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紡ぎの剣 〜見えない糸を断つ者〜  作者: つるぎまる
第一章 喪失と旅立ち

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第四話 「旅立ち」

第4話は、

初めて“力の使われ方”が見える回です。


ただの戦いではない部分に、

少しだけ触れていきます。


 朝は、あまりにも静かだった。


 昨日と同じ空。

 同じ町。


 だが——


 そこに、紬はいない。


 蒼真は立っていた。


 あの場所に。


 紬が消えた、その場所に。


「……」


 声は出ない。


 手を伸ばす。


 届かないと分かっていても、


 伸ばさずにはいられなかった。


 そこには、何もない。


 温もりも、気配も。


 すべて、消えていた。


 ゆっくりと、手を下ろす。


「……遅かった」


 それだけが、残る。


 責める相手はいない。


 だが、確かに——

   守れなかった。


 町には、朝の音が戻っていた。


 人が歩き、声が交わされる。

 店が開き、子どもが笑う。


 まるで、何もなかったかのように。


「……」


 蒼真は、ただ見ていた。


 誰も知らない。

 誰も気づいていない。


 紬が消えたことも。

 あの異常も。


 世界は、何も変わらない。


 ただ一人だけ——

   置いていかれたように。


 踵を返す。


 もう、振り返らない。


 戻る場所は——


 あそこには、もうない。


 町を出る。


 山へと続く道。


 足音は、一つ。


 風が、静かに吹いていた。


「……繋がってる、か」


 ぽつりと呟く。


 紬の言葉。


 意味はわからない。


 だが——


 確かに、何かが残っている。


 目には見えない、

    細い“何か”。


 それが、どこかへと続いている。


「なら」


 刀に手を添える。


「辿る」


 それが、蒼真の答えだった。


 一歩、踏み出す。


⸻止まらない。

   もう、止まれない。


 やがて、空気が変わる。


 鳥の声が、途切れる。


 風の流れが、わずかに鈍る。


 違和感。


 足を止める。


 周囲を見る。


 誰もいない。


 だが——


 “何か”がいる。


 目を閉じる。


 呼吸を整える。


 意識を、研ぎ澄ます。


 風の揺れ。

 空気の歪み。


 そして——


 微かな“繋がり”。


 目を開く。


 何もない空間へと、視線を向ける。


「……そこか」


 呟く。


 返事はない。

 

だが、確かに、

 “何か”が反応した。


 蒼真は、刀に手をかける。


 まだ、見えない。

 まだ、届かない。


 だが——


 確実に、近づいている。


 紬へと続く何かに。


 風が吹く。


 木々が揺れる。


 その奥で、


 何かが、わずかに動いた。


 旅が、始まる。


第四話 終


▼続きはこちらから(次話)

違和感は、

まだ解消されていません。


むしろ——


次話で、

さらに深くなります。

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