第二十一話「繋がる根」
ここから第3章です。
一度は終わったはずの異常。
ですが、
それは“表面”に過ぎませんでした。
ここからは、
その“根”を辿ります。
風が、通る。
軽い。
さっきまでとは、違う。
確かに——
“薄くなっている”。
「……終わった、か?」
嵐が、息を吐く。
肩の力が、少しだけ抜ける。
だが——
蒼真は、動かない。
視線は、遠く。
そのまま。
「……いや」
小さく、言う。
「違う」
嵐が顔をしかめる。
「まだ言うのかよ」
「終わってない」
「軽くなっただけだ」
沈黙。
風が、また通る。
完全には消えていない。
わずかに。
ほんの、わずかに。
“残っている”。
「……どこだよ」
嵐が低く言う。
蒼真は、答えない。
ただ——
歩き出す。
奥へ。
迷いはない。
「おい、待て」
嵐も続く。
森の奥。
静かだ。
進むほどに、
“濃くなる”。
「……またかよ」
嵐が舌打ちする。
「いや」
蒼真が止まる。
「これは——」
「違う」
地面を見る。
足元。
何もない。
だが——
“流れている”。
下へ。
さらに奥へ。
「……下か?」
嵐が呟く。
蒼真が頷く。
「繋がってる」
「ここじゃない」
空気が、わずかに揺れる。
風ではない。
“別の流れ”。
蒼真の目が、細くなる。
「……見てるな」
「は?」
「こっちを」
嵐が周囲を見る。
「誰もいねぇだろ」
「いや」
蒼真は動かない。
視線は、動かない。
一点。
“上”。
木々の間。
何もない空間。
確かに。
“何かがいる”。
気配ではない。
視線でもない。
ただ——
“認識されている”。
触れているのとは違う。
もっと遠い。
確実に“捉えられている”。
「……なんだよ、それ」
嵐の声が低くなる。
蒼真は、答えない。
ただ——
わずかに、刀に触れる。
その瞬間。
空気が、切れる。
ほんの一瞬。
“何か”が揺れた。
反応した。
だが——
すぐに、消える。
残るのは、
静寂だけ。
「……逃げたか?」
嵐が言う。
「違う」
蒼真が答える。
「引いた」
「距離を取った」
沈黙。
森は、静かだ。
しかし、
もう、同じではない。
「……どうする」
嵐が問う。
蒼真は、迷わない。
「辿る」
「根まで」
その言葉が、
静かに落ちる。
風が、止まる。
そして——
新しい流れが、
動き出す。
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第二十一話 終
見えてきたのは、
敵ではなく“繋がり”そのもの。
そして、
それを“見ている何か”。
次話から、
さらに奥へ進みます。




