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紡ぎの剣 〜見えない糸を断つ者〜  作者: つるぎまる
第四章『境界へ至る』

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第六十七話「断つ者」

いつも読んでくださりありがとうございます。


 守る者が立ち、

 流れを導く音が響く中――


 今度は、“断つ者”が前へ出ます。


 恐怖が循環し続ける檻。


 その中心へ、

 蒼真そうまが踏み込みます。


 よろしくお願いします。


 黒い流れが、唸っていた。


 豪山ごうざんを中心に、空気そのものが軋んでいる。


 黒い糸が絡みつく。

 腕。

 肩。

 首。


 それでも。

 豪山ごうざんは退かない。


「……っ!!」


 地面へ突き立てた黒嵐が、

 激しく震えていた。


 子供達の泣き声。

 恐怖。


 黒い結晶。


 全部が、豪山ごうざんへ流れ込もうとしている。


 らんが叫ぶ。


「豪山!!」


「前見てろ!!」

 怒声だった。


 豪山ごうざんの目は、ずっと前を向いている。


「ガキ守れ!!」


 黒い流れが、さらに膨れ上がる。


 無月むつきが、静かに蒼真そうまを見る。


「断つ者」


「お前では止まらん」


 蒼真そうまが刀を構える。

「止める」

「終わらせる」


 一瞬。

 空気が揺れた。


 無月むつきが動く。

 速い。

 黒い影。


 蒼真そうまの剣と、無月むつきの刃が激突する。


 轟音。

 火花。

 地面が裂ける。


 らんが踏み込む。

 拳。

 一撃。

 無月むつきが跳ぶ。


 その隙。

 蒼真そうまが走る。


 核。

 黒い結晶。

 脈打っている。


 げんが叫ぶ。


「蒼真!!」

「中心じゃない!!」


 蒼真そうまの目が動く。


 黒い流れ。

 糸。


 全部が、結晶へ集まっているわけじゃない。


 逆だ。


 結晶が、子供達の恐怖を増幅している。


 循環。


「……流してる」

 げんが歯を食いしばる。


「恐怖そのものを、循環させてる!!」


 綾乃あやのが、子供達を抱き寄せる。


「大丈夫!!」

「もう終わる!!」


 子供達は震えている。

 涙が止まらない。


 尺八の音が流れていた。

 静かに。

 遠くから。

 恐怖を、少しずつほどくように。


 げんの目が開く。

「……今なら流れが切れる!!」


 蒼真そうまが踏み込む。


 無月むつきが前へ出る。


「断てば、終わると思うか」


 蒼真そうまは止まらない。

「終わらせる」


 剣が振り下ろされる。


 無月むつきの刃が迎える。


 激突。

 轟音。


 その瞬間。

 らんが横から踏み込んだ。


「蒼真ァ!!」


 拳。

 一撃。


 無月むつきの体勢が崩れる。


 わずかな隙。

 蒼真そうまの目が、核を捉えた。


 黒い結晶。

 脈打っている。

 子供達の泣き声。

 恐怖。

 全部がそこにある。


 蒼真そうまが、剣を握る。


 風が吹く。


 豪山ごうざんが、黒い流れを押さえ込んだまま叫ぶ。


「行けェ!!」


 蒼真そうまが、核へ飛び込んだ。




第六十七話 終

第六十七話「断つ者」でした。


 今回は、

 蒼真そうまが“断つ意味”へ踏み込む回でした。


 ただ壊すだけではなく、

 流れを見極め、

 恐怖そのものを断ち切る。


 そしてらん

 豪山ごうざん

 げん

 綾乃あやの


 全員が繋いだからこそ、

 蒼真は核へ届きます。


 “断つ者”は、

 一人では立てないのかもしれません。


 次回、黒い檻が崩れ始めます。


 よろしくお願いします。

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