【1章 エピローグ】
立帝社大学付属高校 校長室
校長が机に向かって書類整理をしていると、扉をノックする音が部屋に響く。
「入れ」
「失礼します」
顔を見せたのは1年6組の担任である鹿嶋だ。
鹿島は校長室中央に、向かい合わせで設置されたソファーに座る。
「委員長が異界課の人達と仲良くなったみたいですよ」
「思っていたよりも早いな。委員長の行動力、俺の想像を超えていたか。もっと内向的だと想定していたのだが」
「委員長を侮らない方が良いですよ~。行動力だけはクラスメイト随一ですからね~」
「スケジュールを練り直す必要があるな」
「そうですね~。状況は一気に加速するでしょうから、私たちも身の振り方を考えないとですね。付いていけない人達の暴走が、懸念材料ではありますが」
「あのクラスは弾薬庫だ。俺たちも慎重に動かないといけない。下手に介入して取り込まれるのだけは避けなければ。
委員長には悪いけど、頑張ってもらうしかない」
「その為にもエサは必要でしょう。もしかすると委員長の方からコンタクトがあるかもしれません。
その時は話を聞いてあげないといけませんよ」
「考えておく」
「ところで異界課の人たちはどうします? どうやらこの街に本格的な拠点を持つようですが」
校長は腕を組んで天井を見る。わずかな時間の後、再び視線を鹿島に戻した。
「放置するしかないだろう。俺たちが介入すれば闘志を燃やすタイプの人たちだ。それに委員長と頻繁にやり取りをしているようだから、俺たちへの悪印象が委員長に伝わると厄介だ。
そもそも異界課は俺たちを追えていない。尻尾を出すのは下策だ」
「わかりました。監視だけは続けます。では私はこれで。教員の仕事もありますので」
鹿島は立ち上がり頭を下げると校長室から退出する。その後姿を見送った校長は呟く。
「侮りに気づくべきなのは君もだよ」




