魔法の才能
魔法の勉強を始めてから、しばらくの時間が経った。
リヒトは毎日の仕事の合間に、魔力を感じ取る練習を続けていた。
冒険に出る日は、帰ってから短い時間だけ訓練する。
休息が必要な日は無理をせず、翌日に備える。
効率を重視するリヒトらしいやり方だった。
「今日は属性適性を確認しましょう」
ある日の午後、エレナがそう告げた。
「適性はどうやって調べるのですか?」
「専用の道具を使う方法もあるし、魔法を実際に扱えるか試す方法もあるわ。今回は私が教えられる範囲で確認する」
エレナは必要な道具を用意した。
火、水、風、土、光、闇。それぞれの属性について、リヒトが魔力を扱えるかを確かめていく。
すぐに結果が出るわけではなかった。
何度か試し、魔力の流れを確認し、適性の有無を慎重に見極める。
「一度で判断できるものではないのですね」
「そうよ。焦って決めつけるのはよくないわ」
エレナの説明を受けながら、リヒトは検査を続けた。
その後も基礎訓練を重ね、少しずつ魔力を扱う感覚を身につけていった。
魔法の習得には、適性だけでなく知識と訓練が必要になる。
それはリヒトにとって、前世の勉強とよく似ていた。
ただ覚えるだけでは意味がない。
仕組みを理解し、実際に使えるようになって初めて身についたと言える。
「リヒト、今日はここまでにしましょう」
「もう少し続けたいのですが」
「疲れた状態で無理をしても効率が悪いわ。休むことも訓練の一部よ」
「……分かりました」
リヒトは素直に道具を片付けた。
エレナはその様子を見ながら、少しだけ感心していた。
教えたことをよく覚え、失敗の原因を考え、次に活かそうとする。
まだ子供でありながら、物事を学ぶ姿勢は大人顔負けだった。
「あなた、ずいぶん勉強熱心なのね」
「知らないことを知るのは楽しいですから」
「そう。なら、これからも続けなさい」
「はい」
リヒトは頷いた。
まだ使える魔法は限られている。
それでも、自分の力で何かを身につけていく感覚は悪くなかった。
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