魔法と魔物と魔石
森へ入ってしばらく歩くと、エレナが足を止めた。
「そこにいるわ」
「何がですか?」
「スライムよ」
エレナの視線の先には、半透明の身体を持つ小さな魔物がいた。
大きさは人間の頭ほどだろうか。地面を這うように移動している。
「これが魔物……」
「最低級の魔物よ。村人でも対処できる程度の相手ね」
エレナは腰の剣を抜くと、スライムへ近づいた。
スライムが反応し、身体を震わせながら飛びかかる。
しかし、エレナの剣は一瞬でそれを切り裂いた。
スライムの身体が崩れ、地面に溶けるように広がる。
「これで終わりよ」
「随分と簡単に倒せるのですね」
「最低級だからね。もっと強い魔物なら、そうはいかないわ」
エレナは地面に残った小さな石を拾い上げた。
「これが魔石よ」
「魔石……」
「魔物の心臓にあたる部分ね。魔物の命はこれに宿っている。魔石を壊せば、魔物は死ぬわ」
リヒトは魔石をじっと観察した。
透明感のある石の内部には、わずかに光が揺れている。
「これには価値があるのですか?」
「もちろん。魔道具に使ったり、武器の加工や強化に使ったりするわ。魔法を使い捨てる道具の強化にも利用できる」
「なるほど」
「ただし、魔石なら何でも高く売れるわけじゃない。魔物の強さによって価値が変わるの」
エレナは魔石を袋にしまった。
その後も二人は森を進み、いくつかの魔物を討伐した。
リヒトは戦闘を見ながら、魔物の動きやエレナの攻撃方法を観察していた。
魔物にはそれぞれ弱点がある。
人型や動物型の魔物であれば、心臓や首、脳が急所になる。だが、竜のように特殊な身体構造を持つ魔物には、別の弱点も存在するらしい。
「魔物にも種類や強さがあるのですね」
「そうよ。冒険者ギルドでは、魔物も強さによって分類されているわ」
エレナは簡単に説明した。
最低級、低級、中級、上級、最上級。
そして、通常の魔物とは別格の存在として、ランクでは測れないドラゴンがいるという。
「ドラゴンは最上級よりも強いのですか?」
「比べること自体が難しいわね。あれは魔物というより、天災に近い存在よ」
その言葉に、リヒトは興味を持った。
この世界には、自分の常識では測れない存在がいる。
それを理解するには、もっと多くの経験が必要だろう。
「今日はここまでよ。戻りましょう」
エレナの言葉に頷き、リヒトは荷物を背負い直した。
この日、彼は魔物と魔石について多くを学んだ。
そして、もう一つ興味を持ったものがあった。
魔物を倒したエレナが使っていた、不思議な力。
魔法だった。
【読者のみなさまへお願い】
もし「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、
ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の凄まじいモチベーションになります!
ブックマーク登録もぜひよろしくお願いいたします!
誤字脱字を見つけたら報告していただけると大変うれしいです!




