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紡ぎの剣 〜見えない糸を断つ者〜  作者: つるぎまる
第三章 繋がる根

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第二十四話「定める者」

第二十四話は、

“届くための一手”が加わる回です。


見えなかったものに、

初めて手がかかります。



 ——来る。


 見えない。


 だが、わかる。

 空気が、歪む。


 蒼真《そうま》が動く。


 遅い。

 間に合わない。


 その瞬間。


 “止まる”。


 一点だけ。


 空間が。


「……は?」


 嵐《らん》が目を見開く。

 そこには何もない。


 だが——

 逃げない。


 歪みが、固定されている。


 次の瞬間。

 一本の矢が、


 “そこ”を貫く。


 音は、遅れて届く。


 蒼真《そうま》の目が、細くなる。


「……見える」


 一瞬。

 確定する。


 蒼真が踏み込む。

 迷わない。


 斬る。


 触れる。


 確かな手応え。


 浅い。


 それでも。


 “届いた”。


 空気が、揺れる。


 嵐《らん》が振り向く。


「誰だ!」


 そこに、

 一人の男が立っていた。


 弓を構えたまま。

 動かない。


 視線だけが、鋭い。


「……遅い」

 低い声。

 感情は、ない。


「今のはズレてる」


 蒼真《そうま》が問う。


「……お前は」


 男は答えない。


 ただ、

 次の矢をつがえる。


「弦《げん》だ」


「動くな」


 その瞬間。

 空気が、また歪む。


 来る。


 見えない一撃。


 今は違う。


 弦《げん》が、撃つ。


 矢が走る。

 空間をなぞるように。


 そして——


 止まる。


 “そこ”に。


「今だ」


 蒼真《そうま》が動く。


 合わせる。


 振る。


 斬る。


 今度は——


 深い。


 確かに。


 “捉える”。


 空気が、裂ける。


 嵐《らん》が踏み込む。


「おらぁ!」


 拳が入る。


 確かな衝撃。


 初めて。

 “存在に当たる”。


 しかし——


 長くは続かない。


 歪みが、崩れる。


 固定が外れる。


 気配が、消える。


 静寂。


 戻る。


 嵐《らん》が息を吐く。


「……なんだよ今の」


 弦《げん》は答えない。


 ただ——

 視線は外さない。


 まだ、見ている。


「……まだいる」

 小さく、言う。


 蒼真《そうま》が頷く。


「……ああ」


「だが、届く」


 弦《げん》が、わずかに目を細める。


「遅いがな」


 嵐《らん》が眉を寄せる。


「なんだお前、感じ悪いな」


 弦《げん》は見ない。


「雑なだけだ」


「はぁ!?」


 空気が少しだけ緩む。


 すぐに戻る。


 蒼真《そうま》が口を開く。


「……協力してくれ」


 弦《げん》は一瞬だけ沈黙する。


 そして——


「必要ならな」

 それだけ。


 風が、わずかに揺れる。


 もう逃げられない。


 見えてしまった。


 “奥”が。


⸻


第二十四話 終

新たな存在、弦。


彼の矢が、

戦い方を変えていきます。


ここから、

本格的な対抗が始まります。

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