第六十七話「断つ者」
いつも読んでくださりありがとうございます。
守る者が立ち、
流れを導く音が響く中――
今度は、“断つ者”が前へ出ます。
恐怖が循環し続ける檻。
その中心へ、
蒼真が踏み込みます。
よろしくお願いします。
黒い流れが、唸っていた。
豪山を中心に、空気そのものが軋んでいる。
黒い糸が絡みつく。
腕。
肩。
首。
それでも。
豪山は退かない。
「……っ!!」
地面へ突き立てた黒嵐が、
激しく震えていた。
子供達の泣き声。
恐怖。
黒い結晶。
全部が、豪山へ流れ込もうとしている。
嵐が叫ぶ。
「豪山!!」
「前見てろ!!」
怒声だった。
豪山の目は、ずっと前を向いている。
「ガキ守れ!!」
黒い流れが、さらに膨れ上がる。
無月が、静かに蒼真を見る。
「断つ者」
「お前では止まらん」
蒼真が刀を構える。
「止める」
「終わらせる」
一瞬。
空気が揺れた。
無月が動く。
速い。
黒い影。
蒼真の剣と、無月の刃が激突する。
轟音。
火花。
地面が裂ける。
嵐が踏み込む。
拳。
一撃。
無月が跳ぶ。
その隙。
蒼真が走る。
核。
黒い結晶。
脈打っている。
弦が叫ぶ。
「蒼真!!」
「中心じゃない!!」
蒼真の目が動く。
黒い流れ。
糸。
全部が、結晶へ集まっているわけじゃない。
逆だ。
結晶が、子供達の恐怖を増幅している。
循環。
「……流してる」
弦が歯を食いしばる。
「恐怖そのものを、循環させてる!!」
綾乃が、子供達を抱き寄せる。
「大丈夫!!」
「もう終わる!!」
子供達は震えている。
涙が止まらない。
尺八の音が流れていた。
静かに。
遠くから。
恐怖を、少しずつほどくように。
弦の目が開く。
「……今なら流れが切れる!!」
蒼真が踏み込む。
無月が前へ出る。
「断てば、終わると思うか」
蒼真は止まらない。
「終わらせる」
剣が振り下ろされる。
無月の刃が迎える。
激突。
轟音。
その瞬間。
嵐が横から踏み込んだ。
「蒼真ァ!!」
拳。
一撃。
無月の体勢が崩れる。
わずかな隙。
蒼真の目が、核を捉えた。
黒い結晶。
脈打っている。
子供達の泣き声。
恐怖。
全部がそこにある。
蒼真が、剣を握る。
風が吹く。
豪山が、黒い流れを押さえ込んだまま叫ぶ。
「行けェ!!」
蒼真が、核へ飛び込んだ。
第六十七話 終
第六十七話「断つ者」でした。
今回は、
蒼真が“断つ意味”へ踏み込む回でした。
ただ壊すだけではなく、
流れを見極め、
恐怖そのものを断ち切る。
そして嵐、
豪山、
弦、
綾乃。
全員が繋いだからこそ、
蒼真は核へ届きます。
“断つ者”は、
一人では立てないのかもしれません。
次回、黒い檻が崩れ始めます。
よろしくお願いします。




