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紡ぎの剣 〜見えない糸を断つ者〜  作者: つるぎまる
最終章

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第百二十三話「繋がる糸」

いつもお読みいただきありがとうございます。


第百二十三話「繋がる糸」。


久遠家の祠。

紡は一人、流れを受け止め続けていました。

そこへ、岩代から新たな流れが押し寄せます。


よろしくお願いいたします。

 久遠くおん家祠の中


 つむぎは静かに糸と繋がっていた。


 額には汗が滲む

 閉じた瞳は微かに震え、

 絶え間なく流れ込む想いを受け止め続けていた。


 水無瀬みなせから押し寄せた流れ。


 悲しみ


 苦しみ


 届かなかった願い


 一つ、また一つ


 紡は静かに受け止め、

 少しずつ還していく。


「……。」


 小さく息を整える


 まだ、還せる


 その時


 流れが変わる


 穏やかに還り始めていた流れへ、

 新たな奔流が押し寄せる。


「……っ!」


 つむぎの身体が大きく震えた


 重い


 先ほどまでとは比べものにならない


 岩代いわしろの流れ


 終わることなく、

 次から次へと押し寄せる。


 糸が軋む


 祠が震える


 流れは止まらない


 つむぎは歯を食いしばった


 受け止める

 還す

 それだけを繰り返す。


 その時


「紡!」


 聞き慣れた声が祠へ響く


 紡はゆっくりと目を開いた


 祠の入口

 蒼一郎そういちろうが立っていた。


「兄ちゃん……。」


 蒼一郎そういちろうは何も言わない。


 つむぎの姿


 張り詰めた糸


 押し寄せる流れ


 その全てを一瞬で見渡す


 静かに刀へ手を添えた


 ゆっくりと抜き放つ


 流れへ身を預けるように、

 蒼一郎は静かに踏み込んだ。


 刀が舞う


 一筋


 また一筋


 美しく流れる剣筋が、

 押し寄せる流れだけを静かに断っていく。


 一閃


 流れが断たれる


 紡は小さく息を吐いた。


 しかし、

 止まることなく流れは押し寄せる。


 蒼一郎の剣が舞う


 断つ


 紡は還す


 断つ


 還す


 二人は言葉を交わさない。

 その必要はなかった。


 祠の中


 静かに、

 世界を守る戦いが続いていた。


第百二十三話 終

第百二十三話をお読みいただき、ありがとうございました。


言葉を交わさずとも通じ合う兄妹。

一人は受け止め、一人は断つ。

二人だからこそ保てた均衡でした。


ですが、その均衡も長くは続きません。


次回もよろしくお願いいたします。

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