第十一話
俺と和樹が弁当を食べているのを羨ましそうに見ながら、堤谷は俺と彼女の事をどうしても聞きたい様で、質問を再開した。
「で、赤坂は水流ちゃんとどうなってんだよ」
どうもなってないけど。
なんて答えたら正解か、全く分からない。
「とりあえず、昨日の部活終わりに呼び出されたんだよな。それはもう和樹に聞いた。問題はその後だ。更衣室にスマホ取りに来て、一旦出て行ったけどすぐに帰って来て着替えて帰ったって聞いたけど。連絡先は交換したんだよな?」
和樹に全部、聞いた後じゃん。
それ以上に俺に何を喋らせようというんだ?
とりあえず、猫のおにぎりを食べながら頷いた。
「で、昨日の夜にやり取りをした」
なんか、堤谷が警察みたいに尋問してくる。
「そのやり取りに、今日の昼、一緒に食べようって言う連絡は無かった。そうだな?」
堤谷もちょっと楽しくなったのか、尋問っぽく聞いてくる。
面白くなってきたので、俺も神妙な顔で頷いてみた。手と口は止めないけど。
和樹は興味なさそうに弁当を黙々と食べている。こいつは、一口で30回は咀嚼するタイプだ。とても健康的で良いと思います。
「唐突に現れた水流ちゃんに、お前は慌てて思わず断った。だが、心の奥ではそのことを後悔している。違うか?」
何かよく分からないが、堤谷は俺と水流さんをくっつけたいらしい。
が、全く違うので首を横に振る。
「いや、そんなはずはない。あんなに可愛い子に誘われて、嬉しくない奴がいる筈がない!」
でも、違うから頷けないし。
「お前も、知らない筈は無いだろう。水流ちゃんが、中学の頃から読モをしてる事くらい。あんな可愛くて、目立つ子に告られて、嬉しくない男が存在するとでも思ってるのか?!」
いや、そんなん知らないけど。っていうか、スポーツ系の女子はそういう事しないと思っていた。それは、偏見か。
ビックリしていたら、和樹が何やら鞄を探って雑誌を取り出した。
「これ、稔は知らないだろうと思って、買っといたよ。ここに載ってるのが、あの子」
え、和樹は知っていたって事?
でも、俺は前世でも知らなかったんだけど。
受け取った雑誌を見てみると、確かに水流さんに似ている。
でも、同じ人とは思えない。
だって、めちゃくちゃ化粧しているし、ミニスカだし。
いや、別に良いとは思うけど。でも、何か。
「めっちゃギャルじゃん」
思わず声に出してしまった。
スポーツを頑張っていて、化粧はしていなくて、綺麗に制服を着こなしている彼女は、割と可愛くて好感度が高かった。でも、正直、こういうタイプはあまり好きじゃない。
中学生から化粧して、足出して雑誌に載っているとか、何かちょっと不潔だと思ってしまう。
「あ?あぁ、初心な赤坂君には、刺激が強すぎたのかな?」
堤谷が馬鹿にしたように言ってくるが、多分、その通りなんだろう。
俺にはこういう人は無理だな。と改めて思った。
前世の稔は、どんな風に思っていたんだろう。
男が好きって言っても、アニメキャラを連想した稔は。
身体を商売道具にするなんて考えもせず、ヤバい人の意味も分からなかった稔は。




