湖の向こうの華都
華都で一山当てようと意気込む人々でにぎわう、小高い山の上にある町の宿の一室。
ドラゴとフウライはベッドに腰を掛け、窓の外を眺めていた。
「すごいねぇ、あれ。」
フウライは目の前に広がる広大な湖の中央にぽっかり浮かぶ島から目を離すことなく、ドラゴに語り掛ける。
「ん?ああ、人間の欲望が詰まってるな。」
ドラゴは片口の端を持ち上げると、楽し気につぶやいた。
「あれが華都なんだ…。」
フウライは立ち上がると、もっとよく見ようと窓を持ち上げる。
その都は色とりどりの光をまとい、広大な湖にぽっかりと浮かんでいた。
要塞と見まごうような、それでいて大理石を思わせる美しい肌を持つ壁が、円形の都をぐるりと囲んでいる。
壁に阻まれて大部分は見えないが、中央から壁に似た質感の細い塔がそびえたっているのが見えた。
侵入者を拒む壁の四方に開いているのは、都へ入るための入り口なのだろう。
その入り口はさらに長い橋で外の地とつながっている。
「あの長い橋は4つあるんだって。」
フウライは机の上にある華都についての説明書きを取り上げた。
「一般橋、運搬橋、貴賓橋、統治橋、かぁ。」
フウライはフムフム、と説明書きを読み上げる。
「一般橋は無料で、歩いて渡るんだって。2㎞も歩くんだね。
運搬橋…無料…でも、荷物を運ぶ人とか職人さんしか入れないんだって。
え、運搬石で自動で道が動くって!すごいね。これ乗ってみたいなぁ…」
フウライはなんとかならないかな、などとブツブツ言いながらも次に目を移す。
「貴賓橋…有料…うわたっか!高いよこれ!僕には出せない…
どれどれ…運搬石で自動で動くし、椅子がついてるんだって。見どころでは下りて案内もしてもらえる…。」
観光だと思えば、と言いながらも眉を寄せて首をふる。
「最後は統治橋。ここは帝都と華都を統治する統治家しか渡れないんだって。
なになに、歩いても疲れない石でできている。」
フウライは目を丸くするとドラゴを見つめる。
「そんな石ある?」
フウライはその目を丸くしたまま、ドラゴに疑問をぶつけた。
ドラゴは少し首をかしげると、ふわりと白をまとった。
「あるわよ。紫がばらまいたやつ。周りの山にたくさんあるわ。
それを掘ってるのね。それだけじゃなくて、あの光も石の力よ。」
白ドラゴは色とりどりの華都を指さした。
「紫…って、紫のドラゴンさん?知識の。そうか、帝都も近いらしいしね。」
フウライが目を帝都方面に向けて、少しだけ首を傾ける。
「そう。紫。遊び心でもあったのかしらねぇ…。
だからなのか、帝都の近くにはそんな石がたくさん眠ってるの。
ただ、掘ってしまえばそれまでだし、石の能力にも寿命があるのよね。」
白ドラゴは紫はいないのに尽きたらどうするのかしらねぇ、などとつぶやきながら首を振った。




