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ドラゴとフウライ ― 旅の先にあるもの ―  作者: ナナマル
空都編
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共にあれ

白ドラゴの言葉を受け、フウライは踊るように回廊を抜ける。

目の前が開け、右手に白を基調にした色とりどりのタイルで飾られた宮殿が現れた。


「……こんな建物があるなんて…」


手を胸の前に合わせ、目を潤ませながら宮殿を眺める。


「そんなに感動できるのって、ある意味すごくない?」


白ドラゴはそんな様子のフウライに少しだけあきれ気味だ。


「だって、僕が見たことあるのって木造りの建物か石造りの建物だけなんだよ。」

「タイルが貼ってある建物なんて、みたことないもん。」

「しかも、こんなにでっかいんだよ!」


フウライは両手を宮殿に広げて大きさを実感し、口をとがらせ抗議する。


「そんなに感動するのねぇ…燃やさなくてよかったわ。」


白ドラゴは赤い時になんどか燃やしてやろうかと思ったことがあるのだ。

ドラゴにとっても、人間との交流の場など、忌々しい場所でしかなかった。


「ひえっ。燃やせるの…?これ…?」


広げた手をしおしおと畳みながら、白ドラゴに顔を向ける。


「我に、燃やせないものなんてあると思う?」


そう言いながら白ドラゴは、すい、と胸を反らす。


「燃やせないもの…ん…んん…

た、たいせつなもの?」


フウライは絞り出す。物理で燃やせない物がないなら概念で勝負だ。


「む…」


白ドラゴは小さな腕を組み、首をかしげる。


たいせつなもの?

――以前はそんなものなかったけどねぇ


今はどうだろうか。フウライ?うーん……


「燃やせないわねぇ。」


少し苦々しく笑いながら、フウライの言葉を肯定した。

フウライは満足したようにうなずくと、入り口前の広場にある像に向かって歩き出した。


その白い石でできた像は、小さな白いドラゴンと少女らしき人物が向かい合っていた。

少女は柔らかい表情で小さな玉を両手でもち、その手をさらに包むようにドラゴンの手が添えられている。大きさはだいたい等倍だろうか。

台座には――


「共にあれ」


と書かれている。


「僕たちとおんなじだね!

僕たちは鎖だけど、一緒にいるもんね!」


その碑文をみたフウライが誇らしげに顔を上げ、シャラシャラと鎖を鳴らす。


「そうねぇ。なんだかんだ一緒にいるわね。」


白ドラゴも今まで一緒にいることに驚きを持って振り返った。


「それで、この玉は何だろ?」


フウライが像が手に持っている玉を指さす。


「知ってるんじゃないの?」


白ドラゴが首をかしげる。


「何を?」


はて、とフウライも首をかしげる。


「これ。」


白ドラゴがシャラシャラと鎖を鳴らす。


「その玉がこの鎖だって、知ってて言ったんじゃなかったの?」


よく知ってたな、と思ったのだが思い違いだったようだ。


「え、これ、たま?その?」


フウライは鎖と玉を見比べながらも白ドラゴも顔を向ける。

さっき鎖を鳴らしたのはもちろん偶然だ。


「ま、そういうこと。」

「詳しいことは帝国で調べるのね。」


白ドラゴは大魔法使いの持っていた白い玉を思い出しつつ、クスリと笑うのだった。


「さて、どっちへ行きましょうか。」


未だ目を白黒させているフウライに、白ドラゴが先の行動を促す。


「宮殿に入るか、この道をまっすぐ行って…」


白ドラゴは宮殿に顎を向けてから、宮殿の前から風の塔まで伸びる広い道に顔を向ける。


「風の塔を探索するか。」


そういうと、やっと気を取り直したらしいフウライに目を向けた。


「ルート的に、宮殿覗いてから風の塔じゃない?」


玉が頭の片隅に陣取ってはいるが、見学を進めようとする努力するフウライだった。


見学ルートを決めた二人は風の塔に背を向けると、宮殿の入口へ歩いていった。


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