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『魔王を討伐するハズの勇者(オレ)が婿入りして次期魔王筆頭候補になってしまった訳で』   作者: 御音人 真理
第3章

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第3章  その15 策謀・3

 「薬を作るのに、油なんか使うのね」


 与えられた小屋に戻ったレオンにマリーが声を掛けてきた。


 「食用の油だろ?種類は何だろう」


 小ぶりな油壷を持ち上げ、漏れ出る匂いを嗅いでみる。が、レオンには馴染みの薄い匂いだった。


 「『向日葵(ヒマワリ)』という植物の種子から取れる油だそうです」


 エルフ達によって届けられた薬草の一部を確認していたバランが振り向きもせずに応えた。


 「私も使ったことはありませんが、エルフ達は軟膏用にも普通に使っているとの事です」


 バランが今確認しているのは、乾燥させた薬草だった。

 見た目だけでは種類が判別出来なかったり、効能が分からない薬草もあるので『鑑定魔法』を駆使して調べ上げているのだ。


 「薬にするには生のままの薬草が適している種類もあるので、そちらは採取してきてもらう様に手配済みです」


 手元に届いた薬草を漸く調べ終えたバランは床に腰を下ろして一休みする体勢にはいった。


 「今届いている薬草はそうでもないですが、エルフ族の薬師の知識は大したもののようです。使い方を間違えると大事になる薬草も使いこなしている様です」

 「あれか」


 レオンは一瞬だけ顔をしかめた。


 「二人だけで会話を進めないで欲しいのですけれどー」


 手持ち無沙汰なマリーがかまって欲しいのか会話に加わってくる。


 「冒険者なら、最低限毒草や毒キノコの類は知っているよな」

 「た、多少はね」


 その辺りに自信がないのかタジタジに成りながら軽く頷く。


 「その毒も、種類によっては薬になるんだよ。量を間違えられない劇薬扱いになるがな」


 顔をしかめながら、レオンは言葉を続ける。


 「あと、身体に良いとされる食べ物なんかも、長い間大量に摂取し続けると結局は身体を損なう原因に成りうるけどね」

 「そんな訳で、今回エルフ側から提供される薬草は比較的効能の低い安全な物だけという制限を受けています」


 話が脱線しかけたので、バランが話を引き継いだ。


 「今届けられているのは、煎じ薬用に蓄えていた物の一部だそうです。

調べた範囲では、切り傷なんかの止血用や打ち身なんかに効く軟膏が作れそうです」

 「本命の『魔法薬』は作れそうかい?」


 レオンはバランに確認をしてみる。


 「えーと、その前に。『煎じ薬』と『魔法の飲み薬(ポーション)』って、どういった違いがあるのよ」


 マリーが基本的な事を確聞いてきた。


 「『煎じ薬』は、基本的に薬師が患者を診察してから症状に合わせて処方・調薬するのと、継続的に飲んで効果がでるのが特徴だ。だから、薬が合わない場合もある」


 レオンが教育が必要だとばかりに講義を始める。


 「あと、一時的に身体を温めたり熱を取ったりするといった『薬茶』も煎じ薬に使う薬草や薬効の有る植物を使う事があるが、こっちは効果が出やすく効果が切れるのも早かったりする」

 「『魔法薬』の方は、製薬の過程で魔力を使用する特別性ですね。効果が出るのが早く、しかも副作用の心配がありません。ただし、供給量が限られているのと、効能が高いもの程目が飛び出るほどの値段が付けられます」


 魔法知識に優れたバランが話を引き継いだ。


 「初級や中級の『魔法薬』なら作れる魔法使いもそれなりにいますが、上級ともなると御国抱えのごく一部の魔術師でなければ造れないとも聞いています」

 「俺達も『傷用』『解毒用』『体力回復用』の魔法薬(ポーション)は常備しているが、初級が少しと中級が一本か二本だ。最近はバランが回復役に徹して使ったことはないが、それだけでちょっとした資産になる位の価値がある」


 レオンが商売人気質で「価値」にいつての説明を続ける。


 「今回は、材料をエルフから提供させることでこんな辺境では手に入らない筈の『魔法薬』を格安で他の冒険者に提供する。それも使った分だけ支払わせて、未使用分は毎回回収して転売を防ぐという条件付きでね」


 この方法は他の冒険者に対するある種の工作が含まれているのだが、レオンはこの場ではあえて口にはしないでおいた。

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