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ドラゴとフウライ ― 旅の先にあるもの ―  作者: ナナマル
迷宮編
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灰色の街と、ひとつの依頼

冒険者で溢れ、活気に満ちているはずのその街は、灰色の空と同じように重苦しく沈んでいた。


「賢者の話と違うね。」

フウライは背伸びしながら、冒険者の姿を探すようにあたりを見回す。


「冒険者いないし。」

そして頬を膨らませ、白ドラゴに顔を向ける。


「なんでも、領主が倒れてるらしいわよ。

呪いで。」

白ドラゴは、まるで昼寝でもしているのよとでもいうようにあっさりと返す。


「え!?

の、のろい?

ていうか、なんで知ってんの!?」

フウライはワタワタと手を振りつつ聞き返す。


「ほら、前の宿場町で冒険者がいたでしょ?彼らが話してたのよ。」

呪いのせいで街に入るのをためらっていたという。


いたっけ?

フウライは目を上に向けつつ、腕を組む。

冒険者と言えば、剣や盾持ってたり、杖持ってたりするんでは…


「装備が簡単だったから、気づかなかったのも無理ないわよ。」

白ドラゴはフウライの肩をポンポンと叩く。


フウライははっとしたように手を合わせると、再び白ドラゴに顔を向ける。

「僕たちは!?

僕たちは大丈夫なの…?」


「ダメだったら街に入ってないでしょ。」

白ドラゴはフフフと笑いながらひらひらと手を振る。


「そっか。よかったぁ。」

フウライはフウ、とため息をつくと満面の笑みを浮かべる。

と、同時に腹の虫が盛大に鳴きだした。


「あらまぁ、そんな時間なのねぇ。」

白ドラゴは目を細め、食堂を探しましょうか、というと歩き出す。


少し歩くと、大衆食堂に滑り込むことができた。

フウライは簡単な干し肉とジャガイモの料理、白ドラゴはドライフルーツが運ばれてきた。


「閉まる前に入れてよかったね!」

フウライが安心したように肉を口に運ぶ。


店に足を踏み入れた際、材料の納入が滞ってきているので早じまいしていると、苦い顔の主人が二人に伝えてきたのだ。


「新鮮な、じゃないけどあるだけよかったわねぇ。」

ドライフルーツをまじまじと見ながら、白ドラゴが答える。


キィ


二人がきしんだ音のする方を見ると、開いた扉から、かっちりとした服を着こんだ初老の男性が姿を現した。


「こちらはドラゴンさんで間違いありませんか。」

初老の男性は、テーブルの脇に立つと白ドラゴに声をかける。


「知り合い?」

フウライは小さな声で、初老の男性から顔を逸らすように白ドラゴに問いかける。


「知ってるわけないでしょ。」

白ドラゴは同じように顔を逸らすように小声で答えると

「で、何か用?」

ツンと顔をあげ、初老の男性に目だけを向ける。


初老の男性はほっと息をつき、言葉を続ける。

「領主さまの館で執事をしております。

折り入ってお願いがあるのです。」


「呪い?」

白ドラゴは顔をしかめつつ、その内容を問う。


「はい、その件で――

ぜひ領主の館にお越しいただけないかと。

話だけでも聞いていただけないでしょうか。

もちろん、お礼はさせていただくつもりです。」

矢継ぎ早に言葉をつなげると、心配そうに白ドラゴとフウライ交互に目を移す。


「ドラゴ、困ってるみたいだし…」

好奇心を刺激されたらしいフウライは、上目遣いで白ドラゴに顔を向ける。

当然お礼の言葉にも刺激されている。


「しかたないわねぇ…」

白ドラゴはため息をつく。

慌てて食事を終わらせると、三人で領主の館に向かったのだった。


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