空への道
村はずれには立派なテントが張られ、興行は大盛況だった。
以前よりコメディに寄ったお芝居に、病気から治ったばかりの村人たちも大笑いしていた。
その様子に満足したドラゴとフウライは、芝居も満喫した後、村に別れを告げることにした。
それはすぐに薬師と村長に伝わり、別れを告げるためか、二人はフウライたちの前に姿を現した。
「本当にありがとうございました。
あなたがたが村に寄って下さらなければ、どうなっていたか…」
薬師が頭を下げる。
「本当にその通りです。
私たちからもお礼をさせてください。」
村長はそばの補佐官に目配せをする。
補佐官は一歩足を踏み出し、恭しく両手に持った報酬の袋を差し出す。
「わあ、ありがとうございます!」
予想外の報酬に、目を輝かせたフウライが両手を差し、それを受け取った。
「我があれだけ働いたんだ。当然だろう。」
うんうんとうなずくドラゴは、その報酬に納得している。
「これからどちらへ行かれるのですか。」
村長は助けることがあれば、と次の予定をドラゴとフウライに尋ねる。
「次は空都に行くんです!」
フウライは報酬をバッグにしまい、次の冒険に胸を躍らせている。
「く、くうと…」
「伝説だったのでは…」
薬師も村長も、周りに集まってきていた村人も驚きを隠せなかったようで、さざ波のように声が広がった。
「それでは!」
その声を振り払うように、ドラゴの背に乗ると、村人たちに手を振った。
神殿につくと、二人は空を見上げた。
ぽっかりと空いた空で、その島は二人が来るのを待つかのように浮いている。
「神殿からでないと、見えないからな。」
ドラゴは今、村人たちの問いに答える。
「しかもドラゴンが一緒でないとな。」
少しだけ胸を張りながら、フウライに視線を送る。
「そうだったんだ!」
「だから、村からは見えなかったんだねぇ。」
フウライはうなずきながらも、村からの景色を思い出していた。
そして、ドラゴの背に乗りつつ島を見上げる。
「行くぞ。」
島を見つめるドラゴの目が淡い光をまとったが、それはフウライには見えなかった。
「な、なに?」
ふわり、とした暖かい感覚があるが、ドラゴが飛んでいるわけではなかった。
「島に上るため、通り道を開いたのだ。
……上昇気流……というやつだな。」
ドラゴが慎重に翼を上下に動かし、高く舞い上がる。
「優しい気流だねぇ。」
眠くなりそうな気流を肌に感じ、フウライは穏やかな気持ちになるのだった。




