第百二十一話「先へ」
いつもお読みいただきありがとうございます。
第百二十一話「先へ」。
黒羽を包んだ白い閃光。
その光を目にした久遠と白玖は、流れの異変に気付きます。
よろしくお願いいたします。
黒羽の方角
眩い光が、山々を白く染め上げた。
「……っ!」
白玖は思わず目を細める。
目も開けていられないほどの白い閃光
山々を包み込んだ光は、
やがて静かに収まり始めた。
風だけが吹いている
白玖は黒羽の方角を見つめた。
「黒羽が……。」
短く漏れたその一言で
何が起きたのか
二人には、十分すぎるほど分かっていた。
久遠だけは違うものを見ていた。
「……。」
光ではない
流れ
黒羽から解き放たれた膨大な流れが、
一つの場所へ向かっている。
その量に、久遠の表情が変わった。
「……まさか。」
流れを追う
その先は――
久遠家
久遠は目を見開いた
「紡……!」
一歩踏み出す
「紡が危ない!」
白玖も流れを追い、
息を呑んだ。
「なんだと……!」
久遠はすでに駆け出そうとしていた。
白玖は腕の中の無月へ視線を落とす。
意識は戻らない
白玖は静かに頷いた
「凪! 先に行け!」
「私はこいつを連れて追う!」
久遠は一瞬だけ振り返る。
そして、
「……頼む。」
その言葉だけを残し、
風を裂くように駆け出した。
白玖は無月を抱えたまま馬へ乗る。
その背を見送り、
自らも手綱を強く引いた。
二人はそれぞれ、
久遠家へ向かった。
第百二十一話 終
第百二十一話をお読みいただき、ありがとうございました。
黒羽の終焉を見届けた久遠と白玖。
二人はそれぞれの役目を胸に、久遠家へ向かいます。
次回は「神代の剣」。
十八年前、蒼一郎が動き出します。
次回もよろしくお願いいたします。




