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ドラゴとフウライ ― 旅の先にあるもの ―  作者: ナナマル
帝都編
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人の姿のドラゴン

ドラゴでも飛ばなければ入れないであろう、高い城壁に守られた帝都は、厳重な門で守られていた。

観音開きになるであろう扉の両脇には、いかにもといった兵士が直立不動でまっすぐ前を見つめている。


「手続きをしてくるので、待っていてください。」

青年は門の横にある石に近づくと、石が回転し通路を作る。

その通路に青年が吸い込まれるように入ると、さらに回転しそこには何もなかったかのように城壁がたたずんでいる。


「な…

ドラゴ、あれ見た?石すごすぎない?」

フウライは帝都の石というものはどこまで働くのだろうか、と思わずにはいられなかった。


「紫のドラゴンだな…

人間のために様々な石を作ったのだ。」

ドラゴは苦々しく、それでも半分くらいはわかるようになったその気持ちをため息とともに吐き出した。


「紫さん、すごいんだねぇ。」

フウライは単純に感動し、手を合わせて目を輝かせる。


「紫は何代かにわたっているからな…

それだけ需要があったのだろう。」

ドラゴは我も何代か続いたが、需要があったからではないな、と自嘲気味に笑みを浮かべた。


「でもドラゴは別に今は厄災じゃないじゃない。

他に役割があるのかもよ?」

フウライはドラゴのつぶやきをとらえると、首をかしげる。


「そうだといいんだがな。」

ドラゴは少しだけうなずくと、青年が消えていった城壁に目を向ける。

ふ、と城壁が回転し、青年が姿を現した。


「お待たせしました。お二人は帝都に滞在できます。

期限はありませんが、外に出たら入れなくなるので注意してくださいね。」

青年は二人に笑顔を向けた後、兵士に目で合図をする。

合図を受けた兵士たちは軽くうなずき、重厚な扉を両手で押した。


ギギィーーーー


扉に似合う重い音を立てると、その奥に帝都への道を開いた。

そこは円形の広場が広がり、広めの道路が四方へ散っている。

中央には台座に乗る人間の彫像と、周りに水しぶきを上げる噴水が鎮座していた。


「ひゃぁー。すごいね。噴水あるよ!

わあぁ!あんなでっかいの、初めて見たよ!」

恐る恐る足を踏み入れたフウライは、噴水を見つけると飛び跳ねつつ指をさす。


「危ないぞ。走ったりするな。」

ドラゴは顔をしかめつつ、それでも急ぎ足でフウライに続く。


「誰だろう?眼鏡の長髪の…男性かな?」

フウライは人物像を見上げ、顎に手を当て首を傾げた。

眼鏡をかけ、優しげな笑みを浮かべた青年が片手に本を持ち、片手はどこかを指さしている。


「それは、紫のドラゴンを擬人化したものなんですよ。」

青年はゆっくり二人に追いつくと、口もとに笑みを浮かべる。


「人々を教え導いている、という象徴なのです。」

青年は眼鏡を直し、ほう、とため息をついた。


「なんでドラゴンのままじゃないんですか?」

フウライはまっすぐな目を青年に向けると、もやもやする気持ちをぶつける。


「え、それは」

意外な質問だったのか、青年の目が泳いだ。


「ドラゴンであってはならなかったのだろう。

そういうものはすべて人間から、としたい気持ちの表れだ。」

ドラゴは鼻を鳴らし、吐き捨てる。


「そんな…ことは…」

青年は考え込むように腕を組んだ。


「ちゃんとドラゴンにすればいいのに。」

フウライは人物像を見上げ、もしかすると紫のドラゴンも人間としての姿を残したかったのかもしれない、などと思うのだった。

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