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紡ぎの剣 〜見えない糸を断つ者〜  作者: つるぎまる
第四章『境界へ至る』

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第六十五話「守る者」

いつも読んでくださりありがとうございます。


 黒い檻を前に、

 それぞれが動き始めます。


 断つ者。

 癒す者。

 そして――守る者。


 今回は、豪山ごうざんの“覚悟”が強く出る回になりました。


 よろしくお願いします。

 轟音。

 黒い糸が、吹き飛ぶ。


 豪山ごうざんの一撃だった。

 黒嵐が、空気ごと叩き割る。


 子供達の悲鳴。

 黒い檻が軋む。


 無月むつきが、わずかに後ろへ跳んだ。


「……力任せか」

 感情のない声。


 豪山ごうざんは答えない。

 止まらない。


 踏み込む。

 地面が沈む。

 黒嵐が振り下ろされる。


 轟音。


 木々が揺れる。


 無月むつきが、影のように避ける。


「蒼真!!」

 らんが叫ぶ。


 蒼真そうまが走る。


 黒い流れ。

 糸。

 全部が、子供達へ繋がっている。


 斬れば、流れる。


 げんが叫ぶ。


「右三本!!」

「そこなら流れが薄い!!」


 蒼真そうまの目が動く。


 見えた。

 黒い糸の重なり。

 わずかな隙間。


 剣が走る。

 一閃。

 断つ。

 黒い糸がほどける。


 子供の一人が、小さく息を吐いた。


 綾乃あやのが駆け込む。


「大丈夫」

「こっち見ろ」


 震えている。

 冷たい。

 恐怖が、まだ流れている。


 綾乃あやのが、子供を抱き寄せた。


「泣いていい」

「もう我慢しなくていい」


 その瞬間。

 結晶の光が、わずかに揺らぐ。


 げんが目を見開いた。


「……感情が戻った」


 無月むつきの目が、初めて綾乃あやのを見る。


「癒す者か」


 綾乃あやのが睨み返す。

「子供泣かせる趣味はないんでね」


 その時。

 黒い糸が、一斉に動いた。


 地面。

 木々。

 空中。


 全部が、蒼真そうま達へ伸びる。


「来るぞ!!」

 らんが踏み込む。


 拳。

 一撃。

 黒い糸が弾け飛ぶ。


 多い。

 止まらない。


 無月むつきが、静かに呟く。


「恐怖は尽きない」

 その言葉。

 子供達が、再び震え始める。


 結晶が脈打つ。


 豪山ごうざんの顔が歪んだ。

「やめろ」


 無月むつきは止まらない。

「必要な流れだ」


 その瞬間。

 豪山ごうざんが、子供達の前へ立った。


 大きな背中。

 黒嵐を地面へ突き立てる。


 轟音。


 空気が震える。


「見るな」

 低い声だった。


「怯えるな」

 風が揺れる。


 黒い糸が、豪山ごうざんへ集中する。


 蒼真そうまの目が動く。


「豪山!!」


 豪山ごうざんは動かない。

 ただ、前に立つ。


「ガキは、守るもんだろうが」


 その瞬間。

 黒い流れが、一気に豪山ごうざんへ襲いかかった。




第六十五話 終

第六十五話「守る者」でした。


 今回は、

 豪山ごうざんの“背中”を描きたかった回でした。


 守れなかった記憶を持つ人だからこそ、

 もう一度、子供達の前へ立つ。


 無茶だと分かっていても、

 退かない。


 第二世代の人達は、

 “壊れた後の世界”を見続けてきた世代です。


 だからこそ、

 守る事への執着が強いのかもしれません。


 そして戦いも、

 さらに激しくなっていきます。


 次回もよろしくお願いします。

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