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Save! Load! Continue?  作者: とっしぃ
最後の戦い
269/300

269 疑問


Loadして見慣れた光景へと戻って来た


死神から貰った俺のオプションであるSaveとLoad、Continue

Loadした今、俺とグラシエールはまだ再会していない状態だ

いくらグラシエールが人の心を読めたり、凄まじい魔法の実力者だといっても、流石に時を越える事まではできないだろう


(できないよな?)


家族が和やかに食事の準備や談笑をしている中、一人だけ周囲を警戒していた


「ルシオ様?」

「ん?」


俺の様子がおかしいからかサラが声をかけてきた

サラは本当に俺の事をよく見てくれている


「どうかなさいましたか?」

「いや・・・」


周囲は特に変わった様子もないようだ


椅子の背もたれに体重を預け、グラシエールと対峙してからずっと張り詰めていた緊張感を解いた


「っふぅ~~~~」

「どうしたの?ルシオ」

「旦那様?」


隣に座るマヤも対面に座るシシルも

急に力なく天井を仰ぐ俺の様子に気付き、皆がこっちを見ている


「最悪だ・・・」

「「え?」」




グラシエールが生きていた


あいつの言ったことが本当なら1300年の時を生きているということになる

だがその途方もない時間はビルの言葉の裏付けにもなる


ビルは小竜だった頃から千年の時を経て人の姿へと化けられるようになった

それはこの世界に伝わるお伽噺にもある


ビルの話では、グラシエールはビルが小竜だった頃に生きていた人物らしい

鏡海を造ったのもその時代

だからグラシエールの言う事とビルの言う事に矛盾は無い

矛盾は無いが到底信じられる事でもないが




問題はグラシエールが人の心を読めると言う事

あいつは「駄竜」と言っていたのでビルの事も知っているのだろうが、それが俺の心を読んだからだという可能性もある


そうでなければビルのような竜種でもない人間が1300年という時間を生きられるはずがない


(いや、でもあいつも俺と同じ転生者だっていうなら・・・一番あり得るのは、転生する時に死神から貰うオプションで『不老不死』を願ったか・・・)


死神がそんな無茶な願いを許容するかはわからないが、オプションで不老不死を願い、それを叶えてもらったのなら無い話でもない


(見た目があんなジジイなんだし『不老』ってのは違うか・・・ならただの『不死』か?老いるけど死なないとか地獄でしかないと思うんだけど。そんなことまで頭が回らない馬鹿にも見えなかったし・・・)


転生する際に『不老不死』を望めば、赤ん坊の状態から成長できないということになるだろう

だが『不死』だけを望めば、あんなヨボヨボの姿になっても死ねず

そして体だけはどんどん老化を進め、いずれは動くこともままならなくなるだろう

『死ねない』のに体の老化は止まらない、それは地獄のような辛さなはずだ


(魔術に秀でているっていうのなら体の老化を止める方法でも見つけたのか・・・いや、だったらあんなミイラみたいな姿になってないか・・・)


「ルシオ?大丈夫なの?」

「ルシオ様?」

「旦那様?」


(死神に『不死』を願ってから生きている間に『不老』の魔術を発明したとか?それもおかしいか、転生先にそんな魔法があるなんて保証もないんだし・・・グラシエールが後先考えない馬鹿野郎ならあり得るはなしだけど)


ちょっと前まで手掛かりが無さ過ぎて奔走していたというのに

いざ犯人を見つけた途端わからない事ばかりで、処理しなければならない情報が溢れかえってしまっている



「ルシオ~?」


返事をしないことに痺れを切らしたのかマヤが両手で俺の顔を挟み、目と鼻の先まで顔を近づけてきた


「ごめん、考え事してた」

「大丈夫なの?」

「大丈夫じゃない」

「冗談じゃなくて?」

「うん、大真面目に」

「・・・何かアタシ達にできることある?」

「今は考えたいことが多すぎるからそっとしておいて」

「・・・わかった」

「ありがと」

「ん・・・もう」


せっかく顔を近づけてくれているのでついでにキスをすると、マヤは照れながら手を放し再び隣の席に腰を下ろした


マヤに「そっとしておいてくれ」と言ったからか、サラもシシルも何か言ってくることはない

急に俺の様子が変わった事から『やり直しの力が関係している』と、エルダを含めた四人が考えているだろう

何があったのか質問したいだろうに、今はただ心配そうに俺を見ているだけだ

とても有難い




(グラシエールの言う事を仮に信じたとして、奴が死神から貰ったオプションはなんだ?俺と同じで三つ?・・・くそっ、リアン達が世界の半分を犠牲にしてまで閉じ込めておいた相手を俺がどうにかできるのか?)


グラシエールのオプションが何かわからない

寿命?不死?魔法の実力?人の心を読む力?

いくつか候補はあるものの、それら全てに確証は持てない

なんせ『魔法』なんて物が使えるファンタジーの世界だ

オプションではなく“そういう魔法”という可能性も十分考えられる

俺が知らないだけで、老化を抑える魔法も人の思考を覗く魔法も、あらゆる可能性があり得る




そしてグラシエールとの会話の最中、最後に俺が感じた違和感


クレアの村の村長として初めて俺と会った時の夜


(あの時あいつは俺に何をした?まさか何もせずにただ眺めてたなんてことないだろう)


もうとっくに何かを俺に仕込んでいる可能性はある


(あの黒い魔力とかまさしくそうなんじゃないのか?)


タナトスから帰って来た頃に気付いた、内から湧き出てくる黒い魔力

あれがもしグラシエールが俺に仕込んだ何かの罠なのだとしたら


(でもあの黒い魔力を使ったとしても俺に何か不調だったりデメリットってないんだよなぁ・・・)


今のところ体に何かしらの不調が出たりといった異常は見当たらない

一応念のため乱用しないようにしてきたのでそのおかげなのかもしれないが


(でもリアンの指輪を付けていればあらゆる負の魔法を防げるはずじゃ・・・寝ている間に外された?だとすれば指輪を戻した理由はなんだ?俺に鏡海を壊させるため?・・・そもそもあの塔に居てどうして自分で鏡海を壊さなかった?たしかあいつ鏡海を破壊するための大筒は『触れない』って・・・)


「あ~・・わっかんねえことばっかりだ~・・・」

「失礼します。お食事の準備ができたのですが」

「ん?」


テラに声を掛けられ、気が付くといつの間にかテーブルには夕食が並べられていた


「ああ、ありがとう。皆食べようか」


元気の無い俺を見て皆が心配そうにしている

だが皆に気を配る余裕が今の俺には無い

皆の視線は感じるが、考え事をしながら黙々と食事を摂った



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