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紡ぎの剣 〜見えない糸を断つ者〜  作者: つるぎまる
第三章 繋がる根

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第三十話「届いた先」

第三十話は、

“初めて届く”回です。


重ねた先で、

ようやく“その奥”に触れます。


 「……次で行く、か」

 らんが低く言う。

 息は荒い。


 動きは鈍っていない。


 蒼真そうまは答えない。

 視線は——


 “奥”。

 交差点の、その先。

 今まで届かなかった場所。


 今は、

 見えている。


「……来る」

 小さく、言う。

 空気が、歪む。

 今までと同じ。


 違う。

 重い。

 深い。

 “繋がり”が強い。


 げんが、矢をつがえる。

 らんが、拳を握る。

 蒼真そうまが、踏み出す。

 迷いはない。


 来る。


 その瞬間。

 げんが撃つ。


 一直線。

 固定。


「……浅い」

 げんが言う。


 蒼真そうまが動く。

 振る。

 斬る。

 触れる。

 止まる。


 足りない。


「チッ……!」

 らんが踏み込む。

 叩く。

 通る。

 だが短い。

 戻る。

 再接続。


 蒼真そうまは止まらない。

 見ている。


 “その先”。

 さらに奥。


 交差ではない。

 “起点”。


「……そこだ」

 小さく、呟く。


 げんの目が、細くなる。

「……見えているか」


「ああ」


「一瞬だけだ」

 空気が、軋む。


 来る。

 今度は速い。


 蒼真そうまが踏み込む。


 げんが撃つ。

 固定。


 蒼真そうまが——

 振らない。


 一瞬だけ、

 遅らせる。


 流れが通る。

 交差する。

 さらに奥。


 “揃う前”。


「……今だ」

 振る。

 斬る。

 届く。

 今までとは違う。


 “深い”。


 何かに、触れる。

 確かな手応え。

 その瞬間。

 空気が、止まる。

 完全に。


「——今だ!」

 らんが叫ぶ。

 踏み込む。

 拳が入る。

 一撃。

 二撃。

 三撃。

 止まらない。

 崩れる。


 歪みが——

 維持できない。


 げんが撃つ。

 重ねる。

 固定。


 蒼真そうまが断つ。


 らんが叩く。


 連続。

 繋がる。

 止まらない。


 そして——

 “切れる”。


 一瞬。

 完全に。

 静止。


 何も動かない。

 音も、ない。

 風も、ない。


 そこにあったものが、

 途切れている。


「……止まった」

 らんが呟く。


 蒼真そうまは、動かない。

 視線は——

 そのまま。

 “奥”。


 そして——

 ゆっくりと、

 刀を下ろす。


「……届いた」

 小さく、言う。

 初めての、

 確信。


 げんが息を吐く。

「……繋がりが切れている」

「一部だがな」

 

 らんが笑う。

「それで十分だろ」

 拳を鳴らす。

「ちゃんと殴れたしな」


 空気が、戻る。

 軽い。

 今までとは違う。

 しかし、

 完全ではない。


 蒼真そうまの目が、細くなる。

 見える。

 まだ、残っている。

 さらに奥。

 もっと深い場所。


 微かに——

 “繋がっている”。


「……まだある」

 小さく、言う。


 らんが顔をしかめる。

「は?」


 蒼真そうまが、視線を上げる。

 遠く。

 見えないはずの先。


 だが確かに、

 何かがある。


「ここじゃ終わらない」

「もっと奥だ」


 沈黙。


 もう迷いはない。

 届いた。

 だから、わかる。

 終わりじゃない。


 ここは——

 “入口”だ。


 蒼真そうまが、一歩踏み出す。

 それだけで、

 十分だった。



第三十話 終

届いた。


だが——

それは終わりではない。


ここは、

“入口”に過ぎない。

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