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ドラゴとフウライ ― 旅の先にあるもの ―  作者: ナナマル
華都編
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88/91

華まつりの輝き

「ぼく…キラキラ、好き、でも、これ、すごい。」

フウライは五色連鎖装を前に、うまく言葉を紡ぐことができなかった。

目の前の手首をかたどった台座は指を下に向け、ゆっくりと回転している。

腕にはまった豪奢な腕輪からつながった繊細な鎖には、オーバルにカットされた宝石が揺れ、人差し指にはまった指輪まで伸びていた。

細い金で編まれた台座に鎮座する宝石を見ても、くすんだ飴玉などという感想は出てはこないだろう。


「さすがだねぇ…」

しばらく見入っていたフウライは大きなため息をつくと、首をゆっくり振りながら五色連鎖装から体を離した。

会場には、絵画や彫刻、服やアクセサリーなどが飾られ、それぞれに人だかりができている。

五色連鎖装の前はことさら大きな人だかりができているため、宝石職人に道を作ってもらったのだ。


「おかげさまで、無事完成させることができました。」

疲れ切っている様子の宝石職人は、それでも満足げに胸を張る。


「大したものねぇ。

宝石を手に入れても失敗する確率も高いのに。」

白ドラゴは、首を傾けて宝石職人に賞賛の言葉を贈った。


「ありがとうございます。」

宝石職人が顔を笑顔で満たし胸に片手を置いたのは、賞賛の言葉に対する返礼だ。


「もうちょっと見ていたいけど、他の人の邪魔になっちゃうし。」

そう言いながら、フウライは会場の出口へ体を向けるが、顔は白ドラゴに向けた。


「そうね、行きましょうか。

もう優勝は決まったようなものだしね。」

白ドラゴは自慢げに話し込んでいる、豪奢な服を身にまとう依頼主に目を向けた後、つい、と視線を出口に向ける。


―――


「うーん…

次はどこへいこうか…。」

フウライは会場を出ると、縮んだように思える体を思い切り上下に伸ばす。


「決まってるでしょ。」

白ドラゴは眉根を寄せ、腕を組み片足をトントンと踏み鳴らした。


「カジノかぁ。もういいんじゃない?」

フウライは楽し気に白ドラゴを覗き込む。

ここ2,3日フウライは大勝していたが、白ドラゴは負け続けているのだ。

プラスマイナスで言えば大きなプラスではあった。


「でも、怖い人に追われなくてよかったよね。

ほら、勝ちすぎると怖い人が来て脅されるとかって…」

フウライは視線を上に向け、首を傾ける。


「この街からしたら、はした金よ!」

白ドラゴはフンと鼻を鳴らすと、イライラとさらに足を踏み鳴らす。


「今度こそ!勝つわよ!」

そして白ドラゴは片手を握りしめ、上につきあげるとカジノへの道を歩き出した。


「あの、すみません。」

意気揚々と歩く二人の前に、マントをまとった学者らしき青年がおずおずと進み出る。


「ちょっと何よ。邪魔よ。」

白ドラゴはカジノへの邪魔をされ、ブスっとした声をかけた。


「あ、す、すみません。ですが、急ぎでもありまして…」

青年はあわあわと手を振りつつ、ぺこぺこと頭を下げる。


「僕たちに、何か御用ですか?

少しだけでも聞いてみようよ。ね?」

フウライは不穏な空気を振り払うように、慌てて会話に割って入った。

もちろん、白ドラゴをなだめることも忘れない。


「私は帝都から来たのですが…

実は探しているものがあるのです。相談に乗っていただきたく…」

青年はかけている眼鏡を直すと、ほぅと小さくため息をついた。


「あのね、我らは探偵じゃないのよ。」

白ドラゴは腕を組み、バッサリと切り捨てる。


「何を探しているんですか?」

もちろんフウライは興味津々だ。帝都と聞いてはなおさらだ。

前のめりに青年の話に食いつくと、白ドラゴを上目遣いで見上げる。


「仕方ないわねぇ…」

白ドラゴはフウライの様子を見てため息をつくと、青年の話を聞くためにレストランへの道を進むのだった。

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