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紡ぎの剣 〜見えない糸を断つ者〜  作者: つるぎまる
第二章 交わるもの

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第二十話「繋いだ先」

第二十話は、

初めて“繋がる”回です。


一瞬ではなく、

連続で通す。


その先に、

初めて見えるものがあります。


 「……一回じゃ足りない」

 

 嵐《らん》が、低く言う。

「だったら、何回だよ」


 蒼真《そうま》は、答えない。


 視線は——


 “流れ”。


 交差。


 揃う瞬間。


 そして——


 その“先”。


「……繋ぐ」

 小さく、呟く。

「連続でやる」


 嵐が息を吐く。

「簡単に言うなよ」


「簡単じゃない」


「でも、やるしかない」


 無月《むつき》が、動く。


 踏み込む。


 速い。


 正確。


 変わらない。


 蒼真《そうま》が動く。


 合わせる。


 遅らせる。


 見る。


 交差。


「……そこだ」


 振る。


 触れる。


 止まる。


 一瞬。


「今だ!」


 嵐《らん》が踏み込む。


 拳が入る。


 直撃。


 だが——


 すぐに戻る。


 糸が揃う。


 再接続。


「チッ……!」

 嵐《らん》が舌打ちする。


「短ぇ……!」


「……繋げる」

 蒼真《そうま》が言う。


 もう一度。


 踏み込む。


 同じ流れ。


 同じ交差。


 同じ位置。


 振る。


 触れる。


 止まる。


 すぐに——


 次。


 間を置かない。


 連続。


 もう一度。


 振る。


 触れる。


 止まる。


 そのまま——


 嵐《らん

》が動く。


 拳。


 二撃目。


 三撃目。


 繋がる。


 途切れない。


 無月の身体が、


 崩れる。


 ズレる。


 揃わない。


「……いける!」

 嵐《らん》が叫ぶ。


 蒼真《そうま》が踏み込む。


 もう一度。

 連続で。

 流れを見る。


 交差。


 振る。


 触れる。


 さらに——


 奥。


 “もう一つ”へ。


「……そこだ」

 刀が、届く。


 今までより、深く。

 確かに——


 “通る”。


 次の瞬間。


 糸が——


 乱れる。


 揃わない。


 再接続が、遅れる。


 無月《むつき》の動きが、


 止まる。


 完全に。


 沈黙。


 嵐《らん》が、息を呑む。


「……止まった」


 蒼真《そうま》も、動かない。


 視線は、

 そのまま。


 “奥”。


 繋がっていたもの。


 その先。


 わずかに——


 “途切れている”。


「……切った」

 小さく、呟く。


 その瞬間。


 無月《むつき》の身体が、

 崩れる。


 支えを失ったように、

 ゆっくりと、

 倒れる。


 音はない。


 ただ——


 そこにあったものが、

 終わる。


 静寂。


 森が、戻る。


 空気が、軽くなる。


 嵐《らん》が、息を吐く。

「……終わった、か?」


 蒼真《そうま》は、答えない。


 視線は——


 まだ、外さない。


 その先。


 “途切れたはずの先”。


 違う。


 完全ではない。


 わずかに。


 ほんの、わずかに。


 “残っている”。


「……いや」

 小さく、言う。


「まだだ」


 嵐《らん》が顔をしかめる。

「は?」


 蒼真が、刀を下ろす。


「これは——」


「一部だ」


 沈黙。


 風が、わずかに吹く。


 さっきまでとは違う。


 完全ではない。


 “終わっていない”。


「……じゃあ、なんだよ」

 嵐《らん》が低く言う。


 蒼真《そうま》は、少しだけ間を置いて、

 答える。


「繋がってる」


「もっと奥に」


 その言葉が、

 静かに落ちる。


 視線は、

 遠く。

 見えないはずの先へ。


 だが確かに、

 何かがある。


 ここではない。


 もっと——


 深いところ。


「……行くか」

 嵐《らん》が言う。


 蒼真《そうま》は、頷かない。


 足は、止まらない。


 もう戻れない。


 ここで終わりじゃない。


 始まっただけだ。


第二十話 終


一つは断てました。


ですが、

それは全体の一部に過ぎません。


ここから、

“奥”へ進みます。

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