第二十話「繋いだ先」
第二十話は、
初めて“繋がる”回です。
一瞬ではなく、
連続で通す。
その先に、
初めて見えるものがあります。
「……一回じゃ足りない」
嵐が、低く言う。
「だったら、何回だよ」
蒼真は、答えない。
視線は——
“流れ”。
交差。
揃う瞬間。
そして——
その“先”。
「……繋ぐ」
小さく、呟く。
「連続でやる」
嵐が息を吐く。
「簡単に言うなよ」
「簡単じゃない」
「でも、やるしかない」
無月が、動く。
踏み込む。
速い。
正確。
変わらない。
蒼真が動く。
合わせる。
遅らせる。
見る。
交差。
「……そこだ」
振る。
触れる。
止まる。
一瞬。
「今だ!」
嵐が踏み込む。
拳が入る。
直撃。
だが——
すぐに戻る。
糸が揃う。
再接続。
「チッ……!」
嵐が舌打ちする。
「短ぇ……!」
「……繋げる」
蒼真が言う。
もう一度。
踏み込む。
同じ流れ。
同じ交差。
同じ位置。
振る。
触れる。
止まる。
すぐに——
次。
間を置かない。
連続。
もう一度。
振る。
触れる。
止まる。
そのまま——
嵐《らん
》が動く。
拳。
二撃目。
三撃目。
繋がる。
途切れない。
無月の身体が、
崩れる。
ズレる。
揃わない。
「……いける!」
嵐が叫ぶ。
蒼真が踏み込む。
もう一度。
連続で。
流れを見る。
交差。
振る。
触れる。
さらに——
奥。
“もう一つ”へ。
「……そこだ」
刀が、届く。
今までより、深く。
確かに——
“通る”。
次の瞬間。
糸が——
乱れる。
揃わない。
再接続が、遅れる。
無月の動きが、
止まる。
完全に。
沈黙。
嵐が、息を呑む。
「……止まった」
蒼真も、動かない。
視線は、
そのまま。
“奥”。
繋がっていたもの。
その先。
わずかに——
“途切れている”。
「……切った」
小さく、呟く。
その瞬間。
無月の身体が、
崩れる。
支えを失ったように、
ゆっくりと、
倒れる。
音はない。
ただ——
そこにあったものが、
終わる。
静寂。
森が、戻る。
空気が、軽くなる。
嵐が、息を吐く。
「……終わった、か?」
蒼真は、答えない。
視線は——
まだ、外さない。
その先。
“途切れたはずの先”。
違う。
完全ではない。
わずかに。
ほんの、わずかに。
“残っている”。
「……いや」
小さく、言う。
「まだだ」
嵐が顔をしかめる。
「は?」
蒼真が、刀を下ろす。
「これは——」
「一部だ」
沈黙。
風が、わずかに吹く。
さっきまでとは違う。
完全ではない。
“終わっていない”。
「……じゃあ、なんだよ」
嵐が低く言う。
蒼真は、少しだけ間を置いて、
答える。
「繋がってる」
「もっと奥に」
その言葉が、
静かに落ちる。
視線は、
遠く。
見えないはずの先へ。
だが確かに、
何かがある。
ここではない。
もっと——
深いところ。
「……行くか」
嵐が言う。
蒼真は、頷かない。
足は、止まらない。
もう戻れない。
ここで終わりじゃない。
始まっただけだ。
第二十話 終
一つは断てました。
ですが、
それは全体の一部に過ぎません。
ここから、
“奥”へ進みます。




