうことだ?』

『君には感謝しているんだよ。君のおかげで世界は再び一つになり、こうして私は生きていられる』

『?・・・ここのすぐ下に鏡海を割るための大筒があっただろ。どうして自分で鏡海を割らなかった?』

『割ろうとしたさ・・・何度も、何度も・・・だがあれは私には触れられない。目的を達成する方法が目の前にあるのに実行できない歯痒さがわかるか?そんな思いを千年味わい続けたこの思いを!』


グラシエールの放つ圧がビリビリと全身に響く

恐怖で全身が震え、ただ立っているためだけに強化魔法を使わなくてはならない程だ


『・・・・・・だが足掻き続けた甲斐があった。君を見つけた時、喜びで全身が震えたよ』

『・・・・』

『これでようやく悲願を成就できるよ。全て君のおかげだ。だから君には感謝しているし、そんな君に危害を加えるつもりはない。本当だ』


グラシエールの言葉を聞き、初めてこの老人と会った時の事を思い返した


『・・・お前、あの時俺に何をした!?』


グラシエールは俺の質問に答えることは無く

不気味な笑みを浮かべ小刻みに肩を揺らしている


俺を見つけた時に喜びで全身が震えた?

それは俺が同じ転生者で、且つアヴァングラース側から来た人間だからか?

そこはまだいい

俺のおかげでこうして生きていられる?

さっきもその部分がひっかかった


俺は最初グラシエールのことをグラシエールとしてではなくクレアの村の村長だと認識した

それはクレアを助けた日、村長の家で一晩泊めてもらうことになり、そこで初めて出会っていたからだ

そしてその日の晩、悪夢にうなされている俺をこの老人は隣に立って見ている




『さあ!私と共に世界の終末を迎えよう!特等席で見せてあげるよ。そして全てが終わったら・・・共に死神に会いに行こうではないか』

『・・・・・クッソじじぃが!!!』


怒りが恐怖に打ち勝ち、全身に魔力を籠める

そして一つの巨大な雷槍を作り出す


『ふむ、独学でその域に達するとは素晴らしい』

『く・た・ば・れ!』


全力で雷槍をグラシエールへと放つ

塔の最上階、広い空間とはいえ雷槍を扱うには少し狭い

俺の位置からグラシエールの位置まで、雷槍なら本当に一瞬で届く


放った瞬間、周囲は閃光と轟音に包まれた


だがそれも一瞬


次の瞬間には空が見えていた

グラシエールの背後の壁や床や天井は綺麗に吹き飛び、外の景色が見える


だがグラシエールはずっと同じ場所に居て、同じ椅子に座って頬杖をついたままだ


グラシエールと座っている椅子、そして椅子が置かれている部分の床だけそのまま残り、宙に浮いている



『これで終わりかな?気のすむまで遊ぼうじゃないか。なぁに、千年待ったんだ。君と少し遊ぶくらい付き合ってあげるとも』

『・・・・・っく』


分かっていた

このくらいで勝てる訳ないと

このくらいで死んでくれる訳ないと

でなければリアン達が世界の半分を犠牲にしてまで封じ込めようなんて考えるはずないと


『お前の好きになんてさせるか・・・絶対にぶっ殺してやる!』


苦し紛れに中指を立てながら捨て台詞を吐いた



_______

Loadしますか?

►はい/いいえ

_______






Loadする瞬間

再び不気味な笑みが見えた気がした


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